# LAのザ・ボックス閉廊が映す、実験を支える画廊の仕事

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/interview-with-paul-and-mara-mccarthy-following-the-closure-of-the-box/
- 公開日: 2026.06.23 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: アート市場の再編（https://andown.space/topics/art-market-reset/）
- フック: 売るだけでは残せない表現の行方

> ロサンゼルスのギャラリー、ザ・ボックスが19年の活動を経て閉廊を発表した。2026年6月のインタビューから見えるのは、見過ごされてきた作家を紹介するだけでなく、美術館が作品を収集・保存する方法まで、ともにつくってきた仕事である。その継続の難しさは、市場価格だけでは捉えきれない。

## 閉じるのは展示室だけではない

2026年6月、ロサンゼルスのザ・ボックスが閉廊を発表した。美術作家ポール・マッカーシーと娘のマーラ・マッカーシーが2007年に設立し、19年にわたって運営してきたギャラリーである。美術、パフォーマンス、音楽のあいだにある表現や、多くの画廊や主要美術館が見過ごしてきた作家を紹介してきた。

ここに見える兆しは、小規模な画廊の撤退だけではない。作品を見せることと、その作品が理解され、収蔵され、後世に残ること。そのあいだの長い仕事を引き受ける場所が、継続の難しさに直面している。Artforumのインタビューで、ふたりは販売実績よりも、実験を支える条件や、作家が生きていける仕組みを繰り返し語っている。

マーラが当初考えていたのも、販売の場だけではなかった。ニューヨークで作品を見ても、その後に語り合う場所がないという不満。美術館教育を学んだ経験から、ギャラリーを教育と対話の空間にし、階級による隔たりにも開いていきたいと考えていたという。

## 19年を要した、作品の受け渡し

活動の中心には、バーバラ・T・スミス、ジュディス・バーンスタイン、シモーヌ・フォルティらがいた。若い作家も支援したが、すでに長く制作を続けていた作家を、美術史のなかに位置づけ直すことも重要な仕事だった。マーラは、評価され、美術館で展示され、ほかの画廊につながるまでには時間がかかると、活動の初期から意識していた。

その時間の内訳を示すのが、フォルティの《ダンス・コンストラクションズ》をめぐる美術館との協議である。マーラによれば、ニューヨーク近代美術館による取得に際し、パフォーマンスアートをどう保存するかについて、多くの対話が必要だった。絵画ではない作品を残すために、何を保存の対象とするかから考える必要があったという。

壁に説明文を置くのか。室内には何が必要か。写真を展示するのか。収集は購入で完了せず、再び作品を成立させる条件の検討へ続く。ギャラリー・リプレゼンテーションには、販売や展覧会の調整に加え、こうした作品の扱い方を美術館とすり合わせる仕事も含まれていた。

一方、閉廊の経営的な全容は、このインタビューの提供範囲からは確定できない。ポールは資金不足で十分に支えられない企画があったと語り、継続は難しいと述べる。家族がイートン火災で自宅や共同アトリエを失ったことも明かされるが、その影響を説明する途中で本文は途切れている。損失額や売上の推移は示されておらず、市場不振だけを原因とする読み方には留保が要る。

## 引き継がれるのは作品か、支援の仕組みか

今後数年を考えるうえで焦点となるのは、作品の移動先だけではない。マーラは閉廊に際し、一部の作家がほかの人や画廊から継続的な支援を受けられるか、なお確信が持てないと語る。認知が高まることと、日々の活動を支える相手がいることは、同じではない。

ポールが着想の一つとして挙げるのは、アーティスト・ラン・ギャラリーだった。作家自身が場をつくり、既存の評価からこぼれる表現に場所を与える。ただしザ・ボックスの経験は、その志向が長期運営の安定を約束するわけではないことも示している。非営利組織は重要だと認めながら、作家はどう生きていくのかと彼は問う。

美術館による収集が進めば、保存や展示の知識が館内に蓄積される可能性はある。しかし、それが作家との日常的な対話や、新たな実験への支援まで代替するとは限らない。この先、別の画廊や美術館が何を引き継ぐのか。収蔵作品の数だけでなく、支援の連続性を見る必要があることを、この事例は浮かび上がらせる。

## 日本から見る、価格の外側の仕事

日本から読む際には、ロサンゼルスの一事例を国内の画廊事情と同一視することはできない。この記事には日本の売上や支援制度との比較材料はない。むしろ読み取れるのは、「ギャラリー」という同じ呼び名のなかに、販売、教育、作家の再評価、美術館との保存方法の協議という、異なる仕事が重なっていることだ。

閉廊によって失われ得るものも、展示面積や取引の機会だけではない。理解されにくい表現のために説明を重ね、作品を残す条件を整える時間。その担い手がどこにいるのかという問いである。ザ・ボックスの19年は、市場が作品を評価するまで、そして評価された後にも続く、支えの存在を見えるものにしている。

## 要するに

- ザ・ボックスは19年にわたり、見過ごされてきた作家と実験的な表現を支えてきた。
- その仕事は展示や販売にとどまらず、美術館によるパフォーマンスの収集・保存にも及んだ。
- 閉廊時点では、一部の作家への継続的な支援を誰が引き継ぐかは見通せていない。

## 出典（エビデンス）

1. [論評] Artforum「Misfit’s Paradise Lost: Paul and Mara McCarthy on the life and times of LA’s The Box」 (2026-06-23) https://www.artforum.com/columns/misfits-paradise-lost-sarah-lehrer-graiwer-1234752708/
   > "And even still now, as I’m closing, I feel uncertain whether some of the artists will get ongoing support from other people, other galleries."
   > 訳: そして閉廊を迎えるいまも、一部の作家がほかの人やほかのギャラリーから継続的な支援を得られるのか、確信が持てずにいる。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **アーティスト・ラン・ギャラリー** / Artist-run gallery: 作家自身が運営に関わるギャラリー。作品を発表する場を自らつくる仕組みだが、販売方法、法人形態、運営資金は一様ではなく、作家の制作と運営の負担配分も論点になる。 https://andown.space/glossary/artist-run-gallery/
- **アトリエ** / Atelier: 美術作家が作品を制作する作業場。採光、換気、収納、水回りなどの条件が制作方法と関わり、住居や展示の場を兼ねる場合もある。外観だけでなく、日々の工程との関係が重要になる。 https://andown.space/glossary/atelier/
- **ギャラリー・リプレゼンテーション** / Gallery representation: ギャラリーが作家を継続的に紹介し、展示や作品販売などを担う関係。独占性や対象地域、仕事の範囲は関係ごとに異なり、単発の展示参加とは区別される。 https://andown.space/glossary/gallery-representation/
- **パフォーマンスアート** / Performance art: 作家自身や出演者の身体、行為、時間を表現の素材とする美術。完成した物だけでなく、その場で起こる出来事や観客との関係が作品の重要な要素になる。 https://andown.space/glossary/performance-art/
- **非営利組織**（ひえいりそしき） / Nonprofit organization: 利益を構成員に分配することではなく、定めた目的の実現を軸に活動する組織。収入を得ないという意味ではなく、活動の継続には資金と人員の確保が必要になる。 https://andown.space/glossary/nonprofit-organization/

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