# 豪首相、AI学習で作品の価格まで含む作家の管理を明言

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/music-industry-welcomes-australian-pm-s-statement-that-ai-training-witho/
- 公開日: 2026.07.15 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: AIと作家性（https://andown.space/topics/ai-and-authorship/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 許諾の先にある、価格を決める権利

> 2026年7月中旬、豪首相アンソニー・アルバニージーは、AI学習に使われる作品について、作り手が価格と価値を管理できる必要があると語った。音楽業界が歓迎したのは、無断利用への批判だけではない。著作権の例外を広げる議論から、許諾と対価をどう実装するかへ。その移行を探る発言である。

## 「使わせない」だけでなく、価格を決める

2026年7月中旬、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は、シドニー大学でのAIに関する演説で、作り手による作品の管理を強調した。書籍、音楽、美術、ニュースをAIの構築や学習に使う企業は、作り手の管理を欠いてはならない。その範囲には、作品の「価格と価値」の管理も含まれると述べた。

首相は、それを欠く利用を「窃盗」と表現した。ただし、これは演説での政治的な言葉であり、個々のAI学習の違法性を確定した判決ではない。CMUが報じたのは、新法の成立ではなく、著作権をめぐる政府の姿勢と、それを歓迎する音楽業界の反応である。

兆しは、管理の意味を利用の可否だけにとどめなかった点にある。生成AIへの作品提供を拒めるか。その先に、提供するなら誰が価値を決め、どの条件で取引するのかという問いが置かれた。作品の保護と、学習利用の市場づくりが、同じ議論の中に現れている。

## 例外を求める技術側、契約を示す音楽側

背景には、著作権の例外を広げようとする技術業界の働きかけがある。CMUによれば、ミシェル・ローランド司法長官は2025年10月、AI企業向けの新たな著作権例外の導入を否定した。それでも働きかけは続き、創作分野では政府が方針を変えるのではないかという懸念が生じていた。

争点は、テキスト・データマイニングの例外を設け、既存作品を許可や支払いなしで学習に利用できるようにするかどうかだ。AI企業の一部は、各国の例外規定や米国法のフェアユースを根拠に、許諾は不要だと主張する。一方、音楽業界などは、学習に作品を使うなら権利者とのライセンスが必要だという立場を取る。

対立が表面化したのは、演説の前月にもあった。豪技術評議会会長のスコット・ファーカーは、豪州で学習させるには世界中の録音アーティストと個別に契約する必要があるとして、法改正なしで音楽AIを構築するのは「不可能」と批判した。創作側は、AI企業向けの許諾の仕組みはすでに存在すると反論した。

記事には、利用料の相場や契約件数は示されていない。したがって、既存の仕組みがどの規模まで対応できるかは判断できない。ただ、交渉の仕組みが存在するかという対立と、実際に使える条件になっているかという検証は、分けて読む必要がある。

## 次に試されるのは、原則を契約にする工程

豪音楽出版団体AMPALの最高経営責任者ダミアン・リナルディは、首相の発言を歓迎し、政府、AI企業、海外の関係者とともに、原則を実際の許諾の仕組みに変えていく意向を示した。著作権そのものは交渉の対象にしないが、公正なライセンスについては交渉する用意がある、という姿勢である。

この時点から先の数年で焦点になり得るのは、許諾の必要性を唱える段階から、価格や利用条件を合意する段階へ進めるかどうかだ。作り手の管理を契約でどう表すのか。価格について誰が交渉するのか。首相の発言は方向を示したが、その具体的な制度や契約条件までは明らかにしていない。

広がりにも条件がある。首相自身、AI学習について作り手や権利者が十分な管理を得ている国はまだないと述べ、各国の立法者との協力に言及した。豪州の姿勢だけで国境をまたぐ学習利用が整理されるわけではない。海外との連携を通じて、管理という原則をどこまで共有できるかが問われている。

## 日本から見ると、制度名より管理の中身

日本からこの議論を読む際、豪州の法的な前提をそのまま移すことはできない。出典は、日本の著作権制度や国内の契約実務を比較していないからだ。ここで読み取れるのは、豪州では商用AI学習のための新たな例外を求める動きに対し、政府と音楽業界が、作り手の管理と許諾を軸に応答していたという構図である。

そのうえで目を留めたいのは、「管理」の中に価格まで含めたことだ。作家性の尊重を、名前の表示や利用への同意だけでなく、取引条件に関わる問題として扱う視点。2026年7月中旬に見えていたのは、AIと創作の共存という抽象的な言葉を、誰が条件を決めるのかという具体的な問いへつなぐ動きである。

## 要するに

- 豪首相は、AI学習における作り手の管理に、作品の価格と価値を含めた。
- 音楽出版団体は、著作権保護の原則を実際の許諾の仕組みに変える意向を示した。
- 契約条件や国際的な連携の具体化は、この時点では残された課題だった。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] CMU（Complete Music Update）「Music industry welcomes Australian PM’s statement that AI training without artist control is theft」 (2026-07-16) https://completemusicupdate.com/music-industry-welcomes-australian-pms-statement-that-ai-training-without-artist-control-is-theft/
   > "No country has got this right yet - nowhere do artists or rightsholders have sufficient control of their work when it comes to AI training"
   > 訳: この問題に適切に対処できた国はまだない。AI学習に関して、作り手や権利者が自分たちの作品を十分に管理できている国はどこにもない。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **テキスト・データマイニング** / Text and Data Mining: 文章やデータを機械的に分析し、特徴や関係を取り出すこと。著作権法では、その過程で必要となる複製などを、どの条件で許諾なしに行えるかが論点になる。 https://andown.space/glossary/text-and-data-mining/
- **フェアユース** / Fair Use: 米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。 https://andown.space/glossary/fair-use/
- **ライセンス** / Licensing: 一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。 https://andown.space/glossary/licensing/
- **音楽出版**（おんがくしゅっぱん） / Music publishing: 歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。 https://andown.space/glossary/music-publishing/
- **作家性**（さっかせい） / Authorship: 作品を誰の表現として捉えるか、作者の意図や選択がどこに現れるかを考える概念。個性的な画風だけでなく、制作の方法や主体の位置にも関わる。 https://andown.space/glossary/authorship/
- **生成AI**（せいせいエーアイ） / Generative AI: 学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。 https://andown.space/glossary/generative-ai/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/

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