NOW — 数ヶ月〜1年先 · 兆しの初動サステナブル・ツアー
移動の時間も、音楽の現場になる
欧州6カ国を鉄道だけで巡る、Ben Gomoriのツアー
Ben Gomoriが、欧州6カ国を19日間、鉄道だけで巡るツアーを計画している。炭素排出の削減を目指し、気候変動対策への募金も支援する試みだ。車内ではミックスを収録し、一部の公演は配信する。移動手段の変更にとどまらず、移動時間そのものを音楽の発信に組み込む動きが見える。

出演先だけでなく、移動を組み立てる
Ben GomoriBen GomoriSpotify で探すApple Musicが、欧州を鉄道だけで巡るツアーを行う。2026年10月15日付のResident Advisorによると、「Trax On DA Tracks」は19日間でベルギー、ドイツ、オーストリア、オランダ、ハンガリー、チェコを回る計画だ。飛行機で各地へ向かうのではなく、列車でつながる複数の国を一続きの旅程にする。
ここで見える兆しは、環境への配慮を公演の外側に置かず、ツアーの設計そのものに組み込むことだ。Gomoriは飛行機に乗ることに長く罪悪感を抱いてきたと語り、数時間のDJ出演のために飛ぶことへの違和感を理由に挙げる。海外で演奏する機会は残しながら、そのための移動を変えようとしている。
さらに、列車の車内ではDJミックスDJミックスDJ mixDJが複数の楽曲を選び、順序やつなぎ方を組み立てて一続きにした音楽。会場で演奏するだけでなく、収録して公開することで、その場にいない聴き手にも届けられる。用語集で詳しくを収録し、自身のYouTubeチャンネルで公開する予定だ。一部の公演もMixcloud LIVEで配信する。移動時間は、次の会場へ着くまでの空白ではなくなる。旅の途中にも音楽を届ける場をつくる点が、この計画のもう一つの特徴である。
約1トンは、削減実績ではなく目標
Gomoriが見込む炭素排出の削減量は約1トン。今回の企画は、航空移動に伴う排出への認識を広げ、排出自体を抑えることを目指す。あわせて、音楽業界の気候変動対策を支える慈善団体EarthPercentEarthPercentEarthPercent音楽業界に関わる気候変動対策の慈善団体。今回のツアーは同団体への募金を支援するが、記事には寄付額や集め方、資金の具体的な使途までは記されていない。用語集で詳しくへの募金も支援する。移動の変更と資金面の支援を、同じツアーに重ねた形だ。
ただし、約1トンは本人の見込みであり、実測された削減実績ではない。記事には、比較対象となる航空旅程や算定方法は記されていない。鉄道への変更による効果を、この数字だけで一般化することはできない。いま確認できるのは、削減の目標を掲げ、それに沿って移動手段を選んだという点である。
公演先にはアントワープのShelter、ウィーンのFunkhaus、ベルリンのKitKatClubなどが並ぶ。単発の鉄道移動ではなく、複数国の会場を19日間の旅程にまとめる試みだ。一方、運賃、宿泊費、所要時間の比較は示されていない。環境負荷と費用の両面で続けられるサステナブル・ツアーサステナブル・ツアーSustainable touring移動や公演運営の環境負荷と、費用・時間・働き方などの継続条件を合わせて考えるツアーのあり方。鉄道利用はその一つの方法であり、それだけで持続可能性が決まるわけではない。用語集で詳しくになるかは、この記事だけでは判断できない。
車内の発信は、旅程を支えられるか
車内収録には、一体型のDJ機材AlphaTheta OMNIS-DUOを使う予定だ。会場での出演に加えて、移動中の制作とオンラインでの公開を組み合わせる。鉄道を選ぶ理由を説明するだけでなく、その時間から実際に音楽を生み出す構成である。列車の旅と発信を結びつける、小さな実験と読める。
今後1〜5年で同様の形式が広がるとすれば、問われるのは鉄道を選ぶ意思だけではない。会場同士を結ぶ経路、公演日の間隔、機材を伴う移動、滞在の費用が、無理なくかみ合うかどうかだ。今回の計画はその組み合わせの一例になるが、記事には他の出演者や会場へ広がる具体的な予定までは示されていない。
配信や車内のミックスが旅程を経済的に支えるかも、まだ分からない。再生数や収益の見込みは公表されておらず、移動中の発信が長い旅を成り立たせると結論づけることはできない。ただ、出演の場と発信の場を分けて増やす設計は見える。環境への配慮と活動の継続をどう両立するか。その検証はこれからだ。
日本から見る、国境をまたぐ旅程の単位
日本からこの事例を見るとき、欧州6カ国を鉄道でつなぐ計画を、そのまま海外ツアーのひな型と捉えることはできない。日本発の海外公演では、まず海を越える区間がある。今回の記事も、Gomoriのツアー前後を含む全移動については説明していない。「鉄道だけ」がどの範囲を指すのかを区別して読む必要がある。
それでも読み取れるのは、ツアーを個々の出演の集合ではなく、移動と滞在を含む一つのまとまりとして扱う視点だ。どこで演奏するかに加え、どう会場をつなぎ、その途中で何を届けるか。Gomoriの計画は、その問いを具体的な旅程と発信方法に落とし込んでいる。成果の評価に先立ち、設計を変える試みが動き始めている。
EVIDENCE出典
- 二次Resident Advisor2026-10-15
Ben Gomori to embark on tour of Europe exclusively by train · News ⟋ RAra.co ↗
“"I've felt guilt around flying for a long time," Gomori said. "It seems so ridiculous to fly somewhere to DJ for a couple of hours."”
「飛行機に乗ることに、長い間罪悪感を抱いてきました」とGomoriは語った。「数時間DJをするためにどこかへ飛ぶのは、あまりにもばかげているように思えるのです」
確認日 2026-10-18
Artistsこの記事に登場するアーティスト
- Ben GomoriSpotify で探すApple Music


