# 配信の値上げと直販が並走する、音楽収益の次の設計

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/goldman-sachs-2026-music-report-the-monetization-era/
- 公開日: 2026.10.16 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: 業界の構造変化（3〜5年）
- テーマ: ストリーミング2.0（https://andown.space/topics/streaming-2/）
- フック: 聴く料金と、支える支出のあいだ

> 定額配信の料金を上げる動きと、熱心なファンに直接届ける仕組み。その両方が、音楽市場の成長を支える柱として位置づけられている。Hypebotが紹介するGoldman Sachsの報告から見えるのは、配信の置き換えではなく、同じ作品に異なる支払いの入口を設ける動きだ。ただし、市場全体の増収と個々の作り手への還元は分けて読む必要がある。

## 配信の外側に、もう一つの入口

同じ作品を、配信が始まる前に直接買う。その後は定額配信でも聴く。音楽の購入とストリーミングを二者択一にしない設計が、成長の手段として扱われ始めている。兆しは、再生回数を増やすこととは別に、作品への関与の深さを収入につなぐ経路が整えられている点にある。

Hypebotが紹介するGoldman Sachsの「Music in the Air」報告は、アーティストがファンへ直接販売するD2Cを、構造的な収益源として位置づける。配信サービスが実現に苦戦してきた高価格帯のスーパープレミアムの役割を、外部の直販サービスが担いつつある、という整理だ。

記事によれば、配信前に直販の先行販売期間を設けたアーティストには、先行収入を得ても、その後の配信実績が落ちないという結果が報告されている。ただし、対象作品数や比較方法は記事に示されていない。あらゆる作品で再現する法則ではなく、販売と配信が補完し得るという観察として読む必要がある。

## 加入者数だけでなく、単価と関係へ

背景にあるのは、成熟市場で新しい加入者を獲得することだけに依存しない成長モデルだ。報告は、配信事業者が従来の月額9.99ドルという価格の壁を越え、解約の増加を抑えながら値上げしてきたとする。今後は個人・家族向けプランで、12〜24か月ごとの価格改定を予測している。定期的な値上げは、ここでは将来の想定である。

有料配信から権利者に入る収入は、2025年の170億ドルから2035年には330億ドルへ。有料加入者は8億3700万人から15億2500万人へ増えるという予測だ。人数と収入の両方を伸ばす筋書きであり、加入者の拡大が不要になったという話ではない。新興市場への普及と、成熟市場での単価上昇が並行して想定されている。

もう一つの単価は、熱心なファンが選ぶ支出だ。記事は、購入者が価格を決められる直販ストアでは、半数近くが設定された最低額を超えて支払うと紹介する。ただし、調査対象や地域は示されていない。この割合を音楽リスナー全体へ広げることはできない。それでも、聴取への一律料金とは異なる支払い方が成立している点は見逃せない。

## 直販を支えるのは、売り場だけではない

報告が描くD2Cは、販売サイト一つで完結しない。作品や商品の販売、会員制コミュニティー、ファンへの直接通知、チケットの先行販売という四つの機能を組み合わせる。EVENの配信前販売、Patreonの継続課金、Layloの直接メッセージなどが、その具体例として挙げられている。

重要なのは、販売のたびに不特定多数へ告知するだけでなく、関心を示した相手に次の機会を届けられる点だ。記事が紹介するBandsintownの仕組みでは、ファンが先行販売の通知を希望すると、開始直前にリンクやコードが送られる。聴取、購入、来場の間にある接点をつなぐ設計である。

企業側の対応も始まっている。UMGはEVENなどと提携・投資を進め、Sony MusicとWMGは社内にD2C専門部門を設けたと記事は伝える。今後3〜5年の焦点は、こうした機能が単発の販売施策から、発売や公演を支える継続的な業務へどこまで組み込まれるかにある。

ただし、規模の違いは大きい。記事が紹介するD2C収入の予測は、現在の年間数千万ドル規模から、今後10年で数億ドル規模への拡大だ。有料配信の予測額とは隔たりがある。近い将来に配信を置き換えるというより、配信とは異なる価値に対する追加の支出を受け止める経路として広がる可能性がある。

## 日本から見る、値上げと追加支出の違い

日本から読む際には、海外で示された成長の筋書きと、日本市場の実態を分けたい。この記事には、日本の料金水準、直販利用率、ファンの支出配分を比較できるデータがない。日本でも同じ頻度の値上げや、同じ規模の追加購入が成立するとは判断できない。米国の若年層による公演支出の調査も、そのまま日本の需要を示すものではない。

一方、読み取れる区別は明確だ。定額配信の値上げは、サービスを使い続けるための負担を変える。直販は、特定の作品や作り手に追加で支払う選択肢をつくる。両者が並走すれば市場の収入口は増えるが、個々のアーティストの手取りまで一様に増えるとは限らない。そこに見えるのは、聴ける範囲を売る仕組みの隣に、関わり方の違いを受け止める仕組みが育ちつつあることだ。

## 要するに

- Goldman Sachsの報告は、有料配信の加入者増と定期的な値上げを、将来の成長要因として見込んでいる。
- Hypebotは、配信前の直販が、その後の配信実績を損なわず収入を加えるという報告を紹介している。
- 販売、会員制、直接通知、先行予約をつなぐD2Cへの投資と組織整備が進んでいる。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Hypebot「Goldman Sachs 2026 Music Report: The Monetization Era」 (Fri, 16 Oc) https://www.hypebot.com/goldman-sachs-2026-music-report-the-monetization-era/
   > "Artists who run direct-to-fan sales windows ahead of general DSP drops capture high-margin upfront revenue without experiencing any drop in subsequent streaming performance."
   > 訳: 配信サービスでの一般公開に先立ってファンへの直接販売期間を設けるアーティストは、その後の配信実績を落とすことなく、利益率の高い先行収入を得ている。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **D2C** / Direct-to-Consumer: アーティストやレーベルがファンへ直接、作品や商品、会員サービスなどを届ける仕組み。販売だけでなく、購入後も連絡できる関係づくりを含む。 https://andown.space/glossary/direct-to-consumer/
- **スーパープレミアム** / Super-premium: 通常の有料音楽配信より高い価格帯で、追加の機能や特典を提供する構想。単なる月額料金の値上げとは異なり、追加料金に見合う価値の設計が焦点となる。 https://andown.space/glossary/super-premium/
- **ストリーミング** / Music streaming: ネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。 https://andown.space/glossary/music-streaming/
- **先行販売**（せんこうはんばい） / Ticket presale: 一般販売に先立ち、会員など一定の条件を満たす人を対象にチケットの購入機会を設ける仕組み。対象資格があっても購入保証とは限らず、販売枚数や受付条件が重要になる。 https://andown.space/glossary/ticket-presale/

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