# ソルト・ン・ペパの控訴が問う、原盤を取り戻す権利

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/judges-keep-overriding-artist-safeguards-say-salt-n-pepa-in-latest-termi/
- 公開日: 2026.04.01 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: 音楽の金融化（https://andown.space/topics/music-as-asset/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 契約の入口で分かれる権利回復

> ソルト・ン・ペパが、ユニバーサルを相手に原盤の権利回復を求めた訴訟の棄却に異議を唱えている。2026年4月初めの控訴書面が照らすのは、35年後に権利を取り戻せる米国の制度と、その入口となる契約解釈の隔たりだ。争点は経過した時間ではなく、録音の権利が最初に誰に帰属し、どう移ったのかにある。

## 35年の先で、契約の入口に戻る

長く聴かれてきた録音を、作り手は取り戻せるのか。ソルト・ン・ペパのシェリル・ジェームズとサンドラ・デントンが争っているのは、単に契約から何年が過ぎたかではない。その録音の権利を、そもそも自分たちが持ち、相手に渡したのかという出発点である。

2026年4月2日付のCMUによると、二人はユニバーサル・ミュージックを相手に起こした訴訟を年初に棄却され、第2巡回区控訴裁判所に判断の見直しを求めている。控訴を率いるのは弁護士リチャード・ブッシュ。書面は、原審の判断には誤りがあり、作り手を守る制度の目的を損なうと主張する。

ここに見える兆しは、原盤を取り戻す議論が、権利回復を認める制度の有無から、その制度に入れる契約とは何かへ移っていることだ。長い時間を経た録音の所有をめぐり、制作時の契約の読み方が改めて問われている。ただし、控訴側の主張が認められたわけではない。

## 権利回復を分ける「最初の所有者」

米国の移転終了権は、事業上の相手に著作権を移した作り手が、35年後にその移転を終了させ、権利を取り戻せる制度である。CMUが紹介する控訴書面によれば、1976年著作権法に設けられた現行制度には、1909年法の類似制度をめぐる裁判所の解釈によって生じた問題を修正する意図があった。これは二人の側が示す立法史の読み方でもある。

録音では、その前提となる所有関係が争われやすい。原盤の権利を最初から制作会社やレーベルが持っていたなら、アーティストからの移転はなく、終了させる対象もない。レーベル側が根拠にするのが、ワーク・メイド・フォー・ハイアという米国法上の仕組みだ。この枠組みで作られた録音では、レーベルが最初の権利者となり、移転終了権は適用されない。

二人が1980年代の録音について権利回復を求めた際、ユニバーサルは、制作会社NITAとの当初の契約に権利の移転はなかったと主張した。さらに、二人は当時ワーク・メイド・フォー・ハイアの関係にあったとも主張した。NITAは後に、その権利をユニバーサルへ売却している。

原審のデニス・コート判事は、終了させられる権利移転が当初の契約に含まれていないとして訴えを退けた。一方、ワーク・メイド・フォー・ハイアに該当するかどうか自体は判断していない。この二つを区別して読む必要がある。レーベル側の説明すべてが、判決で認定されたわけではない。

## 古い契約の読み方が、資産の境界になる

控訴側は、録音が形ある媒体に固定された時点で、法律上の著作者である二人に権利が生じたと主張する。そのうえで、当初の契約には著作権とその独占的な利用権を与える文言があるのに、原審はそれを十分に考慮しなかったと批判している。

もう一つの争点は、契約で二人が自分たちの著作権所有を明示していたかという問いだ。控訴側によれば、原審はその明示がないことを重視した。しかし、そうした明示を求める法律上の要件はない、というのが二人の反論である。制度にない条件を裁判所が追加したのではないか。それが控訴の中心にある。

この時点から先の1〜3年を考えると、注目点は勝敗だけではない。どの契約文言が権利移転を示すのか、作り手の当初の所有をどう判断するのか。その説明が他の録音をめぐる交渉や紛争で参照される可能性がある。ただし、今回の書面だけで、別の契約や作品にも同じ結論が及ぶとは言えない。

原盤を長期に収入を生む資産として見るなら、これは所有の安定性にも関わる論点だ。買い手が手にした権利が、将来どこまで続くのか。その見通しは、後年の売買だけでなく、最初の制作契約にも左右され得る。今回の記事は資産評価への影響を示してはいないが、権利の価値と契約解釈が切り離せないことを読み取れる。

## 日本から見ると、年数より権利の経路

日本から読む際には、35年という数字だけを国内の契約に重ねることはできない。この記事が扱うのは、米国法が設けた権利回復の仕組みと、その適用条件である。日本での扱いを判断する材料ではなく、米国の録音をめぐって、保護制度があっても契約解釈がその入口を左右するという事例だ。

国境を越えて音楽の権利を捉えるとき、誰が持っているかという現在の名義だけでは見えないものがある。誰に最初の権利が生じ、何が渡され、後に誰が取得したのか。2026年4月初めに見えていたのは、長く流通してきた録音の将来を、その出発点から問い直す動きである。

## 要するに

- ソルト・ン・ペパは、原盤の権利回復を求めた訴訟の棄却に対し、控訴で契約解釈を争っている。
- 35年後の移転終了権は、作り手から相手への権利移転があったかどうかを入口としている。
- 録音を長期保有する資産として見る視点に、最初の契約と所有関係を確かめる論点が重なっている。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] CMU（Complete Music Update）「Judges keep overriding artist safeguards say Salt N Pepa in latest termination rights filing」 (2026-04-02) https://completemusicupdate.com/judges-keep-overriding-artist-safeguards-say-salt-n-pepa-in-latest-termination-rights-filing/
   > "Under US law, if the recordings are created on a ‘work for hire’ basis, the label is the first owner of the copyright and the termination right does not apply."
   > 訳: 米国法では、録音が「ワーク・フォー・ハイア」の枠組みで制作された場合、レーベルが著作権の最初の所有者となり、移転終了権は適用されない。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **ワーク・メイド・フォー・ハイア** / Work made for hire: 雇用や一定の委託に関わる米著作権法上の作品の扱い。該当すると終結権は適用されないが、契約にそう記すだけで成立するかどうかも、法的な検討を要する。 https://andown.space/glossary/work-made-for-hire/
- **移転終了権**（いてんしゅうりょうけん） / Copyright termination right: 著作権の移転を一定の条件で終了させる米国法上の権利。本件では、期間の経過に加え、本人が権利を保有し移転したかどうかが判断の中心となった。 https://andown.space/glossary/copyright-termination-right/
- **原盤**（げんばん） / Master recording: 音楽の録音そのものや、その元となる録音物を指す言葉。権利を論じる際は、録音に関する権利と、テープなど現物の所有を区別する必要がある。 https://andown.space/glossary/master-recording-rights/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/

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