1–3 YEARS · シーンと言説の潮流AIと作家性AI生成音楽

順位の手前で問われる制作の条件

IFPI、公式チャートに人の創造性を軸とするAI基準を導入へ

2026年7月30日、IFPIはレーベル各社が提案したAI音楽の原則を、自ら運営する公式チャートへ導入すると表明した。焦点は、売れた量だけでなく、どのように作られた曲を順位に含めるかにある。配信サービスによる共通表示の採用が未発表の段階で、チャート側から制作過程の線引きを進める動きだ。

クリーム色の背景に、青いレコードと順位を示す階段状の図形が並び、その間に二つの小さな色付きの札が置かれた抽象イラスト。

売れた曲を数える、その前の線引き

公式チャートは、売上や再生の結果を順位にする。その集計の手前に、制作の条件を置く動きがある。2026年7月30日、Music Allyは、レコード産業の国際団体IFPIが、レーベル各社の提案したAI音楽の原則を、自ら運営するチャートに導入すると報じた。

対象は中南米、中東、アフリカ、東南アジアの直営チャート。さらに各国の団体ネットワークと協力し、追加で20超の公式チャート事業へ広げる方針である。世界のすべてのチャートが一斉に変わるという発表ではない。直営の仕組みから始め、適用先を増やそうとする段階だ。

ここで見えるのは、AIを使ったかどうかだけではない選別である。報道で挙げられた論点は、生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しくサービスが適切な許諾を得て合法的であること、曲が実質的に人間によって作られていること、再生や順位の操作、そして聴き手へのAI使用の表示。作品の人気だけでなく、制作と流通の過程が、順位に入るための判断材料になろうとしている。

毎日9万曲超と、二つの表示

背景にあるのは、商業的にリリースされるAI音楽の増加だ。Music Allyは、その数が1日9万曲超、新規リリースの半分に達していると伝えた。ただし、この記事には集計方法やAI音楽の判定範囲の説明はない。これは再生数や売上の半分を占めるという意味ではなく、新しく出る曲の数についての数字である。

IFPIの説明では、チャートは販売実績を追うだけでなく、人間の芸術性や営みをたたえるものでもある。一方、適切に許諾されたAIは、創作の道具を広げ得るとも述べている。AI利用を一律に退けるのではなく、許諾と人の創造性を条件に、その利用を位置づける考え方だ。

並行してIFPIが関わるのが、AI-GeneratedAI-GeneratedAI-Generated今回の共通方針で、録音の創作的要素の全体または主要部分を生成AIが作った場合に使うラベル。主たる歌唱や主要な楽器演奏だけを生成した場合も例に含まれる。用語集で詳しくとAI-AssistedAI-AssistedAI-Assisted人間が実質的に制作し、一部の表現要素に生成AIを使った録音に付けるラベル。今回の定義では、主たる歌唱と主要な楽器演奏は人間が担うことが条件となる。用語集で詳しくという二段階の表示案である。AIが生成した音楽と、AIが制作を補助した音楽を区別し、配信サービスに業界共通の仕組みとして提案している。ただし、7月30日時点で採用を発表したサービスはない。チャートの参加条件と、聴き手に見せる表示は、まだ同じ速度では進んでいない。

なお、出典記事の条件列挙には、操作との関係や表示の有無をめぐって否定形の不整合がある。個々の除外条件の厳密な文言は、この報道だけでは確定できない。「実質的に人間が作った」と認める境界や、その確認方法も示されていない。原則の導入方針と、運用の詳細は分けて読む必要がある。

広がるのは順位よりも、制作の説明

この時点から先の1〜3年を見ると、注目点は原則の採用先だけではない。制作過程を誰が説明し、何を根拠に適格性を判断するのか。その実務が、チャート運営者、レーベル、配信サービスの間で問われる可能性がある。共通の原則があっても、判断に必要な情報を受け渡せなければ、運用の足並みがそろうとは限らない。

たとえば、人が作曲した曲でAIを補助的に使う場合と、生成された曲に人が手を加える場合。その違いを二つの表示だけで十分に伝えられるかは、この記事からは分からない。表示は制作方法を説明する枠組みであり、それだけでチャートへの適格性が決まると発表されたわけでもない。

追加20超という拡大方針は、同じ考え方を複数の地域へ持ち込む経路を示している。ただし、採用完了の数ではない。今後、表示案とチャート原則が接続すれば、制作方法の説明が、作品を市場へ届けるための情報として重みを増す可能性がある。そこまで共通化できるかは、まだ開かれている。

日本から見る、まだ埋まっていない接点

日本から読む際、この発表を国内チャートの変更と同一視することはできない。記事は日本での採用状況を示しておらず、直営地域にも日本は挙げられていない。ここで確認できるのは、海外の複数地域をまたぐ運営主体が、生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しくと公式順位の関係を共通の原則で扱おうとしていることだ。

日本との制度上の違いを断定する材料はない。それでも、曲を聴けることと、公式チャートに入ることが別の判断になり得る点は読み取れる。配信での公開、聴き手への表示、チャートへの適格性。その間にある接点を整えようとする動きが、7月30日の時点ですでに始まっていた。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年7月30日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Music Ally2026-07-30

    IFPI will use labels' proposed AI-music rules for its own official chartsmusically.com ↗

    “Official music charts do more than just track sales; they celebrate human artistry and endeavour.”

    公式音楽チャートは売上を追うだけのものではない。人間の芸術性と営みをたたえるものでもある。

    確認日 2026-10-18

PUBLISHED 2026.07.30 · 著者 Andown · 引用元 Music Ally