番組の外側にある、成長の入口
ポッドキャスト延べ約10億、配信基盤の規模が左右する競争
ポッドキャストの成長を支えているのは、人気番組だけではない。MIDiA Researchによると、世界のプラットフォームを合算した月間利用者数は延べ約10億に近づき、YouTubeが増加を牽引した。既存の視聴者を抱えるサービスの強さと、音声専用サービスが持ち得る余地を、数字から読む。

約10億という数字の、その内側
ポッドキャストの競争を、番組ではなく配信先から見る。MIDiA Researchの「Podcast market shares 2025」が示すのは、その視点の移動だ。出典記事によると、2025年第4四半期の各プラットフォームの月間利用者数は、合算で9億6540万人に達した。約10億という規模。ただし、記事が示すのは延べの利用者数であり、世界の異なる個人がそれだけいるという意味ではない。
最大の配信先はYouTubeである。利用者数は2024年の2億8120万人から、2025年には3億820万人へ増加。市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくは32%となった。同年の増加分は2700万人で、Spotifyの1080万人、Appleの200万人を上回る。音声から始まった形式の成長を、動画も扱う巨大な配信先が牽引している。
ここで見える兆しは、音声が動画に置き換わるという単純な話ではない。この記事には、動画形式の番組が占める比率は示されていない。読み取れるのは、日常的に人が集まる場所へポッドキャストを組み込めること自体が、利用者獲得の強みになっているという変化だ。
番組の魅力に、配信先の規模が重なる
全プラットフォームを合わせた利用者数は、2024年から2025年に6000万人以上増えた。月間アクティブアカウント月間アクティブアカウントMonthly active accounts月単位で利用が確認されたアカウントを数える指標。個人の人数とは異なり、複数サービスの合算では同じ人が重複して含まれ得るため、集計範囲の確認が重要になる。用語集で詳しくは2020年以降で184%増。MIDiAの分析担当者は、海外市場の成長、パンデミック期の拡大、プラットフォームの多様化を背景に挙げる。ひとつの人気番組だけでは説明できない、流通の裾野の拡大である。
同社の分析では、ポッドキャストとして何を提供するかと同じくらい、プラットフォームの規模が重要になる。YouTubeやSpotifyは、すでに抱えている利用者にポッドキャストを届けられる。対してAudible、BBC Sounds、NPRのような音声専用サービスは、構造的に不利な立場にあると記事は指摘する。競争は番組同士であると同時に、入口の広さをめぐるものでもある。
ただし、世界市場は一様ではない。YouTubeとSpotifyを合わせた市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくは50.0%だが、世界第2位は中国に利用者がほぼ集中するXimalaya FMで、29.2%を占める。YouTubeが事業を行っていない中国の存在は大きい。一方、YouTubeはラテンアメリカで過半を占め、Spotifyは北欧に強い基盤を持つ。世界全体の順位の下に、地域ごとの異なる勢力図がある。
次の焦点は、利用者数から交渉の構造へ
今後3〜5年を考える際の焦点は、この規模の差が制作側との関係にどう及ぶかだ。MIDiAは、ポッドキャスト制作が細かく分散している一方、大きな市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくを持つプラットフォームには、より強い交渉力があると指摘する。利用者の集中は、番組の発見だけでなく、制作側が配信先と向き合う際の力関係にも関わってくる。
記事は、業界が個別のヒット番組から、より広いネットワークやプラットフォーム・エコシステムプラットフォーム・エコシステムPlatform ecosystem配信基盤を中心に、利用者、制作者、番組や関連サービスが結びつく仕組み。個別コンテンツの人気だけでなく、既存の利用者との接点も競争力に関わるという見方を表す。用語集で詳しくへ進みつつあると捉える。番組を単独で見るだけでは、その番組がどの利用者層に接続できるのかを捉えにくくなる可能性がある。ただし、この記事は契約条件や収益配分の変化までは示していない。利用者規模の優位と、実際の取引条件は分けて見る必要がある。
別の余地も残る。記事は、画面を見ることへの疲れや、動画視聴に費やす時間への懸念が、音声専用サービスの巻き返しにつながる可能性を挙げる。これはすでに回復が起きているという報告ではない。大きな入口を持つサービスの強さと、画面を必要としない体験の価値。その両方が、これからの競争の論点になる。
日本からは、世界順位の下の地図を見る
この記事には、日本市場の利用者数や配信先別の内訳はない。したがって、世界でのYouTubeの優位を、そのまま日本の勢力図として読むことはできない。中国、ラテンアメリカ、北欧で異なる構図が示されていることこそ、世界の平均と個々の市場を区別する手がかりになる。日本との違いを確かめるには、日本側の数字が別に必要だ。
日本から読み取れるのは、ポッドキャストを音声番組の集合として見るだけでは、競争の一部が見えなくなるということだ。誰が番組を作るかに加え、誰が利用者との接点を持つか。延べ約10億という数字は、聴取の広がりとともに、その接点を持つ配信基盤の重みを照らしている。
EVIDENCE出典
- 一次MIDiA ResearchThu, 15 Oc
Podcasting's boom brings the global market close to a billion usersmidiaresearch.com ↗
“Multi-purpose platforms such as YouTube and Spotify embed podcasts within their existing audiences, putting audio-only services such as Audible, BBC Sounds, and NPR at a structural disadvantage.”
YouTubeやSpotifyのような多目的プラットフォームは、既存の利用者基盤にポッドキャストを組み込み、Audible、BBC Sounds、NPRのような音声専用サービスを構造的に不利な立場に置いている。
確認日 2026-10-18


