作品への熱と、隣へ渡らない耳
K-POPの上位5組に再生45%、人気が集中する輸出モデル
BTSや『KPop Demon Hunters』の成功は、K-POP全体への関心にどこまでつながっているのか。Trapitalが紹介した集計では、上位5組が世界の音声再生の45%を占めた。個々の作品やグループを強く支持する仕組みと、その外へ聴取を広げる仕組み。その違いが、輸出モデルの次の論点として見えてくる。

大きな成功の隣に、何が届くのか
BTSBTSSpotify で探すApple Musicは巨大な存在になった。『KPop Demon Hunters』も広く届いた。だが、その人気がK-POP全体へ波及しているとは限らない。米メディアTrapitalが取り上げたのは、輸出の成功そのものではなく、成功の隣にある音楽へ、聴き手が移っていくのかという問題だ。
記事で紹介された集計によると、2025年のK-POPの世界のオーディオストリームオーディオストリームAudio streams音声配信サービスで楽曲が再生された回数を指す。同じ人の繰り返し再生も含むため、聴き手の人数や支持の広がりとは区別して読む必要がある。用語集で詳しくは、上位5組に45%が集中した。BLACKPINKBLACKPINKSpotify で探すApple Music、BTSBTSSpotify で探すApple Music、KPop Demon Hunters、Stray KidsStray KidsSpotify で探すApple Music、TWICETWICESpotify で探すApple Musicである。特定の名前が世界で知られることと、ジャンルの幅が聴かれること。その間に、距離がある。
兆しは、K-POPの人気が衰えたことではない。この記事の数字だけでは、成長や縮小は判断できない。見えてきたのは、世界へ届く力を測る際に、スターの規模だけでなく、そこから別のアーティストへ関心が渡るかも問われ始めていることだ。
45%が示す集中と、示さないこと
集計を手がけたのは、経済学者のWill Pageと、韓国のKreatorsNetworkで最高データ責任者を務めるJeongbeom ‘JB’ Kim。Trapitalは、音楽の人気が上位に偏るのは一般的だとしたうえで、ほかのジャンルと比較している。カントリーの上位5組は世界の音声再生の19.9%、ロックは6.1%だった。
ラテン音楽の上位5組についても6%という数字が挙がる。ただし、本文ではここだけ「需要」と記され、音声再生と同じ定義かは確認できない。また、ジャンルへの分類方法や集計対象の詳細も、提示された記事本文にはない。数値は集中の強さを考える材料だが、厳密な比較には留保が残る。
さらに、上位への集中は、聴き手が別のグループを聴かないことを直接証明する指標ではない。少数の巨大な作品が、ほかも聴く人々を含めて大量に再生される場合もある。「BTSBTSSpotify で探すApple MusicのファンはK-POPのファンではない」という記事の見立てと、45%という集計結果は、分けて受け取る必要がある。
では、なぜこの集中を問題にするのか。記事は、アイドルシステムアイドルシステムIdol system出演者の育成、グループの形成、作品制作やファンとの関係づくりを組み合わせる事業の仕組み。この記事では、個別のアーティストへの支持を育てる面が論点となる。用語集で詳しくがジャンル内の発見より、個別のアーティストへの忠誠を育てる設計になっていると論じる。韓国の人口動向も背景に挙げるが、本文ではその数値や作用は示されていない。ここで具体的に読み取れるのは、強い支持を生む仕組みと、支持の行き先を増やす仕組みは同じではない、という論点である。
次の輸出モデルは「回遊」も問われる
TrapitalはNetflixをたとえに使う。『House of Cards』が好きなのか、それとも、その作品を含むNetflixが好きなのか。入口となる作品への愛着が、ほかの作品を選ぶ理由へ変わる。そのような関係がK-POPにも育つのか、という問いだ。
記事の書き手は、自分の子どもが『KPop Demon Hunters』の「Golden」を繰り返し求めても、Stray KidsStray KidsSpotify で探すApple MusicやTWICETWICESpotify で探すApple Musicへの関心にはつながっていないと記す。一家庭の経験であり、市場全体の証拠ではない。それでも、作品の大ヒットとジャンル・ファンダムジャンル・ファンダムGenre fandom特定の一組だけでなく、ジャンルそのものに関心を持ち、複数のアーティストを探して聴くような支持のあり方。再生規模だけでは、その存在や強さは測れない。用語集で詳しくの形成を切り分ける、具体的な場面になっている。
今後1〜3年の論点として浮かぶのは、K-POPの次を狙う輸出モデルが何を成功と呼ぶかだ。世界的な一組を育てることに加え、その一組を入口に、別の音楽が発見されるか。育成システムや作品の届け方を語る際に、この観点が広がる可能性がある。ただし、記事は回遊を促す施策の成果までは報告していない。新しい仕組みがすでに成立した、という話ではない。
日本からは、輸出の単位が見える
日本から読むときに注意したいのは、これは日本国内の支持の集計ではなく、世界の再生をめぐる議論だという点だ。ロックの上位5組にはMrs. Green AppleMrs. Green Apple Mrs. GREEN APPLESpotify で探すApple Musicも含まれている。日本のアーティスト名が世界規模の比較に現れる一方、その成功が日本発のほかの音楽への関心につながったかは、この記事からはわからない。
この違いを保つと、輸出の単位が見えてくる。海外で聴かれるのは一曲なのか、一組なのか、それとも複数の表現を結ぶシーンなのか。日本と韓国の市場を同じ構造とみなす根拠は、この記事にはない。それでも、個別の成功と周囲への広がりを別々に見る視点は共有できる。そこにあるのは、成功の大きさだけでは捉えられない、音楽の届き方である。
EVIDENCE出典
- 論評TrapitalTue, 19 Ma
K-Pop's Paradox: Why BTS Fans Aren’t K-Pop Fanstrapital.substack.com ↗
“K-pop is a brand in the mainstream conversation, but the way that you associate with the bands is you’re not looking around.”
一般的な議論の中でK-POPはひとつのブランドだが、グループとの関わり方を見ると、ほかへ目を向けているわけではない。
確認日 2026-10-18
Artistsこの記事に登場するアーティスト
- BTSSpotify で探すApple Music
- BLACKPINKSpotify で探すApple Music
- Stray KidsSpotify で探すApple Music
- TWICESpotify で探すApple Music
- Mrs. Green AppleSpotify で探すApple Music


