届けた先の成長を支える組織へ
Believe、配信と育成をつなぐ営業・技術体制を再編
Believeは2026年7月9日、アーティスト向けとレーベル向けの営業体制をまとめ、技術・運営側も統合する再編を発表した。配信へのアクセスを提供するだけでなく、その先の成長を支える会社へ。TuneCoreを含む技術基盤と音楽チームの接続に、サービス会社が育成を担うための組織づくりが見える。

配信への入口から、その先の成長へ
2026年7月9日、パリを本拠とするBelieveが組織再編を発表した。アーティストを支援するArtist Servicesと、独立系レーベルや活動基盤のあるアーティストを支えるLabel & Artist Solutions。その営業体制をまとめ、商品開発・技術・運営もグループ全体で統合する。
営業側を率いるのはエルザ・バアモンド・ブルガン。技術・運営側は、グループ最高執行責任者に就くロマン・ベッカーが担う。両者を単一部門にするというより、営業と技術のそれぞれを束ね、二つの組織の連携を強める設計である。
注目したいのは、人事の顔ぶれだけではない。Believeは再編を「From Access to Success」という戦略計画と結びつけ、「One Global Artist Developmentアーティスト開発Artist development才能の発掘から活動の方向づけ、観客との関係づくりまで、アーティストのキャリアを継続して育てる仕事。今回の買収では、地域に蓄積された専門性として重視されている。用語集で詳しく Company」を目指すと説明した。音源を届ける入口から、届けた後の成長へ。アーティスト開発アーティスト開発Artist development才能の発掘から活動の方向づけ、観客との関係づくりまで、アーティストのキャリアを継続して育てる仕事。今回の買収では、地域に蓄積された専門性として重視されている。用語集で詳しくを会社全体の目的として置き直す動きだ。ただし、これは会社が掲げる方向であり、育成成果が示されたわけではない。
50カ国超の事業を、二つの軸でつなぐ
Label & Artist Solutionsが提供するのは、ディストリビューションディストリビューションDistributionレーベルなどの音源や商品を、配信サービスや販売店へ届ける流通業務。契約によっては、宣伝や販売促進、技術面の支援まで含むことがある。用語集で詳しく、マーケティング、デジタル上の宣伝である。一方のArtist Servicesは、地域の聴き手に届き、世界での成功を目指す独立系アーティストを対象とする。同じ音楽事業でも、支援相手や入口は異なる。今回、その営業を一人の責任者の下に集めた。
この接続を支えるのが技術側の再編だ。ベッカーによれば、商品開発・技術・運営の統合は数年かけて進められており、TuneCoreもその枠組みに完全に組み込まれる。新たな最高製品責任者には、TuneCoreで技術・製品部門を率いていたルーシー・ホアンが就く。音楽チームと技術の橋渡しは、今回初めて着手するものではなく、継続してきた取り組みの延長にある。
規模も小さくない。Believeは50カ国超で事業を展開し、従業員は2,000人超。2024年の売上高は10億ドルを超えた。同年には創業者やEQT、TCVを含む企業連合が過半を取得し、非公開化株式非公開化かぶしきひこうかいかTake-private上場企業の株式を買収するなどして、公開市場で売買されない状態へ移すこと。会社の事業終了を意味せず、所有や資金調達の仕組みが変わる。用語集で詳しくを進めた。傘下にはTuneCoreのほか、Nuclear Blast、naïve、Sentricなどがある。異なる事業を持つ企業が、育成という共通目的の下で連携を図っている。
サービスの束が、育成の仕組みになるまで
ここに見える兆しは、レーベルサービスレーベルサービスLabel servicesアーティストやレーベルに対し、流通、宣伝、販売管理などを提供する事業。支援の範囲や権利の扱いは契約ごとに異なり、従来型のレコード契約と同一ではない。用語集で詳しくの役割が、個別の業務提供から継続的な成長支援へ広がろうとしていることだ。配信、宣伝、技術開発を別々に持つだけではなく、それらをアーティストの活動に沿ってつなぐ。組織再編は、そのための社内の接続点を整える試みと読める。
今後1〜3年で確かめられるのは、この連携が実際の道具や支援にどう表れるかである。ベッカーは、統合した組織によって、アーティスト、ソングライター、レーベル、音楽出版社音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しくに、より良いツールを届けられると述べている。技術基盤を共有しながら、相手ごとの異なる課題に応えられるか。地域の聴き手への到達と、国境を越えた展開をどう結ぶかが、見るべき点になる。
一方、記事には新たな契約条件、料金、権利の扱い、育成成果の測定方法は示されていない。組織をまとめたことと、利用する側の選択肢や成果が変わることは同じではない。創業者は2030年の目標を支える基盤と位置づけるが、その目標の具体的な数値も、この発表からは読み取れない。
日本から見ると、会社名より支援のつながり
日本からこの再編を読む際、単に海外の配信会社の人事として捉えると、肝心な部分が見えにくい。配信を担う会社と育成を担う会社を別々に考える見方に対し、Believeは両者を同じ成長過程の中に置こうとしている。ただし、この記事には日本向けの体制や契約への変更はなく、国内にも同じ再編の効果が及ぶとは言えない。
それでも、レーベルの役割を考える材料にはなる。誰が音源を届けるかだけでなく、誰が聴き手との接点を育て、そのための技術を誰がつくるのか。今回見えたのは、その責任を組織の中でつなぎ直す動きである。配信の先まで支えるという言葉が、実際のサービスとしてどこまで形になるか。その入り口にある再編だ。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年7月9日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-07-10
“We have been working on unifying Believe’s Product, Tech, and Operations organization – which fully integrates TuneCore – for a few years now, and I am excited to continue building bridges between our technology capabilities and our music teams.”
私たちは数年前から、TuneCoreを完全に組み込むBelieveの商品開発・技術・運営組織の統合に取り組んできた。技術力と音楽チームの橋渡しを引き続き進められることを楽しみにしている。
確認日 2026-10-18


