人が経験や記憶を語る声を聞き取り、記録し、歴史を考えるための資料として扱う方法。制度が残した文書だけでは見えにくい暮らしや感情、出来事の受け止め方に近づける。録音や文字起こしだけでなく、聞き手との関係も記録の成り立ちに関わる。
語りは出来事の単純な再現ではない。時間の経過や、話す相手、そのときの状況によって表現は変わる。ほかの資料との照合とともに、何が語られ、何が語られなかったかを考えることが重要になる。
日本語では「口述史」とも呼ばれる。美術作品の中で用いられる場合は、歴史資料であると同時に、声や沈黙を通じた表現にもなる。被害や喪失に関する語りでは、公開への同意、編集の仕方、語り手と遺族への配慮を区別せずに扱うことはできない。