# 未発表曲を人間の歌手へ渡す、ギーザー・バトラーのAI活用

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/black-sabbath-bassist-uses-ai-to-bring-unreleased-songs-to-life/
- 公開日: 2026.01.02 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: AI生成音楽（https://andown.space/topics/generative-music/）
- フック: 完成品ではなく、協働への下書き

> ブラック・サバスのベーシスト、ギーザー・バトラーが、1980年代以降に書きためた未発表曲の整理にAIの歌声を使っている。狙いは、人間の歌手に制作意図を伝えることだ。2026年初頭に報じられたこの実践には、生成AIを完成品の供給源だけでなく、共同制作へ進むための下書きとして使う兆しがある。

## 歌手がいない時間に、曲を前へ進める

未発表曲を止めていたのは、曲の不足ではなかった。ブラック・サバスのベーシスト、ギーザー・バトラーには、自宅で制作するときに歌ってくれる人がいなかった。2026年初頭のDigital Music Newsの記事で明かされたのは、その空白にAIの歌声を置く使い方である。

バトラーは米国のイベント、Steel City Conでの質疑応答で、1980年代以降に書いた楽曲を見直していると語った。きっかけは、2025年7月のブラック・サバスの最終公演後に始めた作品の整理。歌詞をAIの歌声で聞ける形にし、今後アルバムで一緒に仕事をする歌手へ持っていくという。

ここでAIは、最終的な歌手として説明されていない。ベースのリフだけを弾いて「これに歌える?」と尋ねる代わりに、自分が求めるものを、より伝わる形にする。生成AIの役割が、作品の完成から一歩手前に置かれている点が、この事例の兆しだ。

## 1980年代の素材と、共同制作の順序

記事に楽曲数の記載はない。バトラー自身は、大量の素材があると話している。確認できる時間の幅は1980年代以降。新曲を素早く増やすというより、長く手元にあった作品を、他者と制作できる状態に近づける用途である。

ブラック・サバスでの作曲は、同じ部屋で演奏を重ねるところから始まったという。使えそうなリフができたら音楽部分を仕上げ、オジー・オズボーンが歌のラインを歌い、その後にバトラーが歌詞を書く。歌声と歌詞は、人が集まる工程の中で形になっていた。

今回の方法では、その順序が変わる。自宅で歌詞を歌声にしてから、人間の歌手へ渡す。全員がそろう前に、曲の方向を共有する材料を用意できるということだ。バトラーは、AIで作業したものを本職の音楽家へ持っていき、そこから引き継いでもらうことが助けになったと説明している。

この工程は、人間の制作をAIが補助するAI-Assistedという見方で捉えられる。ただし、記事には使用サービス名も、歌声を生成する具体的な操作もない。どこまでを本人が指定し、どこからをシステムが補ったかは分からない。確認できるのは、本人が書いた素材と歌詞を、人間との次の作業へつなごうとしていることだ。

## 広がりの焦点は、完成よりも引き渡し

この時点から先の1〜3年を見るなら、注目点はAIの声が人間を置き換えるかどうかだけではない。未完成の曲を、他者が参加しやすい下書きへ変える使い方が、どこまで共有されるかである。歌手と同じ場所にいない制作者や、古い素材を抱える音楽家にとっても、同様の工程が選択肢になる可能性はある。

もっとも、これは一人の音楽家による実践だ。制作時間の短縮、費用、完成曲の品質について、記事は比較データを示していない。アルバムの発売日や参加歌手も明らかではなく、この方法が広く定着するとまでは言えない。

同時に見えてくるのが、クリエイティブ・コントロールの所在である。バトラーは、自分の望むアルバム像を伝えやすくなったと話す。一方、その下書きを受け取る歌手が、どれほど自由に歌を作り直せるかは記事から分からない。意図を伝える助けになることと、協働の余地を残すこと。その両方が、引き渡しの場面で問われ得る。

## 日本から読む、補助と代替の境界

この記事だけで、英国と日本の制作現場におけるAI利用の差は測れない。日本で同様の方法がどれほど使われているかも分からない。ただ、受け取れる区別はある。AIの歌声を公開する作品として使う場合と、人間に歌ってもらう前の資料として使う場合では、制作上の位置づけが異なる。

「AIを使った曲」という一括りの言葉では、その違いは見えにくい。誰が素材を書き、誰に渡し、最後に誰が表現を担うのか。バトラーの説明は、その工程を一つ具体的にした。学習素材の権利処理や収益配分は報じられていない。作者や対価の問題への答えではなく、長く眠っていた曲を人間の協働へ戻す入口。2026年初頭に見えていたのは、その小さな用途である。

## 要するに

- バトラーは、1980年代以降の未発表曲を整えるためにAIの歌声を使っていた。
- AI歌唱の役割は、人間の歌手にアルバムの制作意図を伝える下書きだった。
- 完成品の代替とは異なる、共同制作への橋渡しという用途が見えている。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Digital Music News「Black Sabbath Bassist Uses AI to Bring Unreleased Songs to Life」 (2026-01-03) https://www.digitalmusicnews.com/2026/01/02/black-sabbath-bassist-uses-ai-for-unreleased-songs/
   > "But it’s so much better now, because you can sit in your studio and do everything on AI, and then take it to proper musicians and let them take over."
   > 訳: でも今はずっといい。自分のスタジオでAIを使って一通り作業し、それを本職の音楽家に持っていって、そこから引き継いでもらえるからだ。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **AI-Assisted** / AI-Assisted: 人間が実質的に制作し、一部の表現要素に生成AIを使った録音に付けるラベル。今回の定義では、主たる歌唱と主要な楽器演奏は人間が担うことが条件となる。 https://andown.space/glossary/ai-assisted/
- **クリエイティブ・コントロール** / Creative control: 作品の内容や表現について、制作者が判断できる権限。制作資金の提供や作品の所有権とは別の論点で、どこまで裁量を持てるかは契約によって異なる。 https://andown.space/glossary/creative-control/
- **生成AI**（せいせいエーアイ） / Generative AI: 学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。 https://andown.space/glossary/generative-ai/

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この記事の写真は出典記事の空気感をもとに AI で生成したイメージです。引用の際は上記の出典を一次資料として参照してください。
