# 英国がAI学習の著作権例外の優先案を撤回、声の保護も協議へ

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/cautious-welcome-for-uk-government-s-latest-ai-copyright-stance-as-bmg-f/
- 公開日: 2026.03.19 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: 声の権利（https://andown.space/topics/voice-rights/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 学ばせる許諾と、声を守る権利

> 2026年3月19日、英国政府はAI学習に関する著作権例外の優先案を撤回した。音楽業界は慎重に歓迎する一方、別の例外が導入される余地を警戒する。同じ日に明らかになった無断の声の複製への削除要請からは、学習への許諾と、本人らしさの保護を別々に考える必要性が見えてくる。

## 撤回されたのは、ひとつの優先案

2026年3月19日、英国政府は、AI学習に使う著作物について新たな著作権例外を設ける従来の優先案を取り下げた。音楽業界が歓迎したのは、権利者が拒否を表明しなければ、許可なく音楽などを学習に利用できる仕組みが、政府の第一候補ではなくなったことだ。

ただし、AI学習と著作権の関係が決着したわけではない。翌20日のCMUの報道によれば、政府は別の形の例外を検討する可能性を残している。特定の案の撤回と、例外そのものを設けないという判断。その間には、なお距離がある。

同じ19日、ソニー・ミュージックは、所属アーティストの声を無断で複製した楽曲について、配信サービスに累計13万5000曲超の削除を求めたと明らかにした。こちらは学習に何を使ったかだけではなく、生成された声が誰に似ていて、どう流通するかという問題である。学習の入口と、作品が届く出口。ふたつの課題が同時に浮かび上がった。

## 拒否する責任から、許諾する仕組みへ

英国政府が2024年末に提示したのは、テキスト・データマイニングの著作権例外だった。権利者が技術的な手続きで権利を留保するオプトアウトを行わない限り、AI企業は既存のコンテンツを学習に利用できる。利用前に許可を得るのではなく、利用されたくない側が意思表示する構造である。

音楽を含む創作分野はこれに反発し、抗議や政策担当者への働きかけを続けた。撤回を受け、作詞・作曲家らの団体The Ivors Academyは、権利者の承認、公正な報酬、透明性を伴う枠組みを求めた。一方、BPIやUK Musicは、別の著作権例外によって同様の問題が再び生じることを警戒している。歓迎が慎重なのは、次の制度がまだ定まっていないためだ。

政府が示した次の作業は、AI生成コンテンツの表示を考える作業部会、創作者がオンラインで作品を管理する手段の検証、そしてデジタルレプリカに関する意見募集である。ひとつの例外規定で処理する方針から、表示、管理、声や容姿の保護をそれぞれ検討する段階へ移ったと読める。ただし、具体的な権利や運用方法はまだ決まっていない。

## 声の保護と学習訴訟は、別の経路を進む

ソニー・ミュージックのDennis Kookerは、無断の声の複製が正規のアーティストに直接的な商業上の害を与え、新作の宣伝時期を狙うことも多いと説明した。13万5000曲超という数字は、同社が削除を要請した曲数であり、実際に削除された数でも、市場全体の件数でもない。それでも、声の保護が抽象的な議論だけではなく、流通管理の実務になっていることは示している。

CMUによれば、声や容姿を本人が管理する問題は、著作権だけでは捉えきれない。英国には、記事が挙げる米国型のパブリシティ権や人格権に相当する権利が現状では存在しない。米国では新たなデジタルレプリカの権利を設ける法案が議会で審議され、デンマークとオランダでも保護の提案が進んでいた。英国の協議も、こうした別の保護経路を検討する可能性がある。

一方、米国ではBMGがAnthropicを提訴した。同社が管理する歌詞を、必要な許可なくClaudeの学習に複製したという主張だ。Anthropic側は、AI学習には米国法のフェアユースが適用されると主張している。ただし、書籍著者との別の訴訟では、海賊版を出発点とする学習について裁判官が否定的な判断を示したと記事は伝える。これはBMGの訴えの結論ではない。

この時点から先の1〜3年を見ると、議論が学習の許諾、生成物の表示、声や容姿の保護へ分かれ、それぞれ異なる制度や契約で扱われる可能性がある。英国の政策協議と米国の訴訟は、その境界を別々の場所から確かめている。ひとつの判断が、すべてを解決する構図ではない。

## 日本から見ると、同じ「AI問題」ではない

日本から読む際に留意したいのは、英国の優先案撤回も、米国のフェアユースをめぐる争いも、それぞれの法制度を前提にしている点だ。この記事は日本の制度を比較検証していない。英国での撤回を、そのまま日本の学習利用の扱いや声の保護に置き換えることはできない。

それでも、問いの分け方は読み取れる。作品を学習に使う許可と、本人に似た声を流通させる許可は同じではない。英国政府の方針転換と大量の削除要請が並んだこの日、音楽業界が求める保護は、作品の利用条件だけでなく、アーティストが自分の声をどう扱われるかにも及んでいた。

## 要するに

- 英国政府は、権利者の拒否を前提にしたAI学習の著作権例外を優先案から外した。
- ソニー・ミュージックによる13万5000曲超の削除要請は、声の無断複製が流通管理の課題でもあることを示した。
- 学習への許諾と声の保護は、別々の制度として検討され始めていた。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] CMU（Complete Music Update）「Cautious welcome for UK government’s latest AI copyright stance, as BMG files latest Anthropic lawsuit」 (2026-03-20) https://completemusicupdate.com/cautious-welcome-for-uk-governments-latest-ai-copyright-stance-as-bmg-files-latest-anthropic-lawsuit/
   > "Digital replicas are another key area of concern for the music industry, which wants to ensure that artists have control over their voice and likeness in the context of AI."
   > 訳: デジタルレプリカも音楽業界にとって重要な懸念事項であり、業界はAIの文脈でアーティストが自分の声や容姿を管理できるようにすることを求めている。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **オプトアウト** / Opt-out: 利用や参加の対象から外れる意思を示すこと。AI学習では、作品を学習対象に含めないよう求める場面などで使われるが、除外の範囲や手続きは制度・契約によって異なる。 https://andown.space/glossary/opt-out/
- **テキスト・データマイニング** / Text and Data Mining: 文章やデータを機械的に分析し、特徴や関係を取り出すこと。著作権法では、その過程で必要となる複製などを、どの条件で許諾なしに行えるかが論点になる。 https://andown.space/glossary/text-and-data-mining/
- **デジタルレプリカ** / Digital replica: 個人の声や姿をデジタル技術で再現したもの。この記事の法案では、本人と混同される明白な可能性のあるリアルな模倣が保護の対象になる。 https://andown.space/glossary/digital-replica/
- **パブリシティ権** / Right of publicity: 氏名や肖像などが持つ顧客を引きつける力の商業利用に関わる権利。写真の著作権とは別の論点であり、保護の仕組みや範囲は国や地域によって異なる。 https://andown.space/glossary/right-of-publicity/
- **フェアユース** / Fair Use: 米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。 https://andown.space/glossary/fair-use/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/

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