1–3 YEARS · シーンと言説の潮流カタログ・ゴールドラッシュ音楽の金融化
再生の接点が、権利投資の入口に
プライマリー・ウェーブ、東南アジアの楽曲取得へ現地出資
プライマリー・ウェーブが、ベトナムのPOPS Musicへの戦略的出資を発表した。狙いは同社への資金投入にとどまらず、東南アジアでの楽曲カタログ投資を増やすことにある。2026年3月26日の発表に見えるのは、地域の音楽と聴き手を結んできた企業が、国際的な権利投資の足場にもなるという兆しだ。

楽曲だけでなく、地域への入口に投資する
2026年3月26日、プライマリー・ウェーブは、ベトナムを拠点とするPOPS Musicへの「戦略的出資」を発表した。出資額や持分比率は、出典記事では明らかにされていない。一方、資金の用途は示されている。POPSへの資本投入に加え、東南アジアでのカタログ取得カタログ取得カタログシュトクCatalogue acquisitionすでに発表された楽曲などの作品群について、権利や事業上の持ち分を取得する取引。何を取得するかは契約ごとに異なり、作品に関わるすべての権利を得るとは限らない。用語集で詳しくに向けた追加の資源を提供し、地域でのIPIPアイピーIntellectual Property知的財産のこと。エンターテインメントでは、作品やキャラクターなど、権利に支えられて商品化や他分野への展開の核となるものを指す場合がある。用語集で詳しくの拡大を速めるという。
ここで目を留めたいのは、特定の歌手や作品の権利を買うだけの取引ではないことだ。デジタルメディア・娯楽ネットワークのPOPS K.K.の一部門として生まれた音楽会社を、今後の投資の足場にする。作品の価値に加え、地域の市場を知り、権利者と関係を築いてきた企業の役割が、取引の前面に出ている。
プライマリー・ウェーブで企業開発を統括するアグネス・カチツキは、POPSの東南アジア市場への理解と現地での関係を、提携の理由として挙げた。世界的な権利投資を広げるうえで、資金と並んで地域の知識が必要とされている。その組み合わせを、今回の出資は具体的な形にしている。
録音4万5000点と、聴き手に届く経路
POPSは、4万5000点を超える録音のポートフォリオを管理すると説明している。ベトナムとインドネシアの音楽については、最大規模のカタログカタログMusic catalogアーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。用語集で詳しくを擁するとも主張する。ただし、管理する録音の数と、同社が全面的に所有する権利の数は同じとは限らない。出典記事からは、個々の契約や保有権利の内訳までは分からない。
同社が示すもう一つの規模は、音楽チャンネルを横断した月間アクティブユーザー1500万人超という数字だ。これは会社側の説明であり、有料会員数でも、個々の楽曲の収益を示す数字でもない。それでも、音楽を管理する機能と、聴き手へ届ける経路が同じ企業にあることは、今回の提携を読む手掛かりになる。
資金を出す側にも背景がある。プライマリー・ウェーブは2022年、音楽権利の取得を目的に、ブルックフィールド・アセット・マネジメントと20億ドル規模の提携を結んだ。さらに2026年3月23日には、独立系の音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しく・技術プラットフォームであるKobaltの買収に向け、最終契約を締結したと発表している。取引の完了とは区別が必要だが、権利とその運用基盤を広げる動きの中に、POPSへの出資も位置づけられる。
次に問われるのは、取得後のつながり
今後1〜3年を見るうえでの焦点は、追加のカタログ取得カタログ取得カタログシュトクCatalogue acquisitionすでに発表された楽曲などの作品群について、権利や事業上の持ち分を取得する取引。何を取得するかは契約ごとに異なり、作品に関わるすべての権利を得るとは限らない。用語集で詳しくがどこまで実現し、その後に何が行われるかだ。POPSのエスター・グエンCEOは、地域の専門性とプライマリー・ウェーブのカタログカタログMusic catalogアーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。用語集で詳しくや創造面の資源を結び、世界的な成功に向けた「双方向の橋」を築くと述べている。これは提携側の目標であり、成果が確認されたという意味ではない。
その目標に沿えば、東南アジアの作品を域外へ届けるだけでなく、海外の楽曲を地域の聴き手につなぐ展開も考えられる。ただし、具体的な作品、利用先、収益配分は記事に示されていない。取得件数の増加と、作品が新たな場所で聴かれることは別の段階にある。資金の投入がどのような利用につながるかは、今後の個別案件で見えてくる部分だ。
ベトナムでは別の投資も進む。ソニー・ミュージックは、YeaH1 Groupの音楽制作音楽制作おんがくせいさくMusic production曲の発想を、演奏、録音、編集などを通して聴ける形にまとめる活動。教育では、演奏技能に限らず、音を選び組み立てて表現する学びも含み得る。用語集で詳しく・アーティスト管理部門である1Label JSCの株式49%を取得した。既存作品への投資を広げる今回の提携とは対象が異なるが、海外企業が現地企業との資本関係を通じて市場に入るという接点がある。単一の取引だけではなく、異なる事業をめぐる動きとして捉えられる。
日本から見る、近隣市場の別の輪郭
日本から読む際には、ベトナムの事例を国内市場と同じ条件で扱わないことが重要になる。出典は、日本とベトナムの権利取引の規模や制度を比較していない。一方、POPSには日本の拠点・事業もあるとされる。今回の対象は東南アジアでの投資だが、その担い手は、すでに日本を含む複数の市場に接点を持つ企業なのである。
見えているのは、楽曲の蓄積だけを切り離して評価するのではなく、それを届けてきた地域企業と組む投資の形だ。著名な作品への権利投資で知られるプライマリー・ウェーブが、東南アジアでは現地の関係と流通の足場を選んだ。音楽が資産として扱われる過程で、その土地の聴き手を知る機能にも重みが置かれている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年3月26日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-03-27
“Their deep understanding of the Southeast Asian market and strong local relationships make them an ideal partner as we continue to grow our catalog investments globally.”
東南アジア市場への深い理解と現地での強い関係を持つ同社は、私たちが世界でカタログ投資を拡大し続けるうえで、理想的なパートナーである。
確認日 2026-10-18


