# 大手レーベルのAI開示に浮かぶ、名前と肖像の権利の隙間

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/want-to-know-how-the-major-labels-see-ai-check-their-financial-filings/
- 公開日: 2026.07.06 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: AI生成音楽（https://andown.space/topics/generative-music/）
- フック: 曲の外側に残る、契約の余白

> 大手レーベルのAI戦略は、無断学習への訴訟だけでは見えない。Music Allyが財務開示を読み解いたところ、ライセンス契約や業務効率化と並び、アーティストの名前や肖像を使う事業への懸念も浮かんだ。2026年7月時点で見えていたのは、録音に強い権利を持つ会社でも、AIを介した収益化のすべてを握れるわけではないという境界だ。

## 録音の権利だけでは届かない場所

大手レーベルがAIについて投資家に説明する言葉に、曲そのものとは別の懸念が現れている。アーティストの名前や肖像を使う事業を、自社が取り逃がす可能性だ。2026年7月6日付のMusic Allyは、Universal Music Group(UMG)、Warner Music Group(WMG)、ソニーの財務開示をたどり、この変化を拾っている。

UMGは2025年の報告書で、AI生成商品には、アーティストの名前・画像・肖像を指すNILや、商品化に関する権利に主として依存するものがあると説明した。同社がこれらに持つ権利は、録音に関する権利ほど強固ではない。そのため、アーティストがUMGを介さず、第三者とAIを使って収益化するリスクを挙げている。

ここで見えるのは、AIに音楽を奪われるという話だけではない。AIによって生じる商機のうち、どこまでが既存の契約で扱えるのかという境界である。アーティストが別の相手と組める余地を、レーベル自身が事業上のリスクとして記している。

## 遠い技術から、契約と実務の対象へ

Music Allyは、2020年以降の開示を大きく三つの段階に分けた。2020〜22年には、AIは将来の成長や混乱をもたらし得る新技術の一つだった。2023〜24年には生成AIサービスの拡大を受け、学習への商用音楽の無断利用や、訴訟に敗れた場合の影響が、投資家向けの説明で前面に出る。

ただし、防御だけが進んだわけではない。UMGは2023年の報告書で「攻めと守り」の戦略を示し、YouTubeとの取り組みやEndelとの提携に言及した。2025〜26年の段階ではUdio、またWMGについてはSunoとの契約も進み、権利者への保護策を備えた、正式なライセンスに基づくサービスへの移行が投資家に説明されている。

並行して、生成AI音楽がストリーミングの収益配分に与える圧力も論点になった。UMGの2025年報告書は、大量のAI音楽によって人間のアーティストや作曲家に配分される使用料の原資が薄まらないよう、配信サービスとの契約で対応する方針を示す。争点は生成を認めるか否かにとどまらず、その音楽をどの条件で流通させ、収入をどう分けるかへ広がっている。

業務内部でもAIの用途は増えている。WMGはコード生成やマーケティング、アーティスト発掘の精度向上を挙げ、UMGはデータ分析、音質確認、コンテンツへのタグ付けなどに言及した。ソニーは企業向けの大規模言語モデルのツールを5万人超の従業員が使い、AI関連の試行事業が300件超あると説明した。ただし、これはソニー全体の数字であり、音楽事業だけの導入規模ではない。

## 次に問われる、誰を通じて収益化するか

この時点から先の数年を見るうえで、NILへの言及は小さいが重要な手がかりになる。録音の利用許諾が整っても、名前や肖像に依存する商品まで同じ契約で扱えるとは限らない。AI事業者がレーベルと契約する経路に加え、アーティスト本人と第三者が直接組む経路が広がる可能性がある。

もっとも、開示されているのはUMGが認識するリスクであり、その経路がどれほどの売上を生むかは示されていない。アーティスト側の収入増を裏付ける数字でもない。見えているのは、録音に関する権利の強さだけでは、AI関連事業への関与を保証できないという構造だ。

拡大を支える条件も単純ではない。UMGは新たなAI法制への対応に伴う監視や法令順守の費用、AI利用に対するファンやアーティストの否定的な反応もリスクに挙げた。契約できること、運用できること、受け入れられること。それぞれが別の条件として残っている。

## 日本から見る、権利を一括りにしない視点

日本から読む際にも、海外大手の契約上の立場と、国内の個々のアーティストの条件は分けて考える必要がある。この記事は日本の契約慣行を比較したものではなく、名前や肖像の権利を誰が扱えるかについて、同じ構図がそのまま当てはまるとは言えない。

それでも、生成AI音楽をめぐる議論を、曲の学習や生成だけに閉じない視点は読み取れる。録音、名前、肖像、商品化では、契約で確保される範囲が異なり得る。大手の財務開示に現れたのは、AIの性能だけでなく、その事業に誰が参加できるのかを左右する、権利ごとの境界だった。

## 要するに

- 大手レーベルのAI開示は、訴訟リスクからライセンス契約と業務利用へ論点を広げている。
- UMGは、名前や肖像に関する権利が録音ほど強固ではないことを事業上のリスクに挙げた。
- AIを介した収益化には、アーティストと第三者がレーベルを通さず組む可能性も示されている。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Music Ally「Want to know how the major labels see AI? Check their financial filings...」 (2026-07-06) https://musically.com/2026/07/06/want-to-know-how-the-major-labels-see-ai-check-their-filings/
   > "UMG’s rights in NIL and merchandising are not as robust as they are in recorded music, and there is a risk that artists will work with third parties using AI to monetise those rights rather than through UMG"
   > 訳: NILと商品化に関するUMGの権利は、録音に関する権利ほど強固ではなく、アーティストがUMGを通さず、第三者と協力してAIでそれらの権利を収益化するリスクがある。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **NIL**（エヌアイエル） / Name, image, and likeness: 名前、画像、肖像など、人物や活動主体を識別する要素の商業利用に関わる権利の総称。楽曲そのものの権利とは区別され、許諾の範囲は契約による。 https://andown.space/glossary/name-image-likeness/
- **ストリーミング** / Music streaming: ネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。 https://andown.space/glossary/music-streaming/
- **ライセンス** / Licensing: 一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。 https://andown.space/glossary/licensing/
- **試行事業**（しこうじぎょう） / Pilot programme: 制度を本格的に続ける前に、対象や期間を区切って実施する事業。運用や効果を確かめる機会となるが、実施した事実だけで有効性が証明されたとは言えない。 https://andown.space/glossary/pilot-programme/
- **生成AI**（せいせいエーアイ） / Generative AI: 学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。 https://andown.space/glossary/generative-ai/
- **生成AI音楽**（せいせいエーアイおんがく） / Generative AI music: 学習したデータの特徴をもとに、AIが楽曲や歌声、録音などを生成する技術や、その生成物。生成できることと、利用や公開の権利が認められることは別の問題となる。 https://andown.space/glossary/generative-ai-music/

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この記事の写真は出典記事の空気感をもとに AI で生成したイメージです。引用の際は上記の出典を一次資料として参照してください。
