# 2 Live Crewの原盤回収通知、控訴審が無効と判断

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/2-live-crew-can-t-take-back-their-recorded-music-copyrights-after-all-ap/
- 公開日: 2026.06.02 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: 兆しの初動（数ヶ月〜1年）
- テーマ: 音楽の金融化（https://andown.space/topics/music-as-asset/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 取り戻す権利は誰の手にある

> 米国で、2 Live Crewが過去に譲渡した録音の著作権を取り戻すために出した通知が、控訴審で無効とされた。理由は録音の制作契約ではなく、メンバーの過去の破産手続きにあった。2026年6月2日の判決から見えるのは、回収する権利そのものの所在が、音楽資産の帰属を左右するという論点だ。

## 取り戻す権利にも、別の所有者がいた

アーティストが昔の録音を取り戻せるか。その争いで、録音をどう作ったかとは別の問題が決定打になった。取り戻すための権利を、通知に署名した本人がまだ持っていたのか、という問題である。

2026年6月2日、米第11巡回区控訴裁判所は、2 Live Crewによる5作品の原盤回収を認めた2024年10月の陪審評決を覆した。2020年に出された権利移転を終了する通知は無効とされ、録音の権利はLil’ Joe Records側に残ることになった。事件は下級審へ差し戻される。

焦点になったのは、メンバーのマーク・ロスが2000年に申し立てた破産だ。控訴審は、彼の移転終了権に関する持分が破産財団に入り、その後も本人の管理下に戻っていなかったと判断した。過去の経済的な清算が、後年の原盤回収を左右したのである。

## 4人のうち2人では足りなかった

米著作権法203条は、著作者が過去に譲渡した著作権を、通常は譲渡から35年後に取り戻す仕組みを設けている。移転終了権と呼ばれるものだ。この事件では、4人のメンバーの過半数が通知に署名する必要があった。

2020年の通知には、ルーサー・キャンベル、ロス、クリストファー・ウォン・ウォンの相続人が参加した。対象は1986年から1989年に録音された5作品。1989年の『As Nasty As They Wanna Be』も含まれる。表面上は、必要な過半数を満たしていた。

だが、ロスの持分は破産手続きで資産として申告されず、処理もされず、正式に破産財団から放棄されてもいなかった。そのため、2020年の時点でも破産財団に属していたと裁判所は判断した。本人ではなく、破産管財人が管理する資産だったという整理だ。

ロスの署名を数えなければ、有効なのは4人中2人。過半数には届かない。著作権法が移転終了権を本人に結びついた、譲渡できない権利として保護していても、破産財団への組み入れは妨げられない、というのが今回の判断だった。

原盤自体にも破産を通じた移転の経緯がある。Lil’ Joe Recordsは、キャンベルのレーベル、Luke Recordsの1995年の破産に伴い権利を取得した。取得額は、Music Business Worldwideの過去の報道では約80万ドル。原盤を手放した経路と、取り戻す際の障害の双方に、破産手続きが関わっている。

## 録音の契約から、権利の履歴へ

今回の控訴審は、録音が発注側を著作者とする契約上の制作物に当たるかを判断していない。2024年の陪審がグループ側を支持したのは、この論点だった。控訴審はグループに有利な前提を置いても、破産に関する理由だけで通知が無効になるとした。

ここに見えるのは、制作時の契約だけでは原盤回収の可否が決まらないという兆しだ。著作者に権利があることと、その権利を本人が行使できることは同じではない。音楽を資産として扱う場面では、録音の所有者だけでなく、将来その所有を変え得る権利の所在も問題になる。

今後数年、同様の回収を検討する場面では、過去の破産手続きで何が申告され、誰の管理下に残ったかが、争点として浮かぶ可能性がある。ただし、判決の射程は限定されている。裁判所は、移転終了権を破産で一般にどう扱うかも、ロスの相続人が権利を行使するために何を要するかも、判断していない。

破産財団を通じて権利の問題を整理する経路が残る可能性を、出典記事は指摘する。全裁判官による再審理や連邦最高裁への申立ても選択肢として挙げている。回収の道がすべて閉じたという結論ではなく、今回の通知では回収できない、という段階である。

## 日本からは、資産の二つの面を見る

日本から読む際には、米国の移転終了権と破産法が交わった事例である点を切り離せない。同じ年数がたてば日本でも原盤を取り戻せる、という話ではない。また、この出典だけでは、日本で同様の争いがどの程度あるかも比較できない。

それでも、原盤をめぐる見方には補助線が引ける。音楽の資産価値は、作品が生む収入だけでなく、誰が所有し、誰がその帰属を変更できるかにも関わる。2 Live Crewの事件は、アーティストの権利回復と資産の管理が、別々の話ではないことを示している。

## 要するに

- 2 Live Crewの5作品を取り戻す通知は、控訴審で無効とされた。
- メンバーの過去の破産により、本人が行使できない持分があると判断された。
- 判決は一般論への拡張を避け、相続人による今後の権利行使についても判断を残した。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Music Business Worldwide「2 Live Crew can’t take back their recorded music copyrights after all, appeals court rules」 (2026-06-03) https://www.musicbusinessworldwide.com/2-live-crew-cant-take-back-their-recorded-music-copyrights-after-all-appeals-court-rules/
   > "The court ruled that the group’s 2020 notice terminating their copyright grants was ineffective, meaning the recordings stay with Lil’ Joe Records"
   > 訳: 裁判所は、グループが2020年に出した著作権譲渡を終了する通知を無効と判断し、録音の権利はLil’ Joe Recordsに残ることになった。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **移転終了権**（いてんしゅうりょうけん） / Copyright termination right: 著作権の移転を一定の条件で終了させる米国法上の権利。本件では、期間の経過に加え、本人が権利を保有し移転したかどうかが判断の中心となった。 https://andown.space/glossary/copyright-termination-right/
- **原盤**（げんばん） / Master recording: 音楽の録音そのものや、その元となる録音物を指す言葉。権利を論じる際は、録音に関する権利と、テープなど現物の所有を区別する必要がある。 https://andown.space/glossary/master-recording-rights/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/
- **破産財団**（はさんざいだん） / Bankruptcy estate: 破産手続きで管理や処分の対象となる財産のまとまり。今回の米国判決では、メンバーの移転終了権の持分も含まれ、本人ではなく破産管財人が管理すると判断された。 https://andown.space/glossary/bankruptcy-estate/

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