# 米最高裁、楽曲の海外権回復を認めた判決を覆さず

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/supreme-court-won-t-overturn-landmark-music-copyright-termination-ruling/
- 公開日: 2026.10.20 / 更新 2026.10.20
- 著者: Andown
- 時間軸: 業界の構造変化（3〜5年）
- テーマ: 音楽の金融化（https://andown.space/topics/music-as-asset/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 音楽資産の境界に残された余白

> 米最高裁は、著作者が楽曲の海外の権利も取り戻せるとした控訴審判決を覆さず、判決が維持された。ただし、全米共通のルールになったわけではない。見えてきたのは、古い楽曲の価値を支える海外収益と、著作者の交渉力をめぐる境界線が、再び争点になっているという兆しだ。

## 戻る権利の範囲が、国境を越えた

売り渡した楽曲の権利を、長い年月の後に取り戻す。その仕組みが、米国内だけでなく海外の権利にも及ぶとした判決が残った。Billboardによれば、米最高裁は10月19日、大手音楽企業側による判決を覆すよう求める申し立てを退けた。争点は、権利が戻るかどうかだけではない。世界のどこまで戻るのか、である。

発端は、シリル・ヴェターの1963年の楽曲「Double Shot (Of My Baby’s Love)」をめぐる訴訟だ。米第5巡回区控訴裁判所は1月、著作者が米国の制度を使って権利を回復する際、同じ楽曲の海外の権利も取り戻せると判断した。長年の業界慣行とは異なる解釈だった。

ただし、最高裁がこの解釈を全米共通のルールとして確定したわけではない。判事9人のうち4人が審理に参加せず、残る判事は次の開廷期に事件を解決できないとして、原判決を維持した。今回の手続き上の結論と、海外の権利に関する実体的な判断の確定は、分けて読む必要がある。

## 海外収益は、交渉力でもあった

中心にあるのは、米連邦法上の移転終了権である。著作者が譲渡した著作権を、数十年後に取り戻す機会を設ける制度だ。記事によれば、従来は米国内の権利にだけ適用され、外国での権利には影響しないと扱われてきた。著作者が国内の権利を回復しても、音楽出版社は海外利用権を持ち続けられた。

ストリーミングで楽曲が国境を越えて聴かれる時代には、その海外利用権が継続的な収入源となる。さらに、国境をまたぐ企画への拒否権や、契約を再交渉する際の力にもなると記事は指摘する。海外分を保有する意味は、収益の取り分だけではない。作品をどう動かすかという判断にも関わっていた。

控訴裁判所は、制度が著作者と権利を買う側の交渉力の不均衡を是正するために設けられたことを重視した。これに対し、Universal Music Group、Sony Music、Warner Music Group、BMGは6月に最高裁の審理を求めた。各社は50年にわたる慣行と、数十億ドルに裏づけられた多数の契約の範囲や意味が揺らぐと主張した。これは企業側の評価であり、損失が確定したという数字ではない。

## カタログの価値に残る、法域ごとの差

今回の動きが音楽の金融化と接するのは、カタログの価値が、将来どの地域から収益を得られるかに支えられているためだ。海外利用権を保有し続けられるという前提が変われば、買い手が見込む収益の範囲も変わり得る。ただし、記事は取得価格の下落や取引の停止を報告していない。現時点で見えているのは、資産評価の前提をめぐる争いである。

大手各社の関与の仕方も、その重みを示す。当初は訴訟の当事者ではなかったが、最高裁への申し立てを目的に、ヴェターの楽曲を保有していた小規模出版社を買収したという。個別の楽曲をめぐる紛争が、他の契約にも関わる問題として受け止められた構図だ。

今後3〜5年の広がりを見るうえで焦点になるのは、別の控訴裁判所の判断である。記事によれば、ニューヨークやロサンゼルスを管轄する裁判所は、今回と同じ結論に拘束されない。異なる判断が出れば、巡回区間で解釈が分かれ、最高裁が改めて審理する可能性も高まる。海外の権利回復が広がる可能性と、地域ごとに判断が分かれる可能性が、いまは併存している。

## 日本から見る、海外分という境界

日本から読む際に区別したいのは、海外の権利が争点になったことと、日本で同じ権利回復が一律に認められたこととの違いである。今回の記事が伝えるのは、米国の制度と米国の裁判所による判断だ。日本法上の効果や、個々の日本向け契約への適用までは示されていない。

その留保のうえで読み取れるのは、楽曲の権利を国内分と海外分に分けて扱うことが、単なる地域の整理ではないという点だ。そこには、誰が収益を受け取り、誰が再交渉の力を持つかという違いがある。今回残った判決は、その境界を動かす解釈が実際に現れたことを示す。全国的な決着ではないからこそ、次にどの法域で同じ問いが扱われるかが、カタログの価値と著作者の立場をつなぐ観測点になる。

## 要するに

- 著作者が海外の権利も取り戻せるとした米控訴審判決が、最高裁で覆されずに残った。
- 海外利用権は、継続収益だけでなく契約再交渉の力にも関わっている。
- 全米共通の解釈は未確定で、別の裁判所の判断が今後の広がりを左右する。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Billboard（Business）「Supreme Court Won’t Overturn Landmark Music Copyright Termination Ruling」 (Mon, 19 Oc) https://www.billboard.com/pro/supreme-court-wont-overturn-vetter-ruling/
   > "Termination is a federal provision that gives creators a chance to recapture their copyrights decades after they sold them away."
   > 訳: 移転終了権は、著作者が売り渡した著作権を数十年後に取り戻す機会を与える、連邦法上の制度である。
   確認日: 2026-10-20

## 用語

- **カタログ** / Music catalog: アーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。 https://andown.space/glossary/music-catalog/
- **ストリーミング** / Music streaming: ネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。 https://andown.space/glossary/music-streaming/
- **移転終了権**（いてんしゅうりょうけん） / Copyright termination right: 著作権の移転を一定の条件で終了させる米国法上の権利。本件では、期間の経過に加え、本人が権利を保有し移転したかどうかが判断の中心となった。 https://andown.space/glossary/copyright-termination-right/
- **音楽出版**（おんがくしゅっぱん） / Music publishing: 歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。 https://andown.space/glossary/music-publishing/
- **海外利用権**（かいがいりようけん） / Foreign exploitation rights: ある国から見た国外で、作品を利用し、収益化することに関わる権利を指す表現。単一の権利名というより、地域をまたぐ契約上の権利範囲を捉えるために使われる。 https://andown.space/glossary/foreign-exploitation-rights/
- **著作権**（ちょさくけん） / Copyright: 楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。 https://andown.space/glossary/copyright/

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