1–3 YEARS · シーンと言説の潮流K-POP以後レーベル2.0
看板が変わっても、残る基盤
HYBE、米カントリー拠点を新名称と現地人材で再編
HYBE AMERICAが、ナッシュビルのカントリー部門をBlue Highway Recordsへ改称し、ジェイク・バスデンをCEOに迎えた。買収した事業の資産と現地の人脈を残し、国際展開につなぐ構図である。2026年2月17日の発表に見えるのは、韓国発の音楽企業が地域の制作基盤を組み替える動きだ。

新設よりも、引き継ぎの設計
新しいレーベル名の背後で、何が残されたのか。2026年2月17日、HYBE AMERICAはナッシュビルのカントリーカントリーCountry music米国で形成されたポピュラー音楽のジャンル。曲調や歌詞だけでなく、放送、業界団体、聴き手の文化を含む広い領域で、内部には多様な背景や政治的立場がある。用語集で詳しく、アメリカーナ、ルーツロック部門をBlue Highway Recordsへ改称すると発表した。従来の名称はBMLG。翌18日付のMusic Business Worldwideが伝えたのは、ゼロからの旗揚げではなく、既存事業の再編である。
CEOにはジェイク・バスデンが就任した。直近ではSandbox Managementの社長として、所属アーティストのマネジメントと事業開発を統括。それ以前にはBig Machine Label Groupで広報担当の上級副社長を務めており、古巣への復帰となる。外から新しい責任者を送り込むだけではない人選だ。
所属にはトーマス・レットトーマス・レット Thomas RhettSpotify で探すApple Musicやカーリー・ピアースカーリー・ピアース Carly PearceSpotify で探すApple Musicらが名を連ねる。The Valory Music Co.も新名称のレーベルへ統合される。兆しは、韓国発企業の米国進出そのものではなく、買収した地域の制作・事業基盤を、誰の手で継続させるかにある。看板を替える一方、現地で積み重ねた関係を次の体制につなぐ構えである。
10億5000万ドルの買収、その後の分岐
背景には所有と経営の段階的な変化がある。スコット・ボルチェッタが2005年に創業したBig Machine Recordsを含むBMLGは、2019年にスクーター・ブラウンのIthaca Holdingsが買収。2021年にはHYBEが、BMLGとSB Projectsを含むIthaca全体を10億5000万ドルで取得した。この金額はBMLG単独の買収額ではない。
今回の改称に先立ち、ボルチェッタの退任が発表された。彼は今後の事業でBig Machine Recordsのブランドを使い続ける一方、HYBE AMERICAはBMLGの資産、ディストリビューションディストリビューションDistributionレーベルなどの音源や商品を、配信サービスや販売店へ届ける流通業務。契約によっては、宣伝や販売促進、技術面の支援まで含むことがある。用語集で詳しくの契約、音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しく会社Big Machine Music、所属アーティストの一部を保持する。名前の行方と事業基盤の行方が分かれたのである。
ディストリビューションディストリビューションDistributionレーベルなどの音源や商品を、配信サービスや販売店へ届ける流通業務。契約によっては、宣伝や販売促進、技術面の支援まで含むことがある。用語集で詳しくは作品を市場へ届ける仕組みであり、音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しくは楽曲の権利管理や利用促進を担う。歌い手の所属先だけでなく、作品を流通させ、楽曲の利用を支える機能も残る。改称を単なるブランド刷新として見ると、この継続性が見えにくくなる。
HYBE AMERICAの会長兼CEO、アイザック・リーは、新責任者の選定理由としてアーティストを優先する姿勢と地域社会との深いつながりを挙げた。これは会社側の説明であり、成果の証明ではない。ただ、発表が現地との関係を重視していることは読み取れる。
地域の個性と国際展開を、どうつなぐか
この再編は、米州事業全体の体制変更とも重なる。2025年7月にはブラウンに代わってリーが米国事業のCEOに就任。2026年1月には音楽部門の社長、法務責任者、広報責任者の人事も続いた。今回のナッシュビルの交代は、単独の出来事ではない。
もう一つの接点が、2025年10月に正式始動したHYBE LABEL SERVICEである。会社は、アーティストの国際市場での成長を支えるサービス部門と説明する。こうしたレーベルサービスレーベルサービスLabel servicesアーティストやレーベルに対し、流通、宣伝、販売管理などを提供する事業。支援の範囲や権利の扱いは契約ごとに異なり、従来型のレコード契約と同一ではない。用語集で詳しくの機能と、地域に根差す制作現場をどう結び付けるか。発表時点から先の1〜3年を見るうえで、注目できる組み合わせだ。
ただし、Blue Highwayと同部門の具体的な連携計画は、記事には示されていない。新たな国際契約、展開先、投資額も不明である。広がり得るのは、各地の音楽を同じ形式にそろえる仕組みというより、地域ごとの表現を残しながら海外へ届ける支援の形かもしれない。その可能性と実際の成果は、分けて見る必要がある。
日本から見る、輸出のもう一つの単位
日本から「K-POP以後」を考える際、この事例が示すのは、韓国で育てたアーティストを海外へ送り出す形とは異なる経路だ。今回の舞台は米国のカントリーカントリーCountry music米国で形成されたポピュラー音楽のジャンル。曲調や歌詞だけでなく、放送、業界団体、聴き手の文化を含む広い領域で、内部には多様な背景や政治的立場がある。用語集で詳しく拠点であり、引き継がれるのは所属者、流通契約、音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しくの機能である。国境を越える単位が、歌い手だけでなく事業基盤にもなっている。
一方、この記事だけで日本のレーベルとの契約や育成方法の違いまでは比べられない。K-POP型の育成方式を導入する発表でもない。確認できるのは、現地の経験を持つ経営者を据え、既存の基盤を新しい名称の下で続けるという選択だ。レーベルの国際化を、音の変化だけでなく、地域との関係を誰が引き継ぐかという角度から見る手掛かりになる。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年2月17日(火))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-02-18
“As we were searching for a leader for our new Nashville record label, it was important to choose someone that thought of artists first.”
ナッシュビルの新しいレコードレーベルを率いる人物を探すにあたり、アーティストを第一に考える人を選ぶことが重要だった。
確認日 2026-10-18
Artistsこの記事に登場するアーティスト
- トーマス・レットSpotify で探すApple Music
- カーリー・ピアースSpotify で探すApple Music


