# アバター公演が広げる、音楽家の声と姿をめぐる契約

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/digital-replicas-avatars-and-nil-rights-is-this-the-future-of-music/
- 公開日: 2026.06.25 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: バーチャル・アーティスト（https://andown.space/topics/virtual-artists/）、声の権利（https://andown.space/topics/voice-rights/）
- フック: 歌を届ける、その姿まで契約に

> アバター公演が扱うのは、楽曲だけではない。本人の名前、姿、声を、誰がどこまで使えるのかという契約も、その土台になる。2026年6月25日付のMusic Allyへの寄稿は、故人の再現からゲーム内の出演までをつなぎ、音楽家の商業的な人格をどう扱うかという論点を示した。

## 舞台に立つ姿も、契約の対象になる

楽曲を使う許可だけでは、音楽家のアバターは舞台に立てない。名前や姿をどのように再現し、どんな場面で登場させるのか。その合意が、公演の形を左右する。2026年6月25日付のMusic Allyへの寄稿から見えるのは、音楽の利用に加え、音楽家本人の表現を支える契約が重みを増す兆しだ。

記事によると、故オジー・オズボーンの家族は同年5月、AIを用いた本人のアバターを夏の終わりまでに英国で披露する計画を発表した。歌唱や演技、会話に似たやり取りまで。デジタルレプリカが担い得る役割の広さは、期待とともに、本人をどう再現するのが適切なのかという問いを生んでいる。発表された計画であり、実施後の評価ではない。

寄稿者は法律事務所Reed Smithのエンターテインメント・メディア部門のパートナー、グレゴール・プライアーである。中心に据えるのは、名前・肖像・本人らしさをめぐるNIL権。これは市場全体を調べた報告ではなく、法律実務家が商機と契約上の論点を示す論考だ。その立場を踏まえて読む必要がある。

## 成功例の先にある、長い利用期間

寄稿は、ABBA Voyageを、質の高いバーチャル公演への需要を示す代表例に挙げる。音楽家のキャリアを象徴する時期の姿を再現し、繰り返し上演する。その仕組みは、新しい世代が過去の表現に出会う入口にもなる。ただし、売上高や観客数は本文に示されていない。この出典だけで、市場の規模や成長率までは判断できない。

背景にあるのは、音楽とそれに伴う知的財産を、収益を生む資産として見る関心の高まりだと筆者は説明する。アバター公演は、音楽家本人だけでなく、遺産を管理する側や投資家、事業上の協力者にも収入の機会を開く。一方、本人の死後も姿が使われるなら、利用の条件を考える時間は、生前の活動期間を越えて延びていく。

しかも、NIL権の法的な扱いは国によって大きく異なる。記事は英国の例として、リアーナが自身の画像の無断使用をめぐりTopshopに勝訴した訴訟を挙げる。独立した人格権を設けるという英国政府の構想にも触れるが、確立済みの制度としては扱っていない。技術の進歩に対し、法的な枠組みはなお検討の途中にある。

## 公演からゲームへ、許可の範囲が広がる

この時点から先の数年を考えるうえで、記事が示すもう一つの接点がゲームだ。音楽家のアバターやパフォーマンスをゲーム内で使うライセンスは、公演会場とは違う条件を伴う。ゲーム開発者、運営基盤、音楽家、楽曲などの権利者。それぞれが持つ権利と、制作上の意向を調整する必要がある。

重要なのは、出演を認めるかどうかだけではない。どの場面でアバターを動かすのか、音楽をどう組み合わせるのか、誰が承認するのか。記事は、利用方法を細かく把握し、権利と承認の分担を契約に反映させることを重視する。既存の録音契約や音楽出版、配信に関する契約で、想定以上に広い権利を渡していないかという確認も論点になる。

公演に仮想現実を組み合わせるなど、表現形式が更新される可能性もある。ただし、技術的にできることが、そのまま許諾済みのことになるわけではない。今後の広がりを左右し得るのは、再現の精度に加え、新たな演出や媒体に移る際にも、本人の意図や価値観をどう保つかという契約の設計である。普及の速度や勝者までを、この寄稿は実証していない。

## 日本から見る、本人を再現する境界

日本から読む際は、NIL権という呼び名を、そのまま共通の法制度と受け取らないことが出発点になる。出典が具体的に扱うのは主に英国の法的な論点であり、日本で同じ許可や契約が通用するとは示されていない。国ごとの違いがあるという指摘こそ、海外の公演形式を日本に重ねる際の留保になる。

また、実在しない音楽家を新しくつくることと、実在した音楽家をデジタルに再現することも同じではない。後者には、本人が残した表現や意思、既存の契約が伴う。ここで見えるのは、楽曲の利用許諾とは別に、誰のどの時期の姿を、どの文脈で届けるのかを合意の対象にする動きだ。舞台の新しさを支えるのは、姿と声の扱いをめぐる、細かな取り決めでもある。

## 要するに

- アバター公演では、楽曲に加えて音楽家の名前や姿の利用条件が問われている。
- ゲーム内出演への展開は、権利と承認を分ける契約の重要性を示している。
- 本人の死後や新しい媒体での利用まで、合意が扱う時間と範囲が広がっている。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Music Ally「Digital replicas, avatars, and NIL rights: is this the future of music?」 (2026-06-25) https://musically.com/2026/06/25/digital-replicas-avatars-and-nil-rights-is-this-the-future-of-music/
   > "The licensing of avatars and performances of artists within gaming ecosystems illustrates particularly well the complex web of pitfalls and possibilities which surrounds NIL rights in practice."
   > 訳: ゲームのエコシステム内で音楽家のアバターやパフォーマンスを利用許諾することは、実務上のNIL権を取り巻く、落とし穴と可能性の複雑な絡み合いをとりわけよく示している。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **NIL**（エヌアイエル） / Name, image, and likeness: 名前、画像、肖像など、人物や活動主体を識別する要素の商業利用に関わる権利の総称。楽曲そのものの権利とは区別され、許諾の範囲は契約による。 https://andown.space/glossary/name-image-likeness/
- **デジタルレプリカ** / Digital replica: 個人の声や姿をデジタル技術で再現したもの。この記事の法案では、本人と混同される明白な可能性のあるリアルな模倣が保護の対象になる。 https://andown.space/glossary/digital-replica/
- **ライセンス** / Licensing: 一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。 https://andown.space/glossary/licensing/
- **音楽出版**（おんがくしゅっぱん） / Music publishing: 歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。 https://andown.space/glossary/music-publishing/

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