1–3 YEARS · シーンと言説の潮流ストリーミング2.0
人数の先に見える成長の違い
音楽配信の有料契約が9億超に、地域と上位プランの分岐
世界の音楽配信の有料契約者数は、2025年末に9億2160万人へ達した。2026年6月中旬に公表された調査では、Spotifyが首位を保つ一方、YouTube Musicが地域によって先行する姿も見える。10億の節目が近づく市場で、契約者を増やす場所と、収益を伸ばす方法が分かれ始めている。

10億人の手前で、首位の形が分かれる
音楽ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくの有料契約者数が、世界で10億の節目に近づいている。Music Business Worldwideが伝えたMidia Researchの推計によると、2025年末の契約者数は9億2160万人。前年の8億3730万人から10.1%増え、2020年末の4億7220万人からは、ほぼ倍になった。2026年6月中旬に見えていたのは、拡大の継続と、その内側で進む成長経路の分岐である。
Spotifyは世界の契約者の31.4%を占め、首位を維持した。同社公表の2025年末の有料契約者数は2億9000万人で、年間の純増は2700万人。2026年第1四半期には2億9300万人となった。規模だけでなく、新たに契約者を獲得する力でも先頭にいる。
ただし、世界首位と地域首位は重ならない。Midiaによれば、YouTube Musicは中東・北アフリカでSpotifyを抜き、首位になった。Spotifyは米州と欧州で首位を維持。ひとつのサービスが、すべての地域で同じように優勢なわけではない。
伸びる地域と、動く市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しく
YouTube Musicは、世界展開する音楽サービスの中で、契約者数の伸び率が2年連続で最大だった。2025年の純増数もSpotifyにわずかに及ばない水準だという。世界の市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくは2020年末の7.9%から12.4%へ上昇。成長を支えたのは、アジア太平洋と中南米だった。
対照的に、Apple Musicのシェアは同じ期間に18.4%から12.6%へ低下した。2025年末の順位では、13.8%のTencent Music Entertainmentに続く。Amazon Musicは8.5%。ただし、拡大する市場でシェアが下がったことは、そのまま契約者数の減少を意味しない。ここで動いているのは、全体に占める割合である。
地域にも偏りがある。中南米、アジア太平洋、その他地域を合わせると、世界の契約者純増の7割超を5年連続で占めた。中南米の純増は過去最高。一方、アジア太平洋では増加のペースが鈍っている。欧州では、純増分の85%をSpotifyが占めた。成長市場だけでなく、既存の主要市場でも獲得力の差が表れている。
集計方法にも注意が要る。MidiaのYouTube Musicの数字は、単独契約に加え、YouTube Premium契約者のうち音楽サービスを利用する人を含む。無料試用も含めたYouTube自身の公表値より狭い定義だ。契約者数は、各社の見出しの数字をそのまま並べれば比較できるものではない。
人数の拡大と、上位プランの拡大
契約者を増やすことと、収益を伸ばすことの間にも差がある。2025年の世界の契約者数は10.1%増えたが、大手レーベルのストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しく収益の伸びは8.3%だった。Midiaは両者の差が縮まったとする。ただし、対象も集計範囲も異なるため、この比較だけで契約者一人当たりの支払額を算出することはできない。
別の経路を示すのがTencent Music Entertainmentだ。契約者の純増数が減った一方、年間売上高は15.8%増加した。同社の上位プラン「Super VIP」は、2024年第3四半期の1000万人から、2025年第2四半期に1500万人へ拡大。2026年3月の通期決算発表では2000万人を超えた。2025年第4四半期の有料音楽契約者全体は1億2740万人だった。
これだけで売上増の原因を上位プランに限定することはできない。それでも、契約者の裾野を広げる動きと、スーパープレミアムスーパープレミアムSuper-premium通常の有料音楽配信より高い価格帯で、追加の機能や特典を提供する構想。単なる月額料金の値上げとは異なり、追加料金に見合う価値の設計が焦点となる。用語集で詳しくと呼ばれる上位の有料体験を育てる動きが、並行していることは読み取れる。今後1〜3年を見るうえでは、地域ごとの新規獲得と、既存契約者向けのプラン拡張を分けて追う視点が生まれている。
日本からは、地域集計の内側を見る
日本から読む際の留保は、この調査報道に日本単独の契約者数やサービス別順位が示されていないことだ。アジア太平洋の成長鈍化を、そのまま日本の状況と置き換えることはできない。世界首位のサービスが地域では首位でないという事実も、国内の競争を直接説明するものではない。
それでも、比較の軸は見える。世界全体の契約者数だけでは、どこで利用が広がり、どの料金層で収益が育っているかは捉えきれない。10億という節目の手前にあるのは、同じ成長曲線ではない。地域、集計の定義、プランの違いを通して、音楽配信の次の拡大が試されている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年6月16日(火))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-06-17
“For the fifth straight year, Latin America , Asia Pacific and the Rest of World together accounted for more than 70% of global subscriber growth, Midia said.”
Midiaによると、中南米、アジア太平洋、その他地域は合計で、世界の契約者増加の70%超を5年連続で占めた。
確認日 2026-10-18


