1–3 YEARS · シーンと言説の潮流レーベル2.0

曲を届けた先の関係を設計する

ワーナーが進める、旧譜の販促自動化と音楽への投資再設計

旧譜を売り続ける仕組みと、新しい音楽への投資判断。その両方をデータと自動化で組み直す動きが、ワーナーの経営説明に表れた。2026年5月20日の登壇で語られたのは、AIによる楽曲生成だけではない。既存作品の販促、配信会社との契約、制作への資金配分をつなぎ直す、レーベルの運営モデルの変化である。

円盤から伸びる細い線が小さな四角へ枝分かれし、再び円盤の周囲へ戻る、作品の継続運用を表す抽象的な平面イラスト。

新曲を出す会社から、作品を動かし続ける会社へ

レーベルの仕事は、発売日に向けて作品を届けることだけではない。発売後の膨大な楽曲から、再び聴かれる機会を探し続けること。その作業を、人の手だけに頼らない仕組みへ移す動きが見えている。

2026年5月20日、ワーナー・ミュージック・グループの最高執行責任者を兼ねるアーミン・ゼルザは、JPMorganの会議で旧譜群、つまりカタログカタログMusic catalogアーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。用語集で詳しくの運用を説明した。重点を置く上位200のカタログカタログMusic catalogアーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。用語集で詳しくには継続的な販促を実施。それ以外の数千のカタログカタログMusic catalogアーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。用語集で詳しく、数百万曲には、機会の発見と販促素材の作成を担う独自技術を使っているという。

兆しは、単にAIで仕事を速めることではない。人が毎日触れられない作品にも販売促進の手を伸ばし、既存作品からの収益を継続的に育てる設計である。ただし、その技術の精度や、どれだけ収益を増やしたかは、記事では示されていない。

収入の集中が、運営を変える理由になる

この仕組みの背景には、旧譜の大きさと収入の偏りがある。同社の録音音楽の配信収入では、カタログカタログMusic catalogアーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。用語集で詳しくが約65%を占める。ゼルザはこれを最も収益性の高い部分と位置づけ、多くの場合、利益率は50%以上だと述べた。一方、配信サービスから得る収入の90%超は、同社楽曲の5%未満に集中しているという。

大きな収益源を守りながら、まだ十分に動かせていない作品の機会を拾う。その二層構造が、継続的な販促と自動化を組み合わせる理由になる。もっとも、収入の集中は人気作品の強さを示しても、残りの作品すべてに同じ成長余地があることを示す数字ではない。

5月7日発表の四半期決算では、売上高は17億3000万ドル。為替変動の影響を除く前年同期比で12.1%増え、録音音楽の定額制配信収入は15%増だった。ゼルザは、地域中心だった組織の再編と、世界で統合したデータ基盤、標準化した業務手順を説明した。自動化は単独の道具というより、組織の組み替えと一体の施策として語られている。

変わるのは販促だけではない。才能の発掘や制作を担うA&RA&RエーアンドアールArtists and Repertoireアーティストの発掘や育成、楽曲・制作方針の検討などを担うレーベルの機能。広告や宣伝を中心とするマーケティングとは区別されるが、活動を支えるうえで連動する。用語集で詳しくへの投資も、個別作品を切り離して見るのではなく、全体を対象に12〜36カ月の期間を随時見直しながら評価するという。同社は売上高に対するA&RA&RエーアンドアールArtists and Repertoireアーティストの発掘や育成、楽曲・制作方針の検討などを担うレーベルの機能。広告や宣伝を中心とするマーケティングとは区別されるが、活動を支えるうえで連動する。用語集で詳しく支出の比率を下げつつ成長できたと説明した。ただし、比率の低下だけから、支出総額の減少や新人への投資縮小までは読み取れない。

AIの追加機能から、契約全体の見直しへ

この時点から先の1〜3年を見るうえで、もう一つの焦点は配信会社との関係だ。ゼルザによれば、AIを使う上位料金プランについて、ワーナーと配信側は追加機能だけを切り出すのではなく、取引関係全体を見直す議論をしている。近い将来、一つか二つの配信事業者がそうしたプランを始めるとの見方も示した。これは経営者の見通しであり、開始が確認されたサービスではない。

ゲーム企業出身のゼルザが重ねたのは、作品への関与が深まるほど支出も増えるというゲームの考え方だった。好きな歌手や作曲家の作品と、AIを介して直接やり取りする。その体験を音楽の新たな収益につなげられるかが、試されようとしている。ただし、ゲームでの行動がそのまま音楽にも当てはまるかは、まだ分からない。

契約にも、その発想は表れている。ワーナーは2025年11月にSuno、Udioと契約した。ゼルザによれば、同社のAI関連契約には、相手の成長に応じて収益を得る仕組みがあり、出資持分や事業への参加を伴うものも多いという。ライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しくを一度渡して終えるのでなく、相手の成長にも関わる設計。ただし、個別の料率や作り手への分配条件は記事からは分からない。

日本から見ると、技術より先に見える契約の輪郭

日本との違いを市場規模や料金だけで論じることは、この出典からはできない。記事に日本固有の比較データはないためだ。ここで読み取れるのは、世界規模の作品群と統合データ基盤を持つ企業が、販促、制作投資、配信契約をまとめて設計し直そうとしていること。その前提を外して、自動化の効果だけを一般化することはできない。

日本からこの動きを読む際にも、AIで何曲作れるかとは別の論点が浮かぶ。既存作品の機会を誰が見つけ、ファンとの接点を誰が設計し、そこで生まれる収益に誰が参加するのか。2026年5月の説明に見えたのは、作品を保有する会社が、その利用と収益の仕組みまで継続的に運営する会社へと役割を広げる動きである。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年5月21日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Music Business Worldwide2026-05-22

    Warner Music COO, Armin Zerza: Music is under-monetized, under-digitized, and ripe for ‘years of productivity’musicbusinessworldwide.com ↗

    “Less than 5% of our songs represent more than 90% of our revenue on DSPs.”

    当社の楽曲の5%未満が、配信サービスから得る収入の90%超を占めている。

    確認日 2026-10-18