1–3 YEARS · シーンと言説の潮流K-POP以後国境なきヒット
変えるのは音より、届ける体制
BE:FIRST、米国進出を支える分野別の提携網
BE:FIRSTが米国での配信、フィジカル流通、アジア外の公演、制作と宣伝を担う提携先を発表した。新曲の海外共作だけでなく、作品を届ける体制を分野別に組み立てている点が重要だ。2026年8月1日時点の発表と発言から、表現の独自性と現地の専門性を両立させようとする、J-POPの海外展開の一例を読む。

海外共作の先に、届ける仕組み
BE:FIRSTBE:FIRSTSpotify で探すApple Musicが米国への展開に向け、分野ごとの提携先を明らかにした。2026年8月1日付のBillboardによると、新曲「BRUCE WAYNE」の発表に合わせ、配信をThe Orchard、フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しく流通をhello82、アジア外の公演をTHE·TEAMのTom Windish、A&RA&RエーアンドアールArtists and Repertoireアーティストの発掘や育成、楽曲・制作方針の検討などを担うレーベルの機能。広告や宣伝を中心とするマーケティングとは区別されるが、活動を支えるうえで連動する。用語集で詳しくとマーケティングをNebula17が担う体制を公表した。
注目したいのは、米国の著名アーティストとの共作だけではない。音源を配信すること、商品を届けること、舞台に立つこと、制作と宣伝を進めること。それぞれに専門の相手を置いている。日本で築いた活動を海外に紹介するだけでなく、現地で継続して動くための機能を組み合わせる試みと読める。
新曲はATL JacobATL JacobSpotify で探すApple Musicがプロデュースし、Flo MilliFlo MilliSpotify で探すApple Musicが参加。9月18日発売予定の『WATCH ME』に先行する楽曲で、グループは同作を初の「グローバルEP」と位置づける。ただし、この呼び名だけで米国での受容が決まるわけではない。発表が示すのは、楽曲と同時に、その周囲の体制も準備しているという事実だ。
国内の実績を、現地での準備につなぐ
この展開は、国内での実績を足場にしている。出典時点でBE:FIRSTBE:FIRSTSpotify で探すApple MusicはBillboard Japan Hot 100で12曲の首位を獲得し、春には初のスタジアム公演を開催していた。2021年のオーディション番組『THE FIRST』から生まれ、メンバーとSKY-HISKY-HISpotify で探すApple Musicが毎年の目標を話し合うなかで、5周年を起点に世界での露出を増やす構想を練ってきたという。
海外への接点も、今回突然できたものではない。ATEEZATEEZSpotify で探すApple Musicとは2曲で共演し、2024年にはロサンゼルスのスタジアム公演で前座を務めた。Janet JacksonJanet JacksonSpotify で探すApple Musicとの「Doesn’t Really Matter (RemixリミックスRemix既存の録音をもとに、音の構成や響きなどを変えて別の版を作ること。本記事では速度や音程の変更を含む広い意味で使われ、制作や公開に必要な許諾は利用条件によって異なる。用語集で詳しく)」は、2026年6月に日本の同チャートで12位を記録。動画は記事時点で790万回再生されていた。ただし、これらは米国での広範な支持を直接示す数字ではない。共演を重ねた経験と、米国市場での定着は分けて見る必要がある。
7月31日、ロサンゼルスから取材に応じたメンバーは、英語の授業、振り付けの練習、米国の提携先とのメディア対応訓練に時間を使っていると話した。8月8日のHead in the Clouds出演、9月に始まる2度目のワールドツアーとニューヨークでの2公演も予定されている。制作だけでなく、話し方や舞台での接点まで準備の対象になっていた。
現地に近づくことと、音を曲げないこと
現地の専門家を迎える一方で、メンバーは表現を市場に合わせて曲げることには距離を置く。SotaSota SOTASpotify で探すApple Musicは、米国の流行や文化を日本ほど理解していないことを壁として挙げながら、海外へ出るために創作上の犠牲を払えば、その意味がなくなると語った。知らない市場を学ぶことと、作品の判断を明け渡すことは同じではない。
「BRUCE WAYNE」の制作にも、その姿勢が表れている。ManatoManato MANATOSpotify で探すApple Musicによると、ATL JacobATL JacobSpotify で探すApple Musicらとの制作では、より暗いサウンドを求めて意見を交わした。海外の制作者に完成形を任せるのではなく、自分たちの好みを持ち込む共作である。EPについても、特定の文化を狙うより、好きで格好いいと思えるものを追い、各ジャンルで自分たちにしかできない表現を核にしたという。
今後の広がりを見るうえでは、この制作姿勢と分野別の提携が両立するかが焦点になる。配信、商品、公演の接点が連動すれば、新曲から入った聴き手が別の体験へ進む可能性がある。一方、記事は契約条件や費用負担、米国での販売目標を明らかにしていない。同じ仕組みを他のグループが再現できるか、事業として続けられるかは、まだ判断できない。
日本から見ると、輸出の単位が変わる
日本から見ると、国内での成功の規模と、海外に届くための準備が別々に描かれている点が重要だ。首位曲やスタジアム公演の実績があっても、米国では文化の理解、取材対応、公演の窓口を改めて整えている。国内の実績をそのまま持ち出すのではなく、届ける過程を現地に合わせて組み直す動きである。
ATEEZATEEZSpotify で探すApple Musicとの共演を経た今回の展開も、K-POPの仕組みをそのまま移すと説明するには材料が足りない。見えているのは、日本で育ったグループが海外の制作者と共作し、複数の専門家と接続する具体例だ。輸出する対象は完成した一曲だけではない。その音を変えずに届けるための関係づくりまで、海外展開の輪郭に入り始めている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年8月1日(土))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Billboard(Business)2026-08-01
BE:FIRST Announces U.S. Partners for New Song, EP & More: Interviewbillboard.com ↗
“But what we don’t want to do is make any kind of creative sacrifice or bend in order to go global; that would make going global meaningless.”
ただ、世界へ出るために創作上の何かを犠牲にしたり、曲げたりすることはしたくない。それでは世界へ出る意味がなくなってしまう。
確認日 2026-10-18
Artistsこの記事に登場するアーティスト
- BE:FIRSTSpotify で探すApple Music
- ATL JacobSpotify で探すApple Music
- Flo MilliSpotify で探すApple Music
- SKY-HISpotify で探すApple Music
- ATEEZSpotify で探すApple Music
- Janet JacksonSpotify で探すApple Music
- SotaSpotify で探すApple Music
- ManatoSpotify で探すApple Music


