# ヴェネツィアの国別館でスト、国家参加と労働条件を問う

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/pavillons-der-venedig-biennale-werden-bestreikt/
- 公開日: 2026.05.09 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: 兆しの初動（数ヶ月〜1年）
- テーマ: ビエンナーレ以後（https://andown.space/topics/after-biennale/）
- フック: 展示を閉じることで示された異議

> 一般公開を翌日に控えた2026年5月8日、ヴェネツィア・ビエンナーレの一部参加者と文化労働者がストライキに入った。イスラエルの参加への抗議と、不安定な労働条件への異議が重なる。作品を見せる場を一時的に閉じる行為から、国家の代表と文化労働を同じ会場で問い直す兆しを読む。

## 公開前日、展示を閉じるという表明

2026年5月8日、ヴェネツィア・ビエンナーレで一部の文化労働者と参加者がストライキに入った。イスラエルの参加への抗議である。独誌Monopolによると、同日午後にはジャルディーニ地区の多くの国別館が閉鎖。開いていた館の周囲にも活動家が集まり、来場者の入場が妨げられた。

この日は専門関係者向けプレビューの最終日で、一般公開は翌9日から。作品が広く観客に届く直前に、展示を見せないという意思表示が現れた。ただし、閉館したすべての館が自発的にストへ加わったのか、記事からは判別できない。参加者の抗議、館の閉鎖、入口での阻止は、区別して読む必要がある。

見えてきたのは、国家の参加資格をめぐる対立が、声明だけでなく展示空間の稼働に及んだことだ。何が展示されるかに加え、誰がその場を開き、どの条件で運営するかが、展覧会の表面に出ている。

## 24時間のストに重なる二つの争点

Art Not Genocide Alliance(ANGA)によれば、24時間のストを呼びかけたのは複数の文化団体とイタリアの草の根労働組合だった。同日午後にはアルセナーレの会場近くで集会も予定されていた。記事は、実際のスト参加者数や閉鎖された館の総数を示していない。

ANGAは、抗議の対象を「文化におけるジェノサイドの常態化」と、ビエンナーレ周辺の不安定な労働条件だと説明した。前者は同団体による主張である。国家参加への異議と働く条件への要求が、一つのストの中に置かれた点が重要だ。4月にはANGAと230人超の作家・キュレーターが、公開書簡でイスラエル館の排除を求めていた。

一方、イスラエル代表の彫刻家ベル・シミオン・ファイナルは、開幕前に文化的ボイコットへの反対を表明し、困難な時期にこそ対話と交流を信じると述べていた。ルーマニア生まれでハイファを拠点とする作家である。ジャルディーニのイスラエル館が改修中のため、展示場所はアルセナーレだった。国家への抗議と、作家が求める交流の継続。その隔たりも同じ会場に持ち込まれていた。

対立はストだけではない。前週には5人の審査員全員が辞任していた。背景には、人道に対する犯罪の容疑で政治指導者に国際逮捕状が出ている国の参加をめぐる争いがあったという。ロシアの参加にも批判があり、同国の館はプレビュー期間中の3日間、開く予定と報じられた。

## 次の開催にも残り得る、運営の境界

ビエンナーレ運営側は、予告された抗議は同機関の職員にも組織にも関係しないと説明した。適用される規則を守り、秩序ある開催と表現の自由、多元性を支えるという立場である。参加者側が展示の停止を求める一方、運営側は組織としての継続を示した。

5月9日時点から先の数年を見ると、問われ得るのは、この境界をどう扱うかだ。国家参加への反対を作品や声明で示すのか、館を閉じるのか、運営自体への要求につなげるのか。今回、その異なる手段が同じ開催の中に並んだ。今後の国際展でも、抗議の内容だけでなく、誰が展示の継続を決められるのかが争点になる可能性がある。

ただし、今回のストが制度変更へ進むかは分からない。記事には労働条件についての具体的な要求項目や交渉の状況もない。確認できるのは、国家を代表する展示の仕組みと、それを成立させる労働が、同時に抗議の対象となったことまでである。

## 日本から見ると、参加と同意の間

日本からこの出来事を見る際、国別館を各国の作品紹介だけとして読むと、今回の対立は捉えにくい。ここで争われたのは作品の評価にとどまらず、国家が展覧会に参加することの意味だった。同時に、作家の参加意思、文化労働者の判断、運営組織の立場が一致しているわけでもない。

出典には日本の館や文化労働の状況との比較はなく、同じ構図が日本にもあるとは断定できない。それでも、日本から国際展を見るときの視点は一つ増える。参加していることと、その開催条件のすべてに同意していることは同じではない。展示を閉じた一日には、作品の背後にある関係を可視化する側面があった。

## 要するに

- 一般公開前日のストによって、国家参加への抗議が展示空間の閉鎖という形で現れた。
- 呼びかけには、イスラエルの参加への異議と不安定な労働条件への抗議が併記された。
- 参加者と運営側の立場の違いが、国際展を誰がどの条件で開くのかという問いを浮かび上がらせた。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Monopol「Pavillons der Venedig-Biennale werden bestreikt」 (2026-05-08) https://www.monopol-magazin.de/einige-pavillons-der-venedig-biennale-werden-bestreikt
   > "Zu dem 24-stündigen Ausstand haben nach Angaben der Initiative Art Not Genocide Alliance (ANGA) mehrere Kulturgruppen und italienische Basisgewerkschaften aufgerufen."
   > 訳: Art Not Genocide Alliance(ANGA)によれば、複数の文化団体とイタリアの草の根労働組合が、この24時間のストライキを呼びかけた。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **キュレーター** / Curator: 作品の調査や選定、展覧会の構成などを担う専門職。担当範囲は館ごとに異なり、来館者対応や施設管理など、公開を支えるほかの仕事とは区別される。 https://andown.space/glossary/curator/
- **ビエンナーレ** / Biennale: 原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。 https://andown.space/glossary/biennale/
- **国別館**（くにべつかん） / National Pavilion: 国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。 https://andown.space/glossary/national-pavilion/
- **表現の自由**（ひょうげんのじゆう） / Freedom of Expression: 意見や思想、芸術表現を外に示す自由。公的機関による展示中止との関係は、適用される法制度や契約、判断の具体的な理由によって検討される。 https://andown.space/glossary/freedom-of-expression/
- **文化的ボイコット**（ぶんかてきぼいこっと） / Cultural Boycott: 政治的・倫理的な異議を示すため、文化事業への参加や協力、交流などを拒む行為。対象が国家、機関、個人のどれかによって意味と影響が異なる。 https://andown.space/glossary/cultural-boycott/
- **労働組合**（ろうどうくみあい） / Labor union: 働く人々が労働条件の維持・改善などを目的に組織する団体。使用者と集団で交渉する基盤になるが、結成の表明と、交渉代表としての承認や協約の成立は別の段階である。 https://andown.space/glossary/labor-union/

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