# 英上院委員会、AI学習の許諾市場を支える制度を提言

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/lords-tell-uk-government-it-needs-to-choose-between-two-ai-futures-befor/
- 公開日: 2026.03.06 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: AI生成音楽（https://andown.space/topics/generative-music/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 例外づくりから市場づくりへ

> 英国で、AI学習を著作権の例外として認める議論から、許諾を基盤とする市場を育てる議論への転換が提言された。2026年3月上旬、上院の委員会が示したのは、新たな例外を設けず、学習データの透明性を求める方向だ。政府の方針公表を前に、音楽業界の要求が議会側の提言と重なった。

## 例外ではなく、許諾の市場を

2026年3月上旬、英国上院の通信・デジタル委員会が、AIと著作権をめぐる報告書を公表した。CMUによると、柱はAI企業向けの新たな著作権例外を設けないこと、学習データの透明性を法的に義務づけること、そして声や姿などのデジタルな複製に対する新たな保護だ。音楽業界を含む権利者側の要求に沿った提言である。

注目したいのは、保護を求めるだけではなく、許諾を基盤としたAI開発を英国で育てるという位置づけだ。委員会は政府に対し、無許諾での大量利用を受け入れる方向ではなく、責任ある開発の拠点となる方向を選ぶよう求めた。著作権を、技術開発の制約だけでなく取引の土台として扱う発想が見える。

ただし、これは政府の決定ではない。音楽業界団体UK Musicの最高経営責任者トム・キールは歓迎したが、閣僚が何を採用するかは未確定だった。ここで見える兆しは、新制度の成立ではなく、業界の要求と議会の提言が「許諾市場の育成」という方向で重なったことにある。

## 妥協案が抱えた、許諾の時点

発端は、政府が2024年末に始めた意見募集だ。提案されたのは、テキスト・データマイニングに関する新たな著作権例外。権利者が明示的に権利を留保しない限り、AI企業が既存の著作物を生成AIの学習に使えるという仕組みだった。利用を拒む側に手続きを求める、オプトアウト方式である。

政府側は、大量の学習素材へのアクセスを求めるAI企業と、事前の許諾や対価を求める権利者の間を取る案と考えた。しかし、創作産業側は強く反発した。CMUは、オプトアウト付きの例外がAI企業にとってどれほど有用かも明確ではないと指摘する。政府は支持姿勢をやや後退させたものの、なお妥協点を探していた。

別案として検討されていたのが、開発段階の学習は無許諾で認め、商用化の前にライセンスを取得させる方式だ。AI専門家で活動家のエド・ニュートン=レックスは、この案にも難点があると論じた。商用化の段階で一人の権利者が許諾を拒めば、多額の学習投資が無駄になり得るからだ。

それを避けるため権利者に許諾を強いる仕組みにすれば、今度は権利者側の反発が強まる。争点は単に料金の高低ではない。誰が、どの段階で利用を認めるのか。その順序が、開発投資の確実性と権利者の選択権の双方に関わっている。

## 次に問われるのは、取引の条件

政府には、前年のData (Use And Access) Actの規定により、3月18日までにAIと著作権に関する計画を公表する義務があった。委員のバーバラ・キーリーは、商用AIモデルの学習にオプトアウト付きの新たな例外を導入しないと明言し、許諾を先に置く方式が育つ条件を整えるよう求めた。報告書は、その公表期限を前に出された提言だった。

この時点から先の1〜3年を見るなら、焦点になり得るのは、学習の可否だけでなく、許諾の取引が成立する条件である。学習データの透明性と利用許諾が結びつけば、何を使ったかの説明が、契約を支える情報になる可能性がある。ただし、報告書が実効的な制度や市場につながるかは、政府の対応と具体的な設計に左右される。

出典からは、契約の標準形、料金、小規模な権利者の参加方法までは分からない。「許諾市場を育てる」という方向と、誰もが利用できる市場ができることは同じではない。今回の提言が示したのは、その入口を著作権例外ではなく、許諾に置こうとする動きだ。

## 日本から見る、議論の分かれ目

日本から読む際には、英国で提案された例外制度と、国内での利用の可否を切り分ける必要がある。この記事は日本の制度や契約実務を扱っておらず、その違いを直接比較する材料はない。英国上院委員会の提言を、そのまま日本の法解釈の根拠とすることもできない。

それでも読み取れるのは、AI開発と創作の保護を対立だけで捉えず、両者の取引条件をどう作るかという問いである。学習前の許諾、利用内容の透明性、商用化までの投資の見通し。英国の議論では、それらが一つの制度設計として結びつき始めていた。

## 要するに

- 英上院委員会は、AI学習向けの新たな著作権例外を設けないよう提言した。
- 学習データの透明性と、許諾を基盤とする市場の育成が同時に求められた。
- 2026年3月上旬の時点では、政府がその方向を採用するかは未確定だった。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] CMU（Complete Music Update）「Lords tell UK government it needs to “choose between two AI futures”, before backing the kind of future the music industry wants」 (2026-03-07) https://completemusicupdate.com/lords-tell-uk-government-they-need-to-choose-between-two-ai-futures-before-backing-the-kind-of-future-that-the-music-industry-wants/
   > "The government should now make clear it will not pursue a new TDM exception with an opt-out mechanism for training commercial AI models"
   > 訳: 政府は、商用AIモデルの学習について、オプトアウトの仕組みを伴う新たなTDM例外を導入しないと、ここで明確にすべきだ。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **オプトアウト** / Opt-out: 利用や参加の対象から外れる意思を示すこと。AI学習では、作品を学習対象に含めないよう求める場面などで使われるが、除外の範囲や手続きは制度・契約によって異なる。 https://andown.space/glossary/opt-out/
- **テキスト・データマイニング** / Text and Data Mining: 文章やデータを機械的に分析し、特徴や関係を取り出すこと。著作権法では、その過程で必要となる複製などを、どの条件で許諾なしに行えるかが論点になる。 https://andown.space/glossary/text-and-data-mining/
- **ライセンス** / Licensing: 一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。 https://andown.space/glossary/licensing/
- **学習データ**（がくしゅうデータ） / Training Data: AIがパターンや特徴を学ぶために使うデータ。音楽では楽曲や音声などが対象になり得るが、個別サービスの収集内容や利用条件は、開示資料などによる確認が必要となる。 https://andown.space/glossary/training-data/
- **生成AI**（せいせいエーアイ） / Generative AI: 学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。 https://andown.space/glossary/generative-ai/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/

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