選曲の先にある、制作への接続
アップルの広告を担うMAL、音楽責任者にアン・ドー
アップルのグローバルなクリエイティブを担うTBWA\Media Arts Labが、音楽部門の統括にアン・ドーを迎えた。報告先はグローバルCCO。グーグルやエクスペディアでブランドの音楽に携わってきた人物の起用から、音楽を広告の仕上げではなく、表現を組み立てる機能として扱う姿勢が見える。

音楽の責任者が、制作のトップにつながる
アップルのグローバルなクリエイティブを担うTBWA\Media Arts Lab(MAL)が、アン・ドーをグローバル音楽責任者に任命した。2026年8月29日付のBillboardが伝えている。報告先はグローバルCCOCCOChief Creative Officer企業や広告代理店などで、クリエイティブの方針や品質を統括する最高責任者を指す役職。権限や他部門との関係は、組織ごとに異なる。用語集で詳しくのブレント・アンダーソン。注目したいのは肩書きだけでなく、音楽の責任者が、クリエイティブ全体の責任者に直接つながる配置だ。
ドーは直前までGoogle Brand Studiosで社内の音楽スーパービジョン音楽スーパービジョンおんがくすーぱーびじょんMusic supervision映像や広告の意図に合う音楽を考え、選曲や制作側との調整などを担う専門業務。担当範囲によっては、楽曲の利用許諾や予算の調整にも関わる。用語集で詳しくを担当していた。その前にはExpedia Groupでグローバル音楽責任者とエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを兼務し、ExpediaやVrboなどの音楽を監督する仕事に携わった。音楽とブランド、その両方の制作判断を経験してきた人物の起用である。
ここに見えるのは、ブランドが楽曲を借りるという接点だけではない。どのような音楽が作品に必要かを考える専門性を、制作組織の中に置くという接点だ。ただし、記事は役職が新設されたのか、権限が従来より広がったのかまでは明らかにしていない。今回の人事を、そのまま組織の大転換と読むことはできない。
拡大の数字より、経歴と報告先
出典には、音楽部門の予算や人数、広告への音楽投資額は示されていない。市場全体で投資が増えていると結論づける材料もない。今回の動きを支える具体的な情報は、ドーの経歴、報告先、そして既存のチームについての説明である。
アンダーソンによれば、MALには各地のオフィスに音楽チームがある。ドーは、そのチームをグローバルに率いる立場となる。音楽担当者を外から一度だけ招く話ではなく、すでにある専門機能の統括を誰に託すかという人事だ。この違いは、ブランドと音楽の関係を、個別の広告案件だけで捉えないための手がかりになる。
ドーには、HBOの『The Stroll』で音楽スーパービジョン音楽スーパービジョンおんがくすーぱーびじょんMusic supervision映像や広告の意図に合う音楽を考え、選曲や制作側との調整などを担う専門業務。担当範囲によっては、楽曲の利用許諾や予算の調整にも関わる。用語集で詳しくを担った経験もある。ブランドの仕事だけに閉じず、映像作品における音楽の扱いにも関わってきた。今回の起用理由を経歴だけで断定はできないが、音楽、ブランド、映像を横断する経験が、MALの制作に接続される配置ではある。
本人は声明で、音楽には、なぜそう感じるのかを十分に理解するより先に、人の感情を動かす力があるという考えを述べた。これは効果を測定した数字ではなく、制作への姿勢を示す言葉だ。ブランディングブランディングBranding名前、見た目、語り方、体験などを通じて、認識や意味を育てる取り組み。音楽では作品や公演にも関わるが、本人の人格すべてを説明するものではない。用語集で詳しくにおいて、音楽を情報の補足ではなく、感覚を形づくる要素と捉える考えが表れている。
個別の選曲から、チームをつなぐ仕事へ
この時点から数年先を考えるなら、見届ける対象は大型の楽曲起用だけではない。各地の音楽チームを率いる責任者が、どのように制作上の判断を共有し、個々の作品に関わるのか。音楽の専門性とクリエイティブ全体の判断が、どこで交わるかが焦点になり得る。
CCOCCOChief Creative Officer企業や広告代理店などで、クリエイティブの方針や品質を統括する最高責任者を指す役職。権限や他部門との関係は、組織ごとに異なる。用語集で詳しくへの直接報告は、その接点を組織上に置いたことを示す。ただし、それだけで企画の初期から音楽が参加すると保証されるわけではない。記事には、選曲の手順、地域ごとの裁量、権利処理の仕組み、アーティストとの契約内容は書かれていない。組織図から読み取れる可能性と、実際の制作工程は分けておく必要がある。
他のブランドにも同じ配置が広がるかは、まだわからない。それでも、ドーが異なる企業でブランドと音楽に関わる役割を担ってきたことは確かだ。企業ごとの案件を越えて持ち運ばれる、音楽を扱う専門性。その受け皿として、社内や代理店の役職に目を向ける余地がある。
日本からは、契約だけでなく組織を見る
日本からこの人事を読む際、海外の体制がそのまま国内にも当てはまるとは言えない。出典には、日本の広告制作との比較材料がない。制作の分担や音楽担当者の権限が同じかどうかも、この一件からは判断できない。違いを急いで説明するより、何が確認できるかを絞る読み方が有効だ。
確認できるのは、アップルの制作を担う代理店が、複数のブランドと映像作品で経験を持つ音楽の専門家を、制作トップ直属の統括役に迎えたことだ。ブランドと音楽の関係は、誰の曲を使うかだけでなく、誰が音楽の判断を担い、誰と話せる位置にいるかにも表れる。その関係を、人事という静かな入口から見ることができる。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年8月29日(土))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Billboard(Business)2026-08-29
Anh Do Named Global Head of Music at TBWA\Media Arts Labbillboard.com ↗
““I believe music can make you feel something before you fully know why,” Anh Do said in a statement. “That belief is a big part of what drew me to MAL.”
「音楽は、なぜなのかを十分に理解するより先に、何かを感じさせてくれると信じています」とアン・ドーは声明で述べた。「その信念が、MALにひかれた大きな理由です。
確認日 2026-10-18


