1–3 YEARS · シーンと言説の潮流ポスト・アルゴリズム

好みを推測させるだけではない

Instagramが開く、推薦の関心を自分で選ぶ入口

Instagramが、リールで薦められる話題を利用者自身で調整する「Your Algorithm」を英語利用者向けに広げている。Spotifyでも、聴きたい内容を言葉で指定する機能が試されていた。2026年1月半ばに見えていたのは、推薦を捨てるのではなく、その条件に人が手を入れるという変化だ。

クリーム色の背景に、青い推薦の流れと、その途中で進路を調整する赤いスライダーを配した抽象的な平面イラスト。

推測された好みを、本人が書き換える

画面に流れてくるものを眺めるだけでなく、その流れをつくる関心の分類に手を触れる。2026年1月半ば、Instagramが広げていた「Your AlgorithmYour AlgorithmYour AlgorithmMetaが展開する推薦の調整機能。見たい話題や減らしたい話題を自分の言葉で伝え、表示内容への希望を示す。作品を一つずつ指定する操作とは異なる。用語集で詳しく」には、そんな小さな役割の変化があった。利用者は、アプリが自分の関心だと判断した話題を確認し、もっと見たいもの、減らしたいものを指定できる。

Digital Music Newsによると、機能の提供は前月に始まり、世界の英語利用者へ対象を拡大していた。入口は短い動画が並ぶリール。表示画面の右上にあるアイコン、または設定内のコンテンツ関連の項目から開くと、推薦の土台となるトピックが見える。選択に応じて、おすすめも変わる仕組みだ。

ここで表に出てくるのは、利用者の好みそのものではなく、システムが読み取った好みである。その二つにはずれがあり得る。今回の機能は、そのずれを本人が確かめ、修正するための接点と読める。推薦の計算方法すべてが明かされるわけではないが、結果を受け取る以外の関わり方が加わった。

動画と音楽で重なる、条件を伝える動き

レコメンドレコメンドRecommendation利用者の関心に合うと判断した投稿や楽曲を、サービス側が選んで提示する仕組み。何を手掛かりに選び、本人がどこまで調整できるかが、体験を左右する。用語集で詳しくへの不満を背景にした施策だと、記事だけから断定することはできない。ただ、Instagramは関連性と利用者の制御を前面に出している。再生や閲覧を重ねて好みを推測させる経路に加え、本人が関心を明示する経路を設けた点が重要だ。

同じ記事は、Spotifyが前月に発表した「Prompted Playlists」も紹介している。提供先は、この時点ではニュージーランドのPremium加入者。利用者が聴きたい内容を言葉で説明すると、過去の聴取履歴全体も踏まえてプレイリストをつくるAIベースの機能だ。自然言語自然言語しぜんげんごNatural language日本語や英語など、人が日常の意思疎通に使う言葉。ここでは、決められた項目だけを選ぶ代わりに、自分の表現で見たいものや聴きたいものを伝える手段を指す。用語集で詳しくによる指定と、蓄積された行動の記録を組み合わせている。

Spotifyは、より以前の聴取履歴を参照でき、プレイリストを更新する頻度も設定できると説明している。Instagramが「どの話題を増減させるか」を扱うのに対し、こちらは「何を聴き、どの周期で選曲を入れ替えるか」まで指定の対象になる。どちらも、人が曲や動画を一つずつ選ぶ機能ではない。選ぶ機械に、人が条件を渡す機能である。

なお、記事には利用者数や満足度、音楽との出会いが増えたかを示す数字はない。確認できるのは、対象地域と言語、提供段階、操作の内容までだ。機能の登場と、推薦の質が改善したという評価は分けて読む必要がある。

広がりの鍵は、指示がどこまで届くか

Instagramは、リールから始め、発見タブなどアプリ内のほかの場所にも機能を広げる計画を示していた。これは提供済みの範囲ではなく、当時の方針である。この先の1〜3年を見るうえでは、関心を伝える窓口が増えることと、その指定が期待どおりに届くことを、別々に確かめる必要がある。

すでに分類の限界も見える。記事では、「スノーボード」を追加したのに、誤って同じ分類に入れられたスキーのリールが出てくるという利用者の報告を紹介している。選択肢があっても、内容を識別する側が取り違えれば、意図は届かない。調整できることは、正確に反映されることと同義ではない。

音楽でも、関心の指定が広がれば、ジャンルや気分を言葉にして推薦へ返す場面が増える可能性がある。一方、話題の分類だけでは、なぜその音にひかれたのかを十分に表せない場合もあるだろう。見えているのは、人による選曲への全面的な回帰ではなく、人の意思表示と機械の選別を組み直す試みだ。その成否は、まだ記事からは分からない。

日本から見ると、まず言語の境界がある

日本から読む際に押さえたいのは、「世界への拡大」が、そのまま日本語での利用を意味しないことだ。出典が示す対象は英語利用者であり、日本語への対応状況は書かれていない。Spotifyの機能も、紹介時点ではニュージーランドに限られる。地域と言語の境界を外して、身近な変化として語ることはできない。

それでも、音楽との出会いを考える材料はある。自分で探すか、おすすめに任せるか。その二択の間に、「どう薦めてほしいかを伝える」という接点がつくられ始めていた。2026年1月半ばにあった兆しは、アルゴリズムの退場ではない。好みを読み取られる側に、その読み取りへ応答する余地が生まれたことだった。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年1月14日(水))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Digital Music News2026-01-15

    Instagram Wants You to Personalize ‘Your Algorithm’ for 2026digitalmusicnews.com ↗

    “We’re starting with the Reels tab and are planning to bring this ability to Explore and more places in the app soon.”

    まずリールタブから始め、この機能を近く発見タブやアプリ内のさらに多くの場所へ広げる計画です。

    確認日 2026-10-18