NOW — 数ヶ月〜1年先 · 兆しの初動AI生成音楽著作権の再発明
声と楽曲を使う前にある合意
UdioとKobaltが契約、生成音楽の参加と対価を設計
生成AI音楽のUdioが、Kobaltとのライセンス契約を発表した。2026年内を目指す新サービスでは、参加を選んだアーティストの声や作曲家の楽曲を使い、クレジットと支払いを確保するという。契約条件は非公開。4月10日時点で見えるのは、生成の自由だけでなく、参加と対価の条件を組み立てる動きだ。

生成する前に、参加の条件をつくる
生成AI音楽生成AI音楽せいせいエーアイおんがくGenerative AI music学習したデータの特徴をもとに、AIが楽曲や歌声、録音などを生成する技術や、その生成物。生成できることと、利用や公開の権利が認められることは別の問題となる。用語集で詳しくのUdioが、KobaltとライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく契約を結んだ。Music Allyが2026年4月10日に報じた。Udioは年内の新モデル投入に向けて契約を重ねており、すでにUMG、WMG、Merlinが加わっている。今回の発表は、その準備に新たな相手が加わったことを示す。
注目したいのは、契約先の増加だけではない。Udioが改めて示したのは、参加を選んだアーティストの声と、作曲家の楽曲を使うサービスの構想だ。利用者はリミックスリミックスRemix既存の録音をもとに、音の構成や響きなどを変えて別の版を作ること。本記事では速度や音程の変更を含む広い意味で使われ、制作や公開に必要な許諾は利用条件によって異なる。用語集で詳しくやカバー、新しい曲をつくり、アーティストと作曲家には制作クレジット制作クレジットせいさくくれじっとRecording credits楽曲や録音の制作に関わった人と、その役割を示す情報。歌い手だけでなく、演奏や録音などの担い手を知り、別の作品へ進む手がかりにもなる。用語集で詳しくと支払いを確保するという。生成できるものを増やす話と、誰が参加し、誰に対価が届くかという話が、同じ設計の中に置かれている。
ただし、これは発表された計画である。新サービスはまだ投入前で、契約条件も公開されていない。参加の意思をどう確認するか、利用できる声や楽曲の範囲をどう定めるか、支払いをどう計算するか。今回の記事から、その運用までは読み取れない。
支払いの約束と、見えない配分
この契約には前段がある。Kobaltは前年8月、別のAI音楽企業であるElevenLabsとも契約していた。その契約には、音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しく側と録音物の権利者側への使用料支払いに「同等性」を求める条項が含まれていたという。楽曲そのものの権利と、録音された音源に関する原盤原盤げんばんMaster recording音楽の録音そのものや、その元となる録音物を指す言葉。権利を論じる際は、録音に関する権利と、テープなど現物の所有を区別する必要がある。用語集で詳しくの権利。その両者を支払いの中でどう扱うかが、すでに契約上の論点になっていた。
一方、Udioとの契約については、同様の条項への言及がない。条項が存在しないと確認されたわけではなく、公表された情報では分からない、ということだ。支払いを約束することと、その配分を明らかにすることは別である。今回、金額や料率を比較できる数字は示されていない。
Kobaltの最高経営責任者Laurent Hubertは、1月のMusic Ally Connectで、AIを既存の市場の取り分を移すものではなく、市場全体を広げ、消費を増やす機会として捉える考えを述べていた。これは経営側の期待であり、増収を裏づける実績ではない。その期待を、参加者への具体的な支払いにつなげられるか。契約の意味は、今後の運用によって確かめられることになる。
次に問われるのは、約束を動かす仕組み
Udioは、新サービスの投入前に、アーティストと作曲家の権利を守るための保護措置を拡充するとも繰り返し表明した。参加の選択、名前の表示、支払い、権利の保護。少なくとも発表上は、これらを組み合わせた生成音楽の利用環境が目指されている。単に音を出せることだけではなく、利用の条件を整えることが、サービス投入の準備に含まれている。
この先数年の広がりを見るうえでは、契約先の数に加え、その条件を利用者と権利者がどこまで把握できるかが焦点になりそうだ。参加対象や利用範囲、対価の扱いが具体化すれば、似た仕組みを検討する際の参照点になる可能性がある。ただし、今回の契約が共通の基準になることも、各社で条件がそろうことも、現段階では確認できない。
リミックスリミックスRemix既存の録音をもとに、音の構成や響きなどを変えて別の版を作ること。本記事では速度や音程の変更を含む広い意味で使われ、制作や公開に必要な許諾は利用条件によって異なる。用語集で詳しく、カバー、新曲制作は、発表では一つの創作体験のまとまりとして示されている。それぞれについて何が許され、どのように権利者へ還元されるのかは、まだ見えていない。広がりを測る材料は、構想の大きさよりも、これから示される具体的な利用条件にある。
日本から見ると、契約と利用可能性は別
日本からこのニュースを読む際には、海外で契約が結ばれたことと、日本の利用者がその機能を使えることを分けておきたい。記事には、日本での提供範囲、日本の楽曲やアーティストの参加状況、日本側の権利処理との接続について記載がない。国内の状況との具体的な違いも、この出典だけでは判断できない。
それでも読み取れる変化はある。AIが何をつくれるかという機能の説明に、誰が利用を認め、誰の名前が残り、誰に支払われるかという契約の説明が重なり始めている。生成物の出来栄えだけでは捉えられない、創作の入口と対価の出口。その両方を設計しようとする動きが、4月10日時点のUdioとKobaltの契約には表れている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年4月10日(金))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Ally2026-04-10
Udio signs its latest AI-music licensing deal – with Kobaltmusically.com ↗
“A suite of creative experiences that enable users to make remixes, covers, and new songs using the voices of artists and compositions of songwriters who choose to participate, while ensuring artists and songwriters are credited and paid”
参加を選んだアーティストの声と作曲家の楽曲を使い、利用者がリミックス、カバー、新曲をつくれる一連の創作体験。同時に、アーティストと作曲家へのクレジットと支払いを確保する。
確認日 2026-10-18


