# Suno提訴、映像向け音楽の収入減が問うAI学習

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/suno-sued-again/
- 公開日: 2026.05.20 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: AI生成音楽（https://andown.space/topics/generative-music/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 聴取数では見えない競合の現場

> 映像向けの楽曲利用を主な収入源としてきたThe American Dollarが、Sunoを著作権侵害で提訴した。利用許諾収入はサービス開始以降、約80%減ったという。2026年5月の報道から見えるのは、生成AIと音楽の競合を、再生数ではなく映像制作の発注先から捉える視点だ。

## 競合が現れたのは、映像の音楽選び

生成AI音楽は、人の曲からどれほど聴き手を奪うのか。2026年5月21日にCMUが報じた訴訟は、その問いを別の場所へ移す。テレビ番組や映画、広告で使う音楽を選ぶ現場だ。制作デュオのThe American Dollarが、自らの会社Poseidon Wave Mediaを通じ、Sunoを著作権侵害で提訴した。

彼らが手がけるのは、アンビエント系の器楽曲である。訴状によれば、約20年にわたり最大の収入源だったのは、楽曲を映像と組み合わせる利用許諾、シンクだった。使用先としてApple、Colgate、Warner Brothersなどが挙げられている。聴かれる作品であると同時に、映像制作を支える音楽でもあった。

デュオは、その利用許諾収入がSunoのサービス開始以降、約80%減少したと主張する。収入減とサービス公開の時期には明確な境目がある、という説明だ。ただし、これは原告側の主張であり、Sunoが減収を引き起こしたと裁判所が認定したわけではない。兆しは、AIとの競合が制作の仕事と収入に結びつけて争われ始めた点にある。

## 約80%という数字が向かう法的争点

この数字が意味を持つのは、AI学習をめぐるフェアユースの議論である。米国法上、著作権者の許諾がなくても一定の利用を認める考え方だが、判断には複数の要素が関わる。利用された作品の市場や価値にどのような影響が及ぶかも、その一つとなる。減収だけで結論が決まる仕組みではない。

CMUは、Sunoが許諾を得ずにYouTubeから音楽を収集してモデルを訓練したと報じ、同社がAI学習はフェアユースに当たると主張すると見込んでいる。権利者側が問題にするのは、既存曲を学習したモデルが大量の新曲を生み、それらが学習元の音楽と収益を争う構図だ。

ただし、配信市場でこの影響を示すには難しさがある。CMUによれば、大手レーベル側は市場への悪影響を訴える一方、Universal Musicは投資家に対し、生成AI音楽は配信サービスで大きな支持を得ていないと説明している。将来の懸念と、足元で確認できる損失。その距離が、議論を複雑にしている。

The American Dollarの訴えは、映像向けの利用許諾という特定の取引領域に焦点を当てる。配信全体でAIの曲がどれほど人気かとは別に、同じ用途に使える音楽が発注先を置き換えているのかを問う。CMUは、器楽曲を映像向けに提供する作り手ほど、短期的な競争にさらされやすいという見方を示している。

## 今後を分ける「個別の曲」と「市場全体」

それでも、原告には別の壁がある。CMUが紹介するAI企業側の議論では、フェアユースで問題となる市場への悪影響は、個別作品に即したものであり、作品群全体への競争圧力とは区別される。ある録音の一部を使った曲が、その元の録音と直接競う場合と、器楽曲を広く学習して別の器楽曲を作る場合は違う、という主張だ。

つまり、仕事が減ったという訴えと、法的に評価される損害との間には、まだ橋を架ける必要がある。約80%という減収の原因、学習に使われた作品と生成物の関係、市場をどの範囲で捉えるか。報道時点では、いずれも決着していない。

この時点から1〜3年を見渡すと、同様の議論が、音楽の人気だけでなく用途別の取引へ広がる可能性がある。広告や番組のために音楽を選ぶ際、人が作った曲と生成物がどの程度代替されるのか。競争の実態を、どの資料で示せるのか。焦点が細かくなるほど、AI音楽を一つの市場として語るだけでは捉えにくい差が浮かび得る。

## 日本からは、再生数の外側を見る

日本から読む際、米国のフェアユースをめぐる争点を、そのまま国内の法的結論に置き換えることはできない。また、この報道には日本の映像向け音楽の取引額や減収データはなく、同じ規模の変化が起きているとも言えない。約80%は、あくまでこのデュオが示した数字である。

一方、音楽の価値を聴取回数だけで測れないという視点は共有できる。映像に使われる音楽では、聴き手が曲名を知らなくても、選定と許諾の段階で収入が生まれる。今回の訴えが照らしたのは、その見えにくい取引の場所だ。生成AIとの競合を考える単位が、人気曲から、音楽が担ってきた仕事へと広がっている。

## 要するに

- The American Dollarは、映像向けの利用許諾収入が約80%減ったと主張し、Sunoを提訴した。
- 争点には、個別作品への影響と、音楽市場全体への競争圧力をどう区別するかがある。
- 生成AIとの競合を捉える視点が、再生数から音楽の用途と取引にも広がっている。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] CMU（Complete Music Update）「Suno sued again」 (2026-05-21) https://completemusicupdate.com/suno-sued-again-this-time-by-production-duo-who-claim-generative-ai-has-caused-an-80-slump-in-sync-licensing-income/
   > "If use of any one work is likely to negatively impact on the market value of that work, the use is less likely to be fair use."
   > 訳: ある作品の利用が、その作品の市場価値に悪影響を及ぼす可能性がある場合、その利用はフェアユースと認められにくくなる。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **シンク** / Sync: 映画や広告などの映像に音楽を合わせて使用すること。楽曲が物語や場面と結びつき、発売時とは異なる観客へ届く接点になり得る。使用には関係する権利の確認が伴う。 https://andown.space/glossary/sync/
- **フェアユース** / Fair Use: 米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。 https://andown.space/glossary/fair-use/
- **生成AI**（せいせいエーアイ） / Generative AI: 学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。 https://andown.space/glossary/generative-ai/
- **生成AI音楽**（せいせいエーアイおんがく） / Generative AI music: 学習したデータの特徴をもとに、AIが楽曲や歌声、録音などを生成する技術や、その生成物。生成できることと、利用や公開の権利が認められることは別の問題となる。 https://andown.space/glossary/generative-ai-music/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/
- **著作権侵害**（ちょさくけんしんがい） / Copyright infringement: 著作権で保護される表現を、許諾や法律上の根拠なく利用して権利を侵すこと。音楽では歌詞や旋律などが問題となり、似ているという印象だけで直ちに成立するわけではない。 https://andown.space/glossary/copyright-infringement/

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