文化財をめぐる返還とは、博物館や美術館などが保管してきたものを、その由来する共同体や権利を持つ人々へ戻すことである。具体的な根拠や手続きは、法律、取得の経緯、対象となるものによって異なる。
今回の返還品には、儀礼の道具や、共同体の中で受け継がれてきた揺籃板が含まれる。展示物としての価値だけでは説明できない、家族や祖先との関係がある。返還を単なる所蔵先の変更と捉えると、その意味を取り落とす可能性がある。
また、返すことと、受け入れ先の保管環境が整うことは同時とは限らない。今回も専用の保管場所は今後確保する予定とされた。日本から読む際にも、海外の返還事例を一律の手順と考えず、誰への返還であり、どの制度に基づくのかを区別する必要がある。