# 民謡歌手の声の模倣と権利請求が映す、配信の本人確認

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/a-folk-musician-had-her-voice-cloned-by-ai-and-her-recordings-claimed-by/
- 公開日: 2026.04.05 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: 声の権利（https://andown.space/topics/voice-rights/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 一致する音と、持ち主の隔たり

> 米国の民謡歌手マーフィー・キャンベルの名義で、無断のAI生成曲が配信された。別の出来事として、本人の録音にも第三者から権利請求が届いた。2026年4月初めに見えていたのは、声の模倣だけではない。音源が一致することと、その登録者が正当な権利者であることの間に残る、配信の仕組みの隙間だ。

## 声をまねることと、録音を奪うこと

2026年4月初め、米ノースカロライナ州の民謡歌手マーフィー・キャンベルの経験が、配信における本人確認の問題を浮かび上がらせた。Music Business Worldwideが紹介したThe Vergeの報道によれば、彼女は1月、自分のSpotifyプロフィールに、同意していないAI生成のカバー曲が載っているのを発見した。

キャンベルは、YouTubeで公開した演奏が取り込まれ、声のクローンを作る道具に通されたのではないかと考えている。ただし、その制作経路が確認されたわけではない。確認できるのは、本人の承認なしに、本人の名義で楽曲が掲載されたという訴えである。

さらに別件で、彼女自身のYouTube動画に第三者から権利請求が届いた。使われたのは、gamma傘下のディストリビューター、Vydiaを通じたContent IDへのアクセスだ。同社創業者ロイ・ラマンナは、請求を解除し、当該利用者を追放したと説明している。声の模倣と録音への請求。この二つを、一続きのAI事件として扱わないことが出発点になる。

## 古い民謡にも、録音の持ち主はいる

権利請求の対象には、少なくとも1870年代までさかのぼる「In the Pines」など、楽曲自体がパブリックドメインにある民謡が含まれていた。曲の著作権が切れていても、新たに演奏して録音した音源まで自由に所有を主張できるわけではない。楽曲と原盤は別の権利の層である。

3月25日、「Murphy Rider」を名乗る人物がVydia経由でYouTubeに動画を登録した。一般公開されなかったそれらの動画が、キャンベルの正規の動画に対する所有権の請求に使われたという。彼女には「Darling Corey」の動画について、検出された音楽の権利者と収益を分ける旨の通知が届いた。

ラマンナは、請求にAIは使われておらず、照合には完全な一致が必要だと主張する。また、キャンベルの録音が音声認識用データベースに未登録だったため、第三者が先に登録する隙を突いた可能性を挙げた。ただし、これは同氏の推測であり、具体的な手口が確定したという説明ではない。

VydiaがYouTubeのContent IDを通じて行った請求は600万件超で、無効と判明した割合は0.02%だったとラマンナは述べている。これは同社側の説明による数字だ。全体の比率が低くても、個々の演奏者には、自分の録音について他人から請求される負担が生じる。音を照合する精度と、申請者が権利を持つかの確認は、同じ問題ではない。

## 掲載後の削除から、掲載前の確認へ

この時点で見えていた別の動きは、不正な登録を配信前に止めようとする試みだ。4月2日、TikTokの配信サービスSoundOnはACRCloudとの提携を発表した。フィンガープリンティングによって、無断アップロードをストリーミングサービスに届く前に検知するという。

Spotifyでも、アーティストがプロフィールへの新作掲載を手動で承認できる、希望者向けの機能が試されていた。こちらが確認するのは、音の一致ではなく、その作品を本人の名義に結びつけてよいかという点だ。キャンベルの二つの経験は、この異なる確認がともに必要になる場面を示している。

今後1〜3年を見るうえでの焦点は、こうした掲載前の確認がどこまで広がるかである。音源の照合、名義への掲載承認、権利請求者の資格確認。それぞれが補い合う可能性はあるが、一つの機能ですべてを解決できるとは出典からはいえない。正当な作品の公開を遅らせず、不正な登録を見分けられるかも問われる。

また、未登録の録音が狙われたというラマンナの見立てが正しければ、保護の仕組みに登録済みの音源と、まだ登録されていない音源の間に差があることになる。個人で演奏を公開する音楽家にも、認識用データベースへの登録がどれだけ届くか。技術の性能だけでなく、その利用範囲が論点として残る。

## 日本から見ると、三つの権利を分ける

今回の出典には、日本での同種事例や制度運用との比較はない。米国で起きた請求を、そのまま日本の法制度に当てはめることはできない。それでも、声をまねられること、本人名義で配信されること、本人の録音に他者が権利を主張することを分ける視点は、日本から海外の議論を読む際にも手がかりになる。

とりわけ民謡では、誰もが歌える曲であることと、特定の人の演奏を使えることが混同されやすい。今回見えた兆しは、生成AIへの対策が、生成された音の判別だけでは完結しないという点だ。誰の名前で公開し、誰がその録音の権利を主張できるのか。配信の入口にある確認の仕組みそのものが、試されている。

## 要するに

- キャンベルの事例では、無断のAI曲掲載と録音への権利請求は別の出来事だった。
- 音源の一致を検出する仕組みと、登録者の権利を確認する仕組みの違いが表れた。
- 配信前の音源照合と、本人による掲載承認という異なる対策が試されていた。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Music Business Worldwide「A folk musician had her voice cloned by AI – and her recordings claimed by a copyright troll. Welcome to 2026.」 (2026-04-06) https://www.musicbusinessworldwide.com/a-folk-musician-had-her-voice-cloned-by-ai-and-her-recordings-claimed-by-a-copyright-troll-welcome-to-2026/
   > "LaManna also told The Verge that Vydia had no connection to the entity “Timeless IR” or the AI-generated covers uploaded to streaming platforms under Campbell ‘s name, and that the two incidents were separate."
   > 訳: ラマンナはまたThe Vergeに対し、Vydiaは「Timeless IR」という主体とも、キャンベル名義で配信サービスに投稿されたAI生成のカバー曲とも関係がなく、二つは別の出来事だと述べた。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **Content ID** / Content ID: 権利者から提供された参照音源などとYouTube上の動画を照合し、一致した動画の収益化やブロックなどを管理する仕組み。照合結果だけで権利の帰属が確定するわけではない。 https://andown.space/glossary/content-id/
- **ストリーミング** / Music streaming: ネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。 https://andown.space/glossary/music-streaming/
- **ディストリビューター** / Music distributor: アーティストやレーベルから音源と楽曲情報を受け取り、音楽配信サービスへ届ける流通事業者。今回の取り組みでは、不正目的の音源を入口で防ぐ役割が焦点となる。 https://andown.space/glossary/music-distributor/
- **パブリックドメイン** / Public domain: 著作権の保護期間が満了した場合など、著作権による独占の対象ではない作品の状態。古い楽曲が該当しても、それを新たに演奏した録音や編曲には別の権利が関わる場合がある。 https://andown.space/glossary/public-domain/
- **フィンガープリンティング** / Audio fingerprinting: 音源の特徴を識別用の情報として取り出し、別の音源と照合する技術。同じ録音かどうかを調べる助けになるが、それだけで所有権や利用許諾が確定するわけではない。 https://andown.space/glossary/audio-fingerprinting/
- **原盤**（げんばん） / Master recording: 音楽の録音そのものや、その元となる録音物を指す言葉。権利を論じる際は、録音に関する権利と、テープなど現物の所有を区別する必要がある。 https://andown.space/glossary/master-recording-rights/
- **混同**（こんどう） / Consumer Confusion: 商品や表示を見た人が、提供元や他者との関係を取り違えること。商標の争いでは、実際に起きた取り違えと、起こるおそれがあるという主張を区別して読む必要がある。 https://andown.space/glossary/consumer-confusion/
- **生成AI**（せいせいエーアイ） / Generative AI: 学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。 https://andown.space/glossary/generative-ai/
- **声のクローン**（こえのクローン） / Voice cloning: 録音などから特定の人の声の特徴を学び、似た声を合成する技術。声が似ていても、その人自身が言葉を発したり、歌ったりした録音とは限らない。 https://andown.space/glossary/voice-cloning/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/

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この記事の写真は出典記事の空気感をもとに AI で生成したイメージです。引用の際は上記の出典を一次資料として参照してください。
