社会的な抑圧、不平等、暴力などに対する異議を表す美術を指す。絵画や版画、壁画など、さまざまな媒体で成立する。統一された様式の名称ではなく、作品が社会とどのような関係を結ぶかに着目した呼び方である。
明確な要求や標語を示すものだけが含まれるわけではない。人の疲労や悲しみ、家族を守る姿を描くことで、抑圧の構造を伝える作品もある。政治的な主題と、構図や色、身体の描き方などの造形的な工夫は、切り離せない場合がある。
日本語で紹介する際には、「抗議」という言葉だけで作品の意味を固定しない注意が必要になる。誰が、どのような歴史的条件で制作し、どこで発表したのかを併せて読むことで、主張の要約には収まらない表現の具体性が見えてくる。