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総数の先に見える成長の地理
音楽配信の有料会員9億人超、成長の重心が中南米へ
世界の音楽配信の有料会員数は、2025年末に9億2160万人へ達した。2026年6月に報じられた推計で目を引くのは、10億人という節目だけではない。会員増の7割超を担う地域の内側で、中国の伸びが鈍り、ブラジルが勢いを増している。サービス間の競争と、成長を支える地域の組み合わせが動き始めた。

10億人の手前で、成長の場所が動く
音楽ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくの拡大を、世界全体の会員数だけでは捉えにくくなっている。2026年6月17日、Music Allyが紹介したMidia Researchの推計によると、2025年末の世界の有料会員数は9億2160万人。前年比10.1%増、人数では8430万人の上積みだった。大きな市場が、なお会員を増やしている。
ただし、今回の数字で注目したいのは総数よりも、その増加をどこが支えたかだ。中南米、アジア太平洋、その他地域を合わせると、会員増の7割超を占めた。この構図は5年連続である。世界の配信市場を語るうえで、これらの地域の動向は周辺的な話ではなくなっている。
その内側にも変化がある。中国の成長鈍化を主因にアジア太平洋の伸びが減速する一方、ブラジルでは大きな伸びが見られたという。「グローバルサウス」という括りの中でさえ、成長の速度は一様ではない。今回の兆しは、市場の拡大そのものと、拡大を担う地域の交代が同時に見えてきたことにある。
首位の規模と、追うサービスの速度
サービス別の市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくを見ると、Spotifyが31.4%、2億8940万人で首位だった。Midiaの推計値は、Spotifyが公表した丸め後の会員数とも整合する。続くTencent Musicは13.8%、約1億2720万人。Apple Musicは12.6%、1億1610万人、YouTube Musicは12.4%、1億1430万人、Amazon Musicは8.5%、7830万人と推計された。
ここでいう市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくは有料会員数に基づくもので、売上の取り分ではない。会員数が増えていることと、同じ割合で収益が増えることは別の話だ。今回の報道には地域別の料金や会員当たりの収入が示されておらず、地域の勢いをそのまま収益の勢いへ読み替えることはできない。
一方、サービス間の速度差は明瞭だ。YouTube Musicは2025年にシェアを1.5ポイント伸ばした。Apple Musicとの差は0.2ポイントである。Music Allyは、この勢いが続けば2026年中に両者の順位が入れ替わる可能性を指摘した。ただし、これは伸びの継続を条件とした見通しであり、確定した順位ではない。
次の拡大を、一つの型では語れない
2026年6月時点から先を見ると、まず視野に入るのは有料会員10億人という節目だ。2025年と同じ8430万人を2026年にも積み増せば、世界の合計は10億人を超える。これは前年の増加を再現した場合の計算であって、達成が保証された予測ではない。
より長く残り得る論点は、その先の成長を誰が、どこで担うかである。MidiaのTatiana Cirisanoは、中南米が次の成長の原動力になる可能性を示した。同時に、YouTube MusicやTencent Musicを例に、市場がより多極的になり、成長戦略も多様になっていると述べている。地域の変化とサービスの競争を、切り離さずに見る必要があるという読みだ。
今後1〜3年で観察点となるのは、中南米の伸びが持続するか、アジア太平洋の減速がどこまで続くか、そしてYouTube Musicのシェア拡大が続くかである。もっとも、今回の数字だけでは各サービスの地域別の増加分は分からない。ブラジルの伸びと特定サービスの躍進を、直接結びつける根拠はまだ示されていない。
日本からは、世界平均の外側を見る
日本からこの推計を読む際には、アジア太平洋の減速を、そのまま日本の状況と重ねないことが重要になる。報道が主因として挙げるのは中国であり、日本単独の会員数や伸び率は載っていない。世界全体、地域、国という異なる尺度を分けて読むことで、数字が語っていない部分も見えてくる。
今回の出典だけでは、日本と海外のサブスクリプションサブスクリプションSubscription継続的な支払いと引き換えに、一定期間サービスを利用できる契約方式。音楽配信では、表示料金だけでなく、割引や契約構成も利用者あたりの収益に関わる。用語集で詳しく利用の違いまでは比較できない。それでも、世界の会員増の7割超が中南米、アジア太平洋、その他地域から生まれている事実は、日本から海外市場を見る視野を広げる材料になる。10億人という一つの数字の手前に、異なる速度で伸びる複数の市場。その違いが、配信の次の形を読む手がかりとして現れている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年6月17日(水))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Ally2026-06-17
Music business ended 2025 with 921.6m paid streaming subscribersmusically.com ↗
“For the fifth straight year, Latin America, Asia Pacific, and Rest of World constituted more than 70% of subscriber growth,”
5年連続で、中南米、アジア太平洋、その他地域が会員増の70%超を占めた。
確認日 2026-10-18


