# LACMA新館、海を軸に美術史を編み直す展示へ

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/lacma-to-unveil-long/
- 公開日: 2026.04.15 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: ミュージアムの再定義（https://andown.space/topics/museum-redefined/）
- フック: 展示の順路から、歴史をほどく

> ロサンゼルス郡立美術館が、7億2400万ドルを投じた新館の一般公開を5月4日に予定している。2026年4月15日時点で見えていたのは、建築の更新とともに、海を軸に収蔵品を結び直す試みだった。眺望と作品の見やすさ、自由な回遊と迷いやすさ。その間で、美術館の体験が問い直されている。

## 新館が変えるのは、建物だけではない

ロサンゼルス郡立美術館(LACMA)は、新たなデイヴィッド・ゲフィン・ギャラリーズを5月4日に一般公開する予定だ。会員向けの公開は4月19日から。2026年4月15日付のArtforumが伝えたのは、構想から12年以上を経た建築の節目である。同時にそこには、収蔵品をどのような関係のもとで見せるかという、展示の組み替えがあった。

開館展を担うのは45人のキュレーター。収蔵品を使い、美術史全体を扱うという。その枠組みに置かれるのは、太平洋、インド洋、大西洋、そして地中海だ。文化交流、移住、交易を主題に、作品同士を結びつける。美術史を海のつながりから読み直すキュレーションが、新館の出発点となる。

兆しは、建築の新しさだけで来館者を迎えるのではなく、歴史をたどるための地図も描き直そうとしている点にある。海を枠組みにすれば、作品が生まれた場所だけでなく、人や物が移動した経路にも目が向く。ただし、個々の作品がどのように並ぶのか、その試みが鑑賞にどう届くのかは、この記事だけではまだ判断できない。

## 7億2400万ドルと、ひとつの展示階

ペーター・ズントーが設計した新館の費用は7億2400万ドル。財源には郡の拠出、借り入れ、民間寄付が使われた。建設のために既存の4棟を取り壊し、新しい建物の長さはフットボール場3面分に及ぶ。ウィルシャー・アベニューをまたぎ、道路の約30フィート上に、展示室がひとつの階に広がる構成だ。

完成までの時間には、感染症流行に伴う遅延、タールや骨の発見による遅延、費用の上昇が重なった。職員の労働組合結成も、経営側の抵抗があるなかで進んだと報じられている。新館は、設計思想だけで成立したわけではない。資金調達と労働、土地の条件が交差する事業でもあった。記事には財源ごとの負担額は示されておらず、費用の数字だけから運営の持続性までは読み取れない。

報道関係者向けの内覧では、評価が分かれた。床から天井までの窓がもたらす街の眺望を高く評価する声がある一方、同じ窓が強い反射光や逆光による見づらさを生むことへの懸念もある。都市に開かれた空間であることと、作品を見やすいこと。その両立が、具体的な論点として現れている。

## 迷うことが、作品を結びつける余地

来館者動線にも、同じような両面がある。ロサンゼルス・タイムズの建築批評家サム・ルベルは、曲がり角へ引き戻され、方向感覚を失い、見落としを気にした体験を記した。その一方で、歩き回り、より注意深く見て、別のつながりを見つけたとも述べている。

> 「だが私は、好奇心のままに歩き回り、よりじっくりと眺め、そうでなければ見いださなかったかもしれないつながりを見つけてもいた」

この批評が示すのは、迷いやすさを単なる欠点とも、自由な鑑賞の保証とも言い切れないことだ。海を軸に作品を結ぶ展示と、折れ曲がりながら進む空間。その組み合わせは、鑑賞者自身が関係を見つける余地を広げる可能性がある。ただし、立ち止まる余裕や身体的な負担によって、同じ空間の受け止め方は異なると考えられる。

この時点から先の1〜3年に注目できるのは、建築への賛否が、展示と鑑賞の評価へどう接続していくかである。ロダンの大作群はウィルシャー・ブールバード北側の庭園に置かれ、ロサンゼルスの現代美術家リズ・グリンの彫刻と対話する配置になるという。海を介した関係づけに加え、異なる時代の作品を隣り合わせる方法も試される。これが他館へ広がるかどうかを示す材料は、まだない。

## 日本から見る、展示の地図の変化

日本からこの計画を見るとき、まず区別したいのは、建物の規模と展示の考え方だ。この記事は日本の美術館との費用や制度の違いを検証できる資料を示していない。巨額の新館を、そのまま日本の将来像と重ねることはできない。一方、海を通じて文化交流や移住、交易をたどる方法は、日本の作品をどの関係のなかで見るかという問いにもつながり得る。

読み取れるのは、美術館の更新が床面積や外観だけの話ではなく、歴史を説明する枠組みと、観客が歩く経験の更新にも及んでいることだ。眺めのよい窓と作品の見やすさ、偶然の発見と位置の分かりやすさ。その間の緊張を残したまま、新しい展示の地図が形になろうとしている。

## 要するに

- LACMAは新館の開館展で、海を枠組みに収蔵品を結び直す計画を示した。
- 内覧では、眺望や回遊の魅力と、光や方向感覚への懸念が併存した。
- 建築の更新と、歴史を見せる枠組みの更新が同時に試されている。

## 出典（エビデンス）

1. [論評] Artforum「LACMA Sets May 4 Opening Date for $724 Million “Curvaceous Concrete Sandwich” as Reviews Pour In」 (2026-04-15) https://www.artforum.com/news/lacma-sets-may-4-opening-date-for-724-million-building-1234747633/
   > "But I also found myself curiously wandering, looking more closely, making connections I might not have otherwise."
   > 訳: だが私は、好奇心のままに歩き回り、よりじっくりと眺め、そうでなければ見いださなかったかもしれないつながりを見つけてもいた。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **キュレーション** / Curation: 作品を選び、調査し、配置や解説を通じて観客との関係をつくる実践。美術館では、何をどの視点から伝えるかという判断と、その責任も含んでいる。 https://andown.space/glossary/curation/
- **キュレーター** / Curator: 作品の調査や選定、展覧会の構成などを担う専門職。担当範囲は館ごとに異なり、来館者対応や施設管理など、公開を支えるほかの仕事とは区別される。 https://andown.space/glossary/curator/
- **資金調達**（しきんちょうたつ） / Financing: 事業を運営し、発展させるために必要な資金を確保すること。融資、出資、助成などでは返済義務や契約条件が異なるため、方法を区別して読む必要がある。 https://andown.space/glossary/financing/
- **来館者動線**（らいかんしゃどうせん） / Visitor circulation: 入口から展示室、ショップ、出口などを結ぶ来館者の移動経路。鑑賞の順序だけでなく、混雑や避難、施設の一部が使えない場合の公開可否にも関係する。 https://andown.space/glossary/visitor-circulation/
- **労働組合**（ろうどうくみあい） / Labor union: 働く人々が労働条件の維持・改善などを目的に組織する団体。使用者と集団で交渉する基盤になるが、結成の表明と、交渉代表としての承認や協約の成立は別の段階である。 https://andown.space/glossary/labor-union/

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