1–3 YEARS · シーンと言説の潮流サステナブル・ツアー
舞台裏の選択が、観客にも見える
移動と共用機材から組み直す、ライブ産業の環境対策
ライブの環境対策が、発電機の置き換えやごみの削減から、公演の巡り方、機材の共用、観客の移動まで広がっている。2026年5月末のHypebotがまとめた事例から見えるのは、単独の新技術ではなく、運営の組み替えという兆しだ。ツアー費用と気候への懸念が重なるなか、環境負荷と支出を同時に減らす方法が探られている。

環境対策が、公演の組み方に入ってきた
ライブの環境対策は、会場で何を使うかだけの話ではなくなりつつある。どの都市をどの順序で巡るか。機材を毎回運ぶ必要があるか。観客はどう到着するか。2026年5月末、Hypebotが整理した取り組みには、公演そのものの設計を見直す動きが並ぶ。
象徴的なのは、フェスや会場が演奏用のアンプやドラムなどのバックラインバックラインBacklineライブの舞台上で演奏者が使うアンプやドラムセットなどの機材。出演者全員が持ち込むのではなく、会場や主催者が用意して共用する場合もあり、調達と維持に費用がかかる。用語集で詳しくと制作機材を共用する構想だ。各地へ一式を運ぶのではなく、到着先の設備を使う。環境負荷を減らす単位が、個々のアーティストの持ち物から、会場同士の連携へ移っている。
短い地域巡回や、同じ場所で公演を重ねる方式も紹介されている。サステナブル・ツアーサステナブル・ツアーSustainable touring移動や公演運営の環境負荷と、費用・時間・働き方などの継続条件を合わせて考えるツアーのあり方。鉄道利用はその一つの方法であり、それだけで持続可能性が決まるわけではない。用語集で詳しくという言葉の内側で試されているのは、従来の移動を低排出の手段に置き換えることだけではない。移動そのものを減らす組み方である。ただし、記事はこうした方式の普及率や削減実績を示してはいない。
排出と費用が、同じ運営課題になる
背景にあるのは、輸送、電力、廃棄物にまたがる負荷だ。記事は英国議会での議論に引用された研究に触れ、フェスが年間に大量の廃棄物と二酸化炭素を生むと説明する。一方、研究名や算定条件は記していない。数字の比較よりも、負荷が舞台上だけに収まらないという論点を読み取れる。
具体例には、ブリストルで蓄電池と再生可能エネルギーを用いたマッシヴ・アタックマッシヴ・アタック Massive AttackSpotify で探すApple Musicの公演や、再生可能エネルギーを活用する設備をツアーに組み込んだコールドプレイコールドプレイ ColdplaySpotify で探すApple Musicが挙がる。太陽光、蓄電池、地域の電力供給との連携など、ディーゼル発電機への依存を下げる選択肢が紹介されている。
ただし、電源を変えても移動の問題は残る。記事は、観客の往復による排出が公演自体を上回る場合もあると指摘する。公共交通の割引、シャトル便、自転車置き場、相乗りの仕組み。対策の範囲は会場の敷地外へ伸び、公共交通で到着できる立地自体も検討対象になる。
ここで環境対策と費用の問題が重なる。無駄な往復を減らすツアー・ルーティングツアー・ルーティングTour routingツアーで訪れる地域、会場、日程や移動経路を組み立てること。記事では、配信の人気だけでなく、販売実績や価格、演出費用を踏まえた会場選びとして語られる。用語集で詳しくは輸送費に関わり、繰り返し使う容器は廃棄物処理や清掃の費用に関わる。記事はツアー費用の上昇と気候への不確実性を背景に、こうした方法が経済面でも実行可能になりつつあるとする。ただし、導入費用や投資回収の比較は示されていない。
共用の仕組みと、外に開く排出報告
この先の数年に広がり得るのは、目立つ設備だけでなく、運営上の共通ルールである。機材の共用には仕様の調整が要る。再使用容器には回収と洗浄の流れが要る。出店者や納入業者にも、包装、調達、分別、電力について条件を共有する必要が生じる。単独の公演で完結しない部分だ。
もう一つの兆しは、裏方の業務だった環境対策が、観客にも見える説明へ変わることだ。記事はA Greener Futureによるフェスの監査や、アーティスト、主催者による排出報告の公開を紹介する。削減策を実施したという発表に加え、結果をどう測り、示すかが問われ始めている。
観客が自転車をこいだり、踊ったりして発電する試みも登場する。ただし記事が明記する通り、通常は会場の全電力ではなく補助的な供給だ。参加の手応えと、実際に減った排出量は別のもの。この区別を保った報告が広がれば、目につく演出だけでなく、輸送や電源の地道な変更も評価の対象になる可能性がある。
日本からは、会場の外側を見る
日本から読む際、海外の大型公演の設備を、そのまま導入モデルと捉えることには限界がある。出典には日本との比較データがなく、会場への交通手段や設備条件の違いも検証されていない。同じ施策名でも、何を減らせるかは立地と運営条件によって異なると考えられる。
それでも読み取れるのは、環境対策の境界が広がっていることだ。会場内の分別から観客の帰路へ、一組の機材から地域で使う設備へ。公演を支える移動と資源の流れが、費用と環境の両面から見直されている。2026年5月末に見えていた光は、特別な一公演の達成だけでなく、繰り返し使える運営の仕組みにあった。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年5月28日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Hypebot2026-05-29
How to Build a Greener Concert Industryhypebot.com ↗
“What was once treated as backstage logistics is increasingly becoming public-facing accountability.”
かつて舞台裏の運営業務として扱われていたことが、次第に公に対する説明責任へと変わりつつある。
確認日 2026-10-18
Artistsこの記事に登場するアーティスト
- マッシヴ・アタックSpotify で探すApple Music
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