1–3 YEARS · シーンと言説の潮流ライブ・ブーム音楽データ資本主義
記憶の共有が、公演の設計につながる
観客が残す970万件の曲目が、次のライブをつくる
ライブの曲目を観客が書き残すSetlist.fmには、記事公開時点で970万件の記録が集まっていた。その蓄積は思い出の保存にとどまらず、出演者が次の公演を組み立てる際にも参照されている。2026年1月のインタビューから見えるのは、観客同士の助け合いが、公演づくりにまで届くデータになる兆しだ。

記録する観客が、公演にも関わる
ライブで何が演奏されたか。その記録を持ち寄るSetlistセットリストSetlistライブで演奏する曲を順番に並べた一覧。出演者の進行用資料を指すほか、公演後に観客が実際の演奏順や変更点を書き残した記録としても使われる。用語集で詳しく.fmで、観客の記憶が次の公演の選曲に使われている。2026年1月9日公開のChartmetricのインタビューで、同サイトのパブリッシャー、ジョー・フライシャーが語った動きだ。単なる曲目の保存ではない。過去の公演を振り返るためのデータが、これからの舞台にも届いている。
フライシャーによれば、出演者からは、前回その街で演奏しなかった曲や、ファンに人気のある曲を確認し、ツアー中の選曲に役立てているという声がある。観客が残したセットリストセットリストSetlistライブで演奏する曲を順番に並べた一覧。出演者の進行用資料を指すほか、公演後に観客が実際の演奏順や変更点を書き残した記録としても使われる。用語集で詳しくを、出演者が読み返す。公演が終わった後にも、観客と舞台の間で情報が行き来する構図だ。
もともとの目的は、ライブを楽しむ人を助けることにある。好きな曲は今回のツアーで演奏されるのか。休憩はいつか。アンコールはどうなるのか。会場へ行く人だけでなく、自宅から公演を追う人にも、記録は接点をつくる。運営が語る中心は、業界向けの分析ではなく、ファンコミュニティファンコミュニティFan community特定の人物や作品などへの関心を共有する人々の集まり。無料・有料、公式・非公式など形は異なり、参加していることだけでは支出額や熱意の強さはわからない。用語集で詳しくへの奉仕である。
970万件を支える、共同編集の仕組み
記事公開時点で、掲載されたセットリストセットリストSetlistライブで演奏する曲を順番に並べた一覧。出演者の進行用資料を指すほか、公演後に観客が実際の演奏順や変更点を書き残した記録としても使われる。用語集で詳しくは970万件。対象は43万4000組のアーティスト、42万6000の会場、21万4000のフェスティバルに及ぶ。データはすべてユーザーが投稿したものだ。フライシャーは月間訪問者を1200万〜1300万人と説明する。ただし、これは訪問者数であり、投稿者数や有料会員数を示す数字ではない。
このUGCUGCUser-generated content利用者が制作・投稿する動画などのコンテンツ。音楽の利用や発見の場にもなり、権利管理や収入の分配を扱う事業と、楽曲の価値との接点が生まれる。用語集で詳しくの蓄積を支えるのは、共同編集だ。フライシャーは、自分が公演中に誤って登録した曲を、別の参加者が数分で修正した経験を挙げる。本人は精度を高く評価するが、記事には第三者による誤り率の検証はない。熱心な参加者による訂正が働いていることと、全記録の正確さが保証されることは分けて読む必要がある。
記録の対象も曲名だけではない。2021年には公演の開始時刻などを加え、初披露の曲や別ステージへの移動を注記できる機能も整えた。アーティスト別に各曲の演奏回数や公演国の地図も見られる。運営によれば、サイトの更新はユーザーの発案に基づく。知りたいことが増えるたびに、記録する項目も広がってきた。
曲目から、公演の構成を読む
蓄積からは、観客が何を期待しているかも浮かぶ。フライシャーは、主に中南米を回ったアイアン・メイデンアイアン・メイデン Iron MaidenSpotify で探すApple Musicの過去のツアーで、新曲中心の構成に対し、旧作の曲を求める議論が起きたと振り返る。これは人気投票の結果ではない。新作、代表曲、あまり演奏されない曲の配分をめぐり、ファンが言葉を交わす場でもある。
一方、本人が観察する変化にアンコールがある。いったん退場して戻る定型だけでなく、公演を章のように区切り、最後の数曲を意識して組み立てるバンドが見られるという。ただし、増減を示す集計はなく、運営も研究を始めた段階だ。ライブ全体の転換と断定できる材料ではない。
この時点から先の1〜3年を考えると、曲目の記録に時刻や注記が重なることで、公演の構成を比較する用途が広がる可能性がある。どの曲を演奏したかだけでなく、どんな順序で、どこに区切りを置いたか。出演者が過去の記録を参照する例は、その入口にある。ただし記事は、こうした利用がどの程度普及しているかまでは示していない。
日本から見る、数字の手前にある参加
日本からこの事例を読む際、国内で同じ規模の投稿や活用があると置き換えることはできない。記事には日本の利用状況も、国内サービスとの比較もない。読み取れるのは、再生回数のように行動を集計するデータとは異なり、観客が自ら公演の履歴を書き、修正することで成立するデータのあり方だ。
フライシャーは、大規模ツアーだけでなく、地域の小さなバンドにも記録を投稿するファンがいると語る。もっとも、すべての公演を網羅しているわけではなく、全公演の記録は運営の目標である。そこに見える光は、データの大きさだけではない。好きな公演の歴史を残す行為が、別の観客を助け、ときには出演者の次の選択にもつながる。その循環が、すでに語られていることだ。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年1月8日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 一次Chartmetric(How Music Charts)2026-01-09
Setlist.fm's Joe Fleischer on How Data Builds Communityhmc.chartmetric.com ↗
“Being part of archiving that history is a really enjoyable, fulfilling thing for a fan to do. You're helping other fans. The artist gets a lot out of Setlist.”
その歴史を記録する一員になることは、ファンにとって本当に楽しく、充実した行為です。他のファンを助けていますし、アーティストもSetlistから多くを得ています。
確認日 2026-10-18
Artistsこの記事に登場するアーティスト
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