# 韓国公取委が審査する、K-POP契約の賠償算定

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/korea-s-fair-trade-commission-puts-k/
- 公開日: 2026.06.29 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: K-POP以後（https://andown.space/topics/after-kpop/）、レーベル2.0（https://andown.space/topics/label-2/）
- フック: 個人の紛争から契約の共通基盤へ

> NewJeansの元メンバー、ダニエル・マーシュの申し立てを受け、韓国公正取引委員会がHYBEと傘下のAdorに関する正式審査を開始した。争点は彼女への処遇だけではない。契約を途中で終える際、実際の損失ではなく将来の予想収入を基に賠償を求める仕組みへと、問いが広がっている。個別の紛争から、業界共通の契約を見直す入口が現れた。

## 一人への処遇が、共通契約の問いになる

2026年6月、韓国の公正取引委員会は、NewJeansの元メンバー、ダニエル・マーシュの申し立てを受け、HYBEと傘下のAdorに関する正式審査を始めた。CMUが同月30日に報じた。ここで見える兆しは、グループ内の紛争が、K-POP業界で使われる契約の公平性を検討する場へ移りつつあることだ。

申し立ての中心には、メンバー間の処遇の違いがある。ダニエル側は、5人全員が同じ契約紛争に関わったのに、彼女だけがグループから外され、訴訟の対象になったと主張する。一方、Ador側は、彼女の家族がミン・ヒジンと共謀し、グループをHYBEの外へ移そうとしたと訴えている。これは係争中の主張であり、認定済みの事実ではない。

審査の射程は、その対立だけに収まらない。申し立ては、アーティストと事務所の利害を、業界共通の契約が公平に調整できているかも問う。正式審査の開始は違反の認定を意味しない。それでも、個人への対応と契約の共通ルールが、同じ問題として検討される入口になった。

## 将来の収入と、実際の損失のあいだ

発端は2024年にさかのぼる。HYBE経営陣との対立を経て、Ador創業者で最高経営責任者だったミンが同社を追われた。NewJeansの5人は彼女を支持し、Adorを離れると表明。HYBEは一方的な契約解除はできないとし、Adorは裁判を通じて契約の履行を求めた。その後、グループは同社との活動継続に合意したが、ダニエルはメンバーから外された。

今回、特に問われているのが、契約を途中で終える際の違約金条項である。CMUによれば、申し立ては、実際に生じた損失ではなく、アーティストの将来の予想収入を基に賠償請求できる仕組みを批判している。すでに失われたものを埋める計算なのか、まだ実現していない売上まで含める計算なのか。その違いが争点になる。

さらに、グループの一人をめぐる紛争をどう扱うかがある。残るメンバーで活動を続け、収入を生める場合に、離れる一人に関する損害賠償をどう算定するのか。申し立ては、既存の条項ではこの点が明確でないとする。グループ全体の契約と、一人ひとりの責任の範囲が重なる場所だ。

ダニエルの代理人は、急速な変化、国際化、大規模な拡大を経たK-POP市場に、標準アーティスト契約が合わなくなっていると説明している。これは代理人側の評価である。ただ、市場の成長そのものより、成長した市場を支える契約の適合性が問われている点に、今回の審査の特徴がある。

## 輸出モデルを支える契約にも視線が向く

この時点から今後数年を見るなら、焦点は、審査が個別の処遇の検討にとどまるか、業界で共通して使われる条項にまで及ぶかにある。CMUは、K-POP業界の企業側が、紛争の影響が他の事務所へ広がることをすでに懸念していると伝える。ただし、契約の改定や新たな規制が決まったわけではない。

仮に共通条項の検討が進めば、将来収入の見積もり方、グループの活動継続と個人の責任の切り分け方が、他社にも関わる論点となる可能性がある。問われるのは、事務所が活動を組織し契約を維持する利益と、アーティストが負う責任を、どこで釣り合わせるかだ。

K-POPの次を考える際、楽曲や育成方法だけでなく、その仕組みを支える契約にも視線が向き始めている。今回の報道が示すのは、新しい契約モデルの完成ではない。国際的に広がった事業と、従来の契約の間にあるずれを、審査の場で検討しようとする動きである。

## 日本から見ると、比較の単位が変わる

日本からこの件を読む際、韓国での申し立てを、そのまま日本の契約慣行の説明に置き換えることはできない。出典は日本の契約内容や制度との比較を示していない。共通点や違いを確かめるには、実際の条項と、それが適用される条件を分けて見る必要がある。

それでも、読み取れる問いは具体的だ。グループが続くことと、一人が離れることは、契約上どのように接続されているのか。海外での成功や事務所との対立という大きな物語の下で、将来収入の算定と個人の責任という細部が表に出てきた。2026年6月にあった兆しは、その細部が業界共通の課題として扱われ始めたことである。

## 要するに

- 韓国公取委は、ダニエルの申し立てを受け、HYBEとAdorに関する正式審査を始めた。
- 申し立ては、将来の予想収入を基にする賠償算定と、グループ内の個人の扱いを問題にしている。
- 個別の紛争から業界共通の契約へと検討が広がる可能性があるが、結論や改定はまだ示されていない。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] CMU（Complete Music Update）「Korea’s Fair Trade Commission puts K」 (2026-06-30) https://completemusicupdate.com/koreas-fair-trade-commission-puts-k-pop-deals-in-the-spotlight-following-complaint-from-sacked-newjeans-member-danielle/
   > "The KFTC announced it was opening a formal review of Marsh’s complaint earlier this month."
   > 訳: 韓国公正取引委員会は今月初め、マーシュの申し立てについて正式審査を開始すると発表した。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **違約金条項**（いやくきんじょうこう） / Penalty provision: 契約に反した場合や途中で終了した場合の金銭負担を定める条項。本件では、実際の損失ではなく将来の予想収入を基に請求できる仕組みが問題にされている。 https://andown.space/glossary/penalty-provision/
- **損害賠償**（そんがいばいしょう） / Damages: 契約違反などによって生じた損害を金銭で補うこと。本件の争点は、請求できるかだけでなく、将来収入や残るメンバーの活動を金額にどう反映するかにある。 https://andown.space/glossary/damages/
- **標準アーティスト契約**（ひょうじゅんあーてぃすとけいやく） / Standard talent agreement: アーティストと事務所などの関係について、共通のひな型や条件を用いる契約。本件では、業界で用いられる契約が、拡大した市場に適合しているかが問われている。 https://andown.space/glossary/standard-talent-agreement/

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