# フランス音楽雇用、複数分野を渡る働き方を測る新指標

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/barometre-de-l-emploi-dans-le-secteur-de-la-musique-et-du-spectacle-viva/
- 公開日: 2026.02.13 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: 兆しの初動（数ヶ月〜1年）
- テーマ: クリエイター中間層（https://andown.space/topics/creator-middle-class/）、ライブ・ブーム（https://andown.space/topics/live-boom/）
- フック: 仕事のつながりを数える視点

> フランス国立音楽センターが公表した雇用調査は、音楽家や技術者が契約や分野をまたいで働く実態に光を当てた。録音・音楽出版から映像まで広がる仕事の接続。ただし、契約先の多さは生活の安定を意味しない。2026年2月時点で見えていたのは、業界の規模だけでなく、働き方の重なりを測ろうとする動きだ。

## 雇用の総数から、仕事の重なりへ

音楽家の仕事は、ひとつの分野だけで完結するとは限らない。録音、舞台、映像。それぞれの雇用を別々に数えるだけでは見えにくい、働き手の移動がある。フランス国立音楽センター(CNM)が2026年2月13日に公表した雇用バロメーターの第2版は、その重なりを新たな分析対象に据えた。

社会保障関連団体Audiensと共同でまとめた調査では、2024年に複数の契約形態や分野で働いた人を捉える「複数就業」の分析を導入した。企業や契約の数だけでなく、同じ人がどの領域を渡っているのか。音楽の雇用を、働き手の側から読み直す試みである。

とりわけ目立つのが、録音と音楽出版におけるアーティストの分野横断だ。ただし、これは複数の収入源が生活を支えていると証明する数字ではない。仕事の接続が測定可能になったことと、その仕事で安定して暮らせることは、分けて読む必要がある。

## 65%と76%が示す、分野の外側

調査は、Audiens加盟企業で過去5年間に働いた継続雇用・断続雇用の労働者のデータと、CNMが作成した職種分類を組み合わせた。第2版では、音楽とヴァリエテに属する範囲を従来より精緻に切り出している。働き方だけでなく、測る対象そのものの整理も進めた形だ。

複数就業として捉えるのは、年間に異なる種類の契約を結んだ人、または異なる分野で契約を結んだ人である。契約には無期雇用、有期雇用のCDD、交互訓練を伴う契約、アーティストや技術者向けのCDDUが含まれる。CDDUは、業務の性質に応じて用いられる慣行的な有期雇用契約だ。ここでいう複数就業は、必ずしも同時並行の仕事や、日本でいう副業だけを意味しない。

録音分野でCDDUにより働いたアーティストの65%、音楽出版では76%が、調査対象の別分野でもアーティスト契約を結んでいた。映画制作や映像なども含めると、その割合はそれぞれ78%、88%となる。これは音楽家全体の比率ではなく、各分野の該当する働き手を起点にした数字である。

技術者にも同様の重なりがある。録音分野のCDDUの技術者では61%、音楽出版では49%が、調査対象の別分野にも契約を持つ。対象をさらに広げると83%、73%に上がる。分野をまたぐ仕事は、表に立つアーティストだけの特徴ではない。

## 規模の安定と、働き方の安定は別にある

一方、CNMは2024年を「定着の年」と位置づける。調査した各分野で、企業数、給与総額、契約数、働き手の人数といった主要指標が安定したためだ。雇用の総量が落ち着いた局面で、その内側にある契約の組み合わせが新しく可視化されたことになる。

入口の数字と報酬の数字が一致しない点も重要だ。無期雇用とCDDの新規採用では、女性が60%を占めた。しかし女性は、契約数に占める割合に比べ、給与総額に占める割合が低い場合が多いという。アーティストの出演料などでも、女性の中央値は全体として男性より低い。例外の録音と音楽出版は、調査対象のアーティストの報酬件数全体の5%にとどまる。

今後数年の広がりとして注目されるのは、この測り方を継続できるかだ。CNMは、版を重ねながら複数就業や男女の代表性を追う方針を示している。分野間の移動を継続して見れば、雇用総数の安定の下で、仕事の組み合わせがどう変わるかを捉えられる可能性がある。ただし、公表文だけでは、移動が本人の選択なのか、仕事不足を補うものなのかは判別できない。

## 日本から見ると、問えることが変わる

日本から読む際には、契約制度の違いが最初の留保になる。この調査はフランスの契約区分とAudiens加盟企業のデータに基づく。CDDUをそのまま日本の業務委託に、継続雇用の区分をそのまま正社員に置き換えることはできない。日本との比率の比較を支えるデータも、この公表文にはない。

それでも、音楽で生計を立てる層を見るための問いは読み取れる。公演や録音の仕事がどれだけあるかに加え、誰がどの分野をつなぎ、その先でどんな報酬を得ているのか。今回見えたのは、音楽家の生活を単一分野の雇用だけで語らないための観測点だ。生活の安定という答えではなく、そこへ近づくための測定が始まっている。

## 要するに

- CNMは、契約形態や分野をまたぐ複数就業を雇用調査の新たな分析対象にした。
- 録音・音楽出版では、アーティストだけでなく技術者にも分野をまたぐ契約が広く見られた。
- 契約の重なりは見えたが、それが生活の安定につながるかは、この公表文だけでは分からない。

## 出典（エビデンス）

1. [一次] CNM（国立音楽センター）「Baromètre de l’emploi dans le secteur de la musique et du spectacle vivant」 (2026-02-13) https://cnm.fr/communiques/barometre-de-lemploi-dans-le-secteur-de-la-musique-et-du-spectacle-vivant/
   > "Le Centre national de la musique (CNM) publie, en partenariat avec Audiens, une étude présentant les chiffres de l’emploi pour la musique et le spectacle vivant."
   > 訳: 国立音楽センター(CNM)はAudiensと共同で、音楽と舞台芸術の雇用に関する数値を示す調査を公表する。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **CDD** / Contrat à durée déterminée: フランスの期間を定めた雇用契約。今回の調査では継続雇用側の区分に含まれるが、日本の正社員に相当するものではなく、断続的な仕事に用いるCDDUとも区別される。 https://andown.space/glossary/fixed-term-employment-contract/
- **CDDU** / Contrat à durée déterminée d’usage: フランスで業務の性質に応じて用いられる慣行的な有期雇用契約。今回の調査では、断続的に働くアーティストと技術者の区分に登場し、日本の業務委託とは異なる。 https://andown.space/glossary/customary-fixed-term-employment-contract/
- **音楽出版**（おんがくしゅっぱん） / Music publishing: 歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。 https://andown.space/glossary/music-publishing/
- **国立音楽センター**（こくりつおんがくせんたー） / Centre national de la musique: フランスの音楽支援機関で、略称はCNM。今回の声明では、業界から生じる税収の配分先であり、創作や会場、輸出などを支える財源の議論の中心に位置する。 https://andown.space/glossary/centre-national-de-la-musique/
- **複数就業**（ふくすうしゅうぎょう） / Pluriactivity: ひとりの働き手が複数の仕事や分野に関わること。本調査では、年間に異なる契約形態、または異なる分野で契約を結んだ人を対象とし、同時並行の副業だけを指さない。 https://andown.space/glossary/pluriactivity/

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