# ヴェネツィアの国別館で広がる閉館スト、展示運営が抗議の場に

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/strike-rocks-venice-biennale-as-thousands-flood-streets/
- 公開日: 2026.05.11 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: 兆しの初動（数ヶ月〜1年）
- テーマ: ビエンナーレ以後（https://andown.space/topics/after-biennale/）
- フック: 開けないことで示す展示の意思

> ヴェネツィア・ビエンナーレで、イスラエルの参加に抗議するストライキが起き、日本を含む国別館が全面または部分的に閉館した。抗議は街頭や作品上の表明にとどまらず、会場を開けるという運営そのものへ及んだ。2026年5月11日時点で見えていたのは、国家を代表する展示の枠内から、その参加条件を問い直す動きである。

## 作品の横から、開館の判断へ

展示を開けるか、閉めるか。その判断が、国際展への参加の意味を示す手段になった。Artforumの5月9日付報道によると、ヴェネツィア・ビエンナーレではイスラエルの参加に抗議する数千人が街頭を行進し、複数の国別館が連帯して扉を閉じた。日本館も、閉館した館として報じられている。

兆しは、抗議の規模だけにはない。参加者が作品や声明を通じて意思を示すだけでなく、展示を稼働させる行為そのものを止めたことだ。国別館という国家の代表枠と、その現場を支える人々の判断。その間にある距離が、来場者にも見える形になった。

ただし、閉じた扉をすべて同じ意思と読むことはできない。オーストリア館の掲示は、チームの一部がストライキへの参加を選んだと説明していた。他の館にはパレスチナへの連帯を示す掲示があった。館全体の判断と、個々の働き手による参加は、分けて捉える必要がある。

## 27館への影響と、重なった運営上の対立

Artforumが引用するHyperallergicによれば、全100国別館のうち27館が影響を受けた。Artnewsによる一覧には、全面閉館だけでなく部分的な閉館も含まれる。この数字は、27館が同一の声明を採択したことや、同じ時間だけ展示を止めたことを意味しない。異なる形の中断が、国際展の各所に及んだという規模の指標である。

ストライキは24時間の予定で、国際的な文化活動家団体Art Not Genocide Alliance(ANGA)が、イタリアの活動家団体とともに組織した。ANGAは同種の行動としてビエンナーレ史上最大だと発表している。これは主催団体による評価であり、記事が独立した比較データを示しているわけではない。

背景には、参加国をめぐる数カ月の対立があった。作家、キュレーター、文化労働者らは、ガザとウクライナへの攻撃を理由に、イスラエルとロシアの除外を繰り返し要求していた。国際審査員団は、国際刑事裁判所で指導者が人道に対する罪を問われている国の作家や館を金獅子賞の審査対象にしないと表明。その数日後、一斉に辞任した。展示への参加と、賞による評価の双方で、制度の境界が争点になっていた。

本展にも影響は及んだ。コヨ・クオが企画した「In Minor Keys」は午前中には開いていたが、アルセナーレに出展する一部の作家は作品にパレスチナ旗や連帯の掲示を付けた。Hyperallergicによると、同会場は午後遅くには閉鎖され、外には機動隊がいた。なお、イスラエル館も扉を閉じていたが、内部では展覧会のオープニングが行われていたとされる。連帯閉館とは区別される状況だ。

## 次の国際展へ残る、参加条件の問い

対立するのは、単純な賛成と反対だけではない。ビエンナーレ会長ピエトランジェロ・ブッタフオーコは、世界が集まる場として、検閲ではなく受け入れを重視する立場を示した。一方、ストライキの主催団体は、ジェノサイドを行う国家と同じ場を共有するよう作家や文化労働者に求めるべきではない、と共同声明で訴えた。いずれも、参加の条件をめぐる立場である。

5月11日時点から今後数年を見たとき、他の国際展へ広がり得るのは、閉館という手法だけではない。国の参加を決める主体、賞の対象を選ぶ審査員、会場を動かすチームが、それぞれ異なる判断を持ち得るという論点だ。今回のような中断が重なるなら、開催者が掲げる開放性と、現場の参加意思をどう両立させるかが、運営上の課題になる可能性がある。

もっとも、記事が伝えるのは一つの国際展で起きた行動であり、他の展覧会への波及や恒久的な制度変更ではない。ストライキ後の合意や新しい参加規則も、この報道からは確認できない。見えているのは、展示を続けるための条件が、展示の内部から問い直され始めたことである。

## 日本も、外から眺めるだけではない

日本から見る際の接点は具体的だ。日本館が、閉館した館の一つに挙げられている。ただし記事は、日本館で誰が判断し、どのような手続きを経たかまでは伝えていない。そこから日本の美術界全体の立場を導くことはできず、日本国内の展覧会との制度上の違いも、この資料だけでは比較できない。

それでも、国別館に掲げられる国の名前と、現場で働く人々の意思が必ずしも重ならないことは読み取れる。国家単位で作品を届ける仕組みの内側に、働き手同士の国境を越えた連帯が現れた。作品だけでなく、その扉を誰が、どんな条件で開くのか。今回の抗議は、国際展を支える普段は見えにくい判断を表に出した。

## 要するに

- ヴェネツィアでは、作品や声明だけでなく、展示の開閉が抗議の手段になった。
- 日本を含む国別館への影響は、国家の代表枠と現場の意思の違いを可視化した。
- 他の国際展への波及は未確認だが、参加条件をめぐる対立は運営そのものに及んでいる。

## 出典（エビデンス）

1. [論評] Artforum「Strike Rocks Venice Biennale as Thousands Flood Streets」 (2026-05-09) https://www.artforum.com/news/strike-rocks-venice-biennale-ahead-of-public-opening-1234750099/
   > "Thousands of marchers flooded the thoroughfares of Venice to protest the presence of Israel at the Venice Biennale, with many national pavilions shuttering in solidarity."
   > 訳: ヴェネツィア・ビエンナーレへのイスラエルの参加に抗議して数千人のデモ参加者が市内の通りに押し寄せ、多くの国別館が連帯して閉館した。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **キュレーター** / Curator: 作品の調査や選定、展覧会の構成などを担う専門職。担当範囲は館ごとに異なり、来館者対応や施設管理など、公開を支えるほかの仕事とは区別される。 https://andown.space/glossary/curator/
- **ビエンナーレ** / Biennale: 原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。 https://andown.space/glossary/biennale/
- **検閲**（けんえつ） / Censorship: 表現の内容を理由に、その公表や流通を制限する行為を指す言葉。法律上の厳密な意味と、文化施設や教育機関の判断を批判する際の用法は区別される。 https://andown.space/glossary/censorship/
- **国別館**（くにべつかん） / National Pavilion: 国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。 https://andown.space/glossary/national-pavilion/

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