IPは知的財産を意味する言葉である。エンターテインメントの文脈では、作品やキャラクター、それらに結びつく名称やデザインなどを、事業展開の核としてまとめて指す場合がある。ただし、一つの作品に関係する権利が、すべて同じ主体に属するとは限らない。
音楽映画を玩具に展開する際には、物語の設定、登場人物の姿、衣装などが商品の特徴になり得る。音楽の人気がきっかけであっても、玩具の販売と楽曲の利用は同じ権利処理とは限らず、商品化だけで音楽の収益構造まで説明することはできない。
日本語でも広く使われる言葉だが、記事を読む際には何を指すIPなのかを分けて捉える必要がある。本記事では、音楽を含む映画の作品世界が商品展開の核となっていることを表すために用いている。
NARROWERこの用語の下にある用語
- DMCAディーエムシーエーDigital Millennium Copyright Act米国のデジタル著作権法。ネット上の侵害に対する削除通知や、一定の条件を満たすサービス提供者の責任制限を定め、本件の通知制度の背景となる。
- NILエヌアイエルName, image, and likeness名前、画像、肖像など、人物や活動主体を識別する要素の商業利用に関わる権利の総称。楽曲そのものの権利とは区別され、許諾の範囲は契約による。
- パブリシティ権Right of publicity氏名や肖像などが持つ顧客を引きつける力の商業利用に関わる権利。写真の著作権とは別の論点であり、保護の仕組みや範囲は国や地域によって異なる。
- パブリックドメインPublic domain著作権の保護期間が満了した場合など、著作権による独占の対象ではない作品の状態。古い楽曲が該当しても、それを新たに演奏した録音や編曲には別の権利が関わる場合がある。
- フェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。
- ベルヌ条約Berne Convention著作物を国境を越えて保護するための国際条約。各国の著作権制度をつなぐ一方、米国での契約終了が海外の権利にどう及ぶかは、本件で争われた論点である。
- ワーク・メイド・フォー・ハイアWork made for hire雇用や一定の委託に関わる米著作権法上の作品の扱い。該当すると終結権は適用されないが、契約にそう記すだけで成立するかどうかも、法的な検討を要する。
- 寄与侵害きよしんがいContributory infringement他人の著作権侵害への関与を理由に、第三者にも責任を問う米国法上の考え方。今回の判決では、侵害の認識だけでなく、誘発や侵害に特化したサービス提供が焦点になった。
- 共同所有きょうどうしょゆうJoint ownership複数の人や組織が一つの権利を持つこと。持ち分や利用の決め方、収益の配分まで自動的に一律となるわけではなく、対象となる権利や契約の確認が必要になる。
- 共同著作者性きょうどうちょさくしゃせいJoint authorship複数の参加者が、同じ作品の著作者として認められるかという問題。制作への関与だけで自動的に決まるものではなく、創作上の貢献や当事者の意思などが争点となる。
- 原盤げんばんMaster recording音楽の録音そのものや、その元となる録音物を指す言葉。権利を論じる際は、録音に関する権利と、テープなど現物の所有を区別する必要がある。
- 商標しょうひょうTrademark商品やサービスの出所を見分ける名称や標識に関わる権利。音楽活動ではグループ名などが対象になり得るが、楽曲の著作権や収益の取り分とは別に扱われる。2
- 著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。
- 著作権譲渡ちょさくけんじょうとCopyright assignment著作権を持つ者から、別の者へ権利を移すこと。今回の争いでは、アーティスト本人から譲渡があったといえるかどうかが、米国の終結権を利用する入口となった。2
- 著作権侵害ちょさくけんしんがいCopyright infringement著作権で保護される表現を、許諾や法律上の根拠なく利用して権利を侵すこと。音楽では歌詞や旋律などが問題となり、似ているという印象だけで直ちに成立するわけではない。
- 著作権登録ちょさくけんとうろくCopyright Registration著作物について所定の機関へ申請し、登録を受ける手続き。今回の争いは米国での登録拒否をめぐるもので、他国の制度や保護の可否とは分けて読む必要がある。
- 著作隣接権ちょさくりんせつけんNeighboring rights歌唱や演奏を行う実演家、録音物を制作する者などに認められる権利。詞や曲の著作権とは別で、保護や対価の対象となる利用は国・地域によって異なる。
- 利用の推定りようのすいていPresumption of use一定の手掛かりがある場合に作品が利用されたと推定し、相手側に反証を求める仕組み。今回の声明では、AI学習への利用を創作者が証明する負担を軽くするために提案されている。
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