# Steamの音楽紛争が映す、制作契約と配信許諾のずれ

- 媒体: Andown（行灯）— そこにある光
- URL: https://andown.space/what-the-prs-v-steam-dispute-should-teach-the-games-industry-guest-colum/
- 公開日: 2026.04.29 / 更新 2026.10.18
- 著者: Andown
- 時間軸: シーンと言説の潮流（1〜3年）
- テーマ: 音楽×ゲーム（https://andown.space/topics/music-x-gaming/）、著作権の再発明（https://andown.space/topics/copyright-remix/）
- フック: 曲を組み込んだ、その先の権利

> ゲームに音楽を使う許可と、そのゲームを世界へ配信する許可は、必ずしも重ならない。PRS for MusicとSteam運営会社の紛争を扱った寄稿は、米国型の契約と欧州の権利管理のずれを描く。2026年4月29日時点で見えていたのは、音楽の権利処理が制作現場だけでなく、配信基盤の課題にもなる兆しだ。

## 組み込む許可と、届ける許可

ゲームの音楽は、制作時に契約を結べば権利処理が完了する。そんな前提と、国境を越える配信の仕組みとの間に、ずれが見えている。PRS for MusicがSteamを運営するValve Corporationを訴えた紛争は、その接点にある。

PRS側の主張は、Steamで配信されるゲームに会員の楽曲が含まれている一方、それらを英国の消費者が求めに応じて利用できる状態に置く権利について、許諾が得られていないというものだ。これは訴えの内容であり、違法性が確定したという話ではない。

2026年4月29日、Music Allyに寄稿した法律事務所Russellsの弁護士Sara Al Hamadは、この争いを契約の前提から読み解いた。兆しは、音楽の権利処理が「ゲームを作る側」だけの仕事ではなく、「ゲームを届ける側」の問題としても浮上していることだ。寄稿は専門家の見解であり、判決や媒体自身の統一見解ではない。

## 「全世界・全媒体」でも残る権利

背景にあるのは、買い切り型の契約慣行と、国ごとに異なる権利管理である。寄稿によると、ゲーム業界では、将来の利用までまとめて確保する広範な著作権譲渡や許諾が定着してきた。ところが、音楽を映像やゲームと組み合わせるシンクの許諾だけでは、配信段階まで覆えない場合がある。

オンラインでのダウンロードやストリーミングでは、楽曲の複製に加え、公衆への伝達に関する権利も関わり得る。判断の軸は、配信会社の本社所在地だけではない。どの媒体を使い、どの国で利用されるか。ゲーム本編だけでなく、配信基盤上のプレビューも検討対象になり得るという。

米国では、恒久的なダウンロードは一般に公の演奏を伴わず、複製・頒布の権利を権利者から直接処理する。一方、PRSの会員は、公の演奏や公衆への伝達に関する権利を同団体へ独占的に譲渡する。その範囲では、作曲家や出版社との直接契約だけで許諾を完結できるとは限らない。

しかも、欧州の仕組みも一枚岩ではない。寄稿は、英国では複製の権利を出版社側が保持する場合がある一方、フランスのSACEMやドイツのGEMAでは、演奏と複製の権利を会員から譲り受ける構造に言及する。「全世界・全媒体」と書かれた契約でも、相手が実際に管理している権利の範囲が、その効力を左右する。

## 配信基盤の課題が、選曲へ戻る

この構造を踏まえると、今後1〜3年の論点は、制作契約を広く書くことだけには収まらない可能性がある。各地域の権利管理団体から、配信基盤がどこまで許諾を得るのか。その費用や実務を、配信会社、発売元、開発者の間でどう分担するのかが問われる。

寄稿は、映像配信サービスが各地域の団体から、管理楽曲をまとめて対象とする包括的な許諾を得る例を挙げる。ただし、それがそのままゲーム配信に定着するとは述べていない。Steam側に必要な許諾の範囲も、この紛争で争われる問題だ。見えているのは解決の形ではなく、交渉の対象が制作時から配信時へ広がる余地である。

別の方向への波及もある。ゲーム音楽の専門家Sergio Pimentelは、複雑さが解消されなければ、ゲーム会社が既存の商業音楽や、権利管理団体に所属する作曲家への発注を避ける可能性を懸念する。実際にそうした選別が広がったという報告ではない。だが、配信時の契約負担が、制作時の音楽の選択に戻ってくるという指摘は重要だ。

## 日本からは、契約の届く範囲を見る

日本から読む際にも、米国の契約を世界共通のひな型とみなせない点は手がかりになる。ただし、この寄稿は日本の権利管理や契約実務を検証していない。英国や欧州の説明を、そのまま日本との制度比較に置き換えることはできない。

読み取れるのは、日本から海外へゲームを届ける場面でも、制作地や契約書の準拠法だけでは、配信先の権利処理を説明しきれない可能性だ。音楽を作品に入れる契約と、その作品を消費者へ届ける仕組み。その間を誰がつなぐのか。2026年4月時点の紛争は、ゲームと音楽の関係を、選曲だけでなく流通の設計から捉える入口になっている。

## 要するに

- PRS側の訴えは、ゲーム内の楽曲を英国で利用可能にする権利の許諾を争点としている。
- 制作時の広範な契約だけでは、配信先の地域で必要な許諾を満たせない場合がある。
- 配信基盤での権利処理が、開発者の負担や音楽の選択にもつながる可能性が指摘されている。

## 出典（エビデンス）

1. [二次] Music Ally「What the PRS v Steam dispute should teach the games industry - guest column」 (2026-04-29) https://musically.com/2026/04/29/what-the-prs-v-steam-dispute-should-teach-the-games-industry-guest-column/
   > "In territories where those rights are assigned to a collecting society, the platform itself may therefore require a licence."
   > 訳: そうした権利が権利管理団体に譲渡されている地域では、そのため、配信基盤自体が許諾を必要とする場合がある。
   確認日: 2026-10-18

## 用語

- **シンク** / Sync: 映画や広告などの映像に音楽を合わせて使用すること。楽曲が物語や場面と結びつき、発売時とは異なる観客へ届く接点になり得る。使用には関係する権利の確認が伴う。 https://andown.space/glossary/sync/
- **ストリーミング** / Music streaming: ネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。 https://andown.space/glossary/music-streaming/
- **権利管理団体**（けんりかんりだんたい） / Collective management organization: 多数の権利者に代わり、音楽などの利用に伴う使用料の徴収や分配を担う組織。扱う権利や地域は団体ごとに異なり、海外団体との協定が回収経路になる。 https://andown.space/glossary/collective-management-organization/
- **著作権譲渡**（ちょさくけんじょうと） / Copyright assignment: 著作権を持つ者から、別の者へ権利を移すこと。今回の争いでは、アーティスト本人から譲渡があったといえるかどうかが、米国の終結権を利用する入口となった。 https://andown.space/glossary/copyright-assignment/

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