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規模ではなく、選択肢を守る仕組み

米インディー支援の軸に、独立を続けるためのデータ

米国の独立系音楽団体A2IMが、データへのアクセスを「独立を続ける」ための条件に位置づけている。600超の加盟レーベルを束ね、政策への働きかけから流通、AIへの対応までを支える。その代表への取材に見えるのは、成功の先で独立を選び続けられる環境を整える動きだ。

クリーム色の背景に、コバルトブルーの小さなレコード群が細い線で結ばれ、中央に開いた輪を形づくる抽象イラスト。

独立は、出発点から継続の条件へ

独立系の音楽事業者が、独立したままでいられるようにする。米国の業界団体A2IMのCEO、イアン・ハリソンは、組織の中核的な使命をそう説明する。2026年3月のChartmetricによる取材で見えたのは、インディーの存在を称えるだけでなく、その立場を維持するための道具と交渉の場を整える動きだった。

A2IMには600を超える独立系レーベルが加盟する。Secretly GroupやEMPIREもその一員だ。ハリソンは団体の朝食会で、2026年のグラミー賞の全ノミネーションの50%が独立系部門から生まれたと述べた。これは彼が示した数字であり、独立系の売上や市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくを示すものではない。それでも、作品の評価と、それを支える事業環境を一緒に語る足場にはなっている。

取材で彼が挙げたのは、Secretlyと仕事をするヘイリー・ウィリアムスヘイリー・ウィリアムス Hayley WilliamsSpotify で探すApple Musicだった。メジャー所属時代から小さなアーティストを支えてきた人物が、自分自身の活動の形を持つ。その例からも、独立が新人の入口だけを意味していないことが読み取れる。

数字を増やすより、意味を読めるように

なぜデータなのか。ハリソンは、独立を望む事業者には、データツール、ディストリビューションディストリビューションDistributionレーベルなどの音源や商品を、配信サービスや販売店へ届ける流通業務。契約によっては、宣伝や販売促進、技術面の支援まで含むことがある。用語集で詳しく、各種の提携先へのアクセスが必要だと話す。かつて店頭に作品を並べるにはメジャー経由の流通が必要だったが、その選択肢は広がってきたという。独立の自由度は意志だけでなく、市場にどんなサービスがあるかにも左右される、という認識だ。

ただし、あらゆる数字を自前で集める方針ではない。A2IMのサイトには大学ラジオを含むラジオチャートがある一方、ハリソンは、維持できるか、価値があるか不明なチャートを次々に立ち上げることには慎重だ。外部のデータを紹介し、独立系にとって意味のある指標を提携によって届けることを重視する。

ここには、規模の比較とは異なるデータの使い方がある。メジャーの担当者には重要でないチャートでも、特定のジャンルでは作品が届いた証しになる。大学ラジオにはアーティストを世に送り出す独自の仕組みがあり、全体の順位だけでは見えない反応を拾える。問われているのは、数字の多さより、それを誰の文脈で読むかだ。

なお、この取材を掲載したChartmetric自身がA2IMの提携先であり、データサービスの提供者でもある。記事はアクセスの重要性を示すが、ツールの利用が売上や独立の継続率をどれだけ高めたかまでは示していない。支援の方向と、効果の実証は分けて読む必要がある。

共通の基盤で、異なる選択を支える

A2IMの役割はデータだけではない。各地に加盟事業者がいることを政治家への説明力につなげ、ロビー活動ロビー活動Lobbying企業や団体が、政策や行政判断に自らの意見を反映させようと働きかける活動。活動の存在だけで違法とはいえず、手段や手続きの検証とは区別が必要。用語集で詳しくを行う。記事はその成果として、独立系アーティストやプロデューサーが年間最大15万ドルの録音費用を税務上控除できるHITS Actの成立を挙げる。小さな事業者が個別には持ちにくい交渉の入口を、団体が担う構造である。

AIへの対応にも、同じ考え方が表れる。ハリソンは、関与したくない会員には可能な限りオプトアウトオプトアウトOpt-out利用や参加の対象から外れる意思を示すこと。AI学習では、作品を学習対象に含めないよう求める場面などで使われるが、除外の範囲や手続きは制度・契約によって異なる。用語集で詳しくを助け、活用したい会員には企業との関係づくりを支援すると説明する。団体として全員に同じ態度を求めるのではなく、異なる選択を支えるために知識と接点を持つ方針だ。

この時点から先の数年に広がり得るのは、単一の成功モデルというより、独立系が共同で使える支援の基盤だろう。データの解釈、流通先との接続、制度への働きかけが結びつけば、独立を保つための選択肢が増える可能性がある。ただし、提携先が存在することと、小規模な事業者が実際に使いこなせることの間には、なお距離がある。

日本から見る、比較のものさし

日本から読む際は、米国の大学ラジオや税制を、そのまま国内の状況に重ねることはできない。この取材には日本側の比較データもない。注目したいのは制度の違いそのものより、独立系の支援を、作品の発見だけでなく事業を続ける条件まで含めて捉える視点である。

大きな数字に届いたかだけでなく、その音楽に意味のある場所で反応が生まれたか。そして、その先でも活動の形を選べるか。A2IMの説明は、この二つをつないでいる。メジャーを選ばないことを目的にせず、望まない選択を強いられない余地を守る。そこに、独立を支える仕組みの輪郭がある。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年3月12日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 一次Chartmetric(How Music Charts)2026-03-13

    Figures In Music: A2IM CEO Ian Harrisonhmc.chartmetric.com ↗

    “One of our core missions at A2IM is to help independent music businesses stay independent, and that means a lot of different things to different people.”

    A2IMの中核的な使命の一つは、独立系の音楽事業者が独立を保てるよう支援することであり、その意味は人によってさまざまだ。

    確認日 2026-10-18

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