# サム・スミスらの著作権訴訟、争点は原告曲のサンプルへ

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/sam-smith-and-normani-move-to-end-dancing-with-a-stranger-copyright-suit/
- 公開日: 2026.07.10 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: 著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 似ている音の、その手前にある権利

> 「Dancing With a Stranger」をめぐる米国の著作権訴訟で、サム・スミスとノーマニ側は、原告曲に含まれる無許諾サンプルを理由の一つに訴訟の終結を求めた。2026年7月10日時点で見えるのは、曲同士の類似性だけでなく、似ていると訴える側の楽曲の成り立ちまで問う争いである。

## 似ているか、その前に何を守れるか

楽曲の盗用を訴えた側が、自作に使った音の権利を問われている。サム・スミスとノーマニらは、2019年の「Dancing With a Stranger」をめぐる著作権訴訟で、正式な審理を経ずに判断する略式判決を求めた。2026年7月7日に提出された共同書面には、被告側の主張と原告側の反論が併記されている。

原告は、ソングライターのジョーダン・ヴィンセントらが所有するSound and Color。2015年に共同制作した「Dancing With Strangers」からフックを盗用されたとして、2022年に提訴した。被告側が今回持ち出した独立の反論は、原告曲の争点部分そのものに、無許諾のサンプルが含まれるというものだ。

兆しは、似た旋律を聴き比べる争いが、その旋律を載せた録音の成り立ちへ広がっていることにある。ただし、無許諾のサンプリングがあるという指摘も、それによって保護を失うという法的結論も、ここでは被告側の主張である。裁判所が認定した事実としては扱えない。

## 再生数から「際立った類似性」へ

訴訟はいったん2023年に退けられたが、翌段階の控訴審で2025年に復活した。第9巡回区控訴裁判所は、二つのフックが実質的に類似するかは陪審が判断すべきだとした。その後の証拠開示では、被告側が原告曲を実際にコピーしたのかが焦点となった。

この過程で原告は、作曲者らが原告曲に接する機会を持っていたという主張を取り下げた。そこには、被告曲が書かれる2018年以前に原告曲が50万回超再生されていたという主張も含まれる。被告側は、証拠開示によって、その再生がボットによるものと判明したと述べている。

残る柱は「際立った類似性」だ。単に似ているだけでなく、コピー以外の理由で一致が生じたとはほぼ考えられない、と示すための法理である。被告側は、共通するのは「dancing with a stranger」という4語と、保護されない音高やリズムだと反論。この語句は原告曲以前の15曲超に登場するとしている。

対する原告は、歌詞、旋律の輪郭、リズムを組み合わせて比較すれば、両者はほぼ同一だと主張する。ありふれた要素が個別に存在することと、その組み合わせが独自の表現になること。その境界が争われている。

## サンプルと旋律を切り分けられるか

もう一つの争点は、原告曲に使われたとされる二つの音源である。Masters at Workの「The Ha Dance」と、リン・コリンズの「Think (About It)」。被告側によれば、問題のフックが現れる箇所には、常に両方の無許諾サンプルが伴っている。そこから、それらに基づく部分には著作権保護を主張できないと論じる。

原告側はこの議論を退ける。訴えているのはヴィンセントが書いた歌の旋律と歌詞であり、背景の音作りとは無関係だという立場だ。録音の中で同時に鳴る音を、権利の上ではどこまで切り分けられるのか。サンプルの使用許諾と、自作した表現の保護範囲が交差している。

今後1〜3年で注目されるのは、この論点が他の楽曲比較でもどこまで持ち込まれるかである。同じ7月7日には、NewJeansの「ETA」をめぐっても、際立った類似性を問う訴訟が同じカリフォルニアの裁判所に起こされた。ただし、複数の係争があることは、同じ判断が続くことを意味しない。

サンプルを含む制作では、何を借り、何を自分で書いたかという説明が、類似性の争いでも問われる可能性がある。一方、この事件だけで無許諾サンプルと共存する旋律の保護範囲が決まったわけではない。申立ての審理は8月14日に予定されており、7月10日時点では正式な審理に進むかも未定である。

## 日本から見る、音の一致と権利の違い

日本から読む際には、米国訴訟の立証の枠組みと、耳で感じる「似ている」を分ける必要がある。この報道は日本の裁判例や制度を比較しておらず、同じ結論が日本でも成立するとは読み取れない。米国でも、今回の主張はまだ判断を待つ段階だ。

それでも見えてくるのは、楽曲を一つの塊として扱わない視点である。歌詞、旋律、背景のサンプル。それぞれの由来と、保護を求める対象は必ずしも重ならない。曲が似ているかという入口から、誰がどの表現を守れるのかへ。音の重なりを、権利の層として読み直す争いがある。

## 要するに

- サム・スミスとノーマニ側は、原告曲の無許諾サンプルを理由の一つに訴訟終結を求めた。
- 原告側は、自作した旋律と歌詞の保護は背景のサンプルとは別だと反論している。
- 2026年7月10日時点では、類似性と保護範囲の双方が争われ、判断は出ていない。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Music Business Worldwide「Sam Smith and Normani move to end ‘Dancing With a Stranger’ copyright suit, say the older song is itself built on unlicensed samples」 (2026-07-10) https://www.musicbusinessworldwide.com/sam-smith-and-normani-move-to-end-dancing-with-a-stranger-copyright-suit-say-the-older-song-is-itself-built-on-unlicensed-samples/
   > "Sam Smith and Normani have asked a federal judge to throw out a copyright lawsuit that accuses their 2019 single Dancing With a Stranger of copying an earlier track with an almost identical name."
   > 訳: サム・スミスとノーマニは、2019年のシングル「Dancing With a Stranger」が、ほぼ同名の先行曲をコピーしたとする著作権訴訟を退けるよう連邦判事に求めた。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **サンプリング** / Sampling: 既存の録音の一部を取り出し、別の楽曲の素材として使う制作手法。元の音楽への関心を生むこともあるが、利用条件や権利の確認とは区別して考える必要がある。 https://andown.space/glossary/sampling/
- **際立った類似性**（きわだったるいじせい） / Striking similarity: 米国の著作権訴訟で、偶然や独立した創作では説明しにくいほどの類似から、コピーを推認しようとする法理。通常の「似ている」という評価とは区別される。 https://andown.space/glossary/striking-similarity/
- **証拠開示**（しょうこかいじ） / Discovery: 訴訟に関係する資料や情報を当事者間で取得・提示する手続き。米国の民事訴訟では、相手方が保有する記録や証言を得て、争点を検証する重要な過程となる。 https://andown.space/glossary/discovery/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/
- **略式判決**（りゃくしきはんけつ） / Summary judgment: 重要な事実について実質的な争いがないなどとして、正式な事実審理を経ずに裁判所の判断を求める米国民事訴訟の手続き。申し立ての棄却は敗訴確定ではない。 https://andown.space/glossary/summary-judgment/

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