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聴く収入と、手元に残す収入
英国の配信収入が20億ポンド超、伸び率は盤が上回る
2026年初に公表された英国の暫定統計で、前年の音楽配信収入は20億ポンドを超えた。一方、CDとレコードの売上高は、それを上回る伸び率を記録した。配信から盤への交代ではなく、大きな利用収入と、規模は小さくても伸びる商品売上の併存。その兆しを、収入と販売枚数、さらに権利への分配を分けて読む。

配信が大きく、盤が速く伸びる
2026年初、英国の音楽市場に二つの速度が見えた。業界団体ERAの暫定集計によると、2025年の音楽ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくと小売の合計収入は24.5億ポンド。前年比4.2%増だった。その大部分を占める配信のサブスクリプションサブスクリプションSubscription継続的な支払いと引き換えに、一定期間サービスを利用できる契約方式。音楽配信では、表示料金だけでなく、割引や契約構成も利用者あたりの収益に関わる。用語集で詳しく収入は20.5億ポンドで、伸び率は3.2%である。
一方、CDとレコードの売上高は3億6810万ポンド、前年比11.5%増。増加のほぼすべてをレコードが担ったという。配信が市場の中心であることと、フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しくが配信より高い伸び率を示すこと。この二つは、同時に起きている。
これは配信から盤へ、という単純な交代ではない。収入の規模では配信がなお大きい。見えているのは、日々アクセスするための支払いと、商品を手元に残すための支払いが、異なる速度で伸びる姿だ。ただし、この統計だけでは、同じ人が両方に支払っているのかまでは分からない。
売上高、枚数、権利収入を分けて読む
レコードの伸びは、売上高だけの現象でもない。レコード会社の業界団体BPIによれば、英国の2025年のLP販売は760万枚。2024年の670万枚から13.3%増えた。フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しく全体では1760万点、1.4%増にとどまる。盤全般が一様に伸びたというより、レコードの動きが際立つ構図である。
同じ年、英国のストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しく再生数は2103億回に達した。ただし、再生回数と売上高の伸びは別の指標だ。また、ERAの数字は配信サービスや小売店の取り分も含む小売段階の収入であり、そのまま音楽家や権利者の受取額を示すものではない。暫定値のため、後の詳細報告で修正される可能性もある。
収入が誰に流れるかを見ると、別の変化が浮かぶ。経済学者ウィル・ペイジの推計では、2024年の世界の音楽著作権関連収入は472億ドル。録音物の権利と楽曲の権利を合わせた額で、前年比23億ドル増だった。2014年には250億ドル強で、録音側と楽曲側の比率は55対45。それが2024年には62対38になった。
ペイジは、成長を支えた配信では収入の最大80%が録音側に配分されることを、その背景に挙げる。市場全体の拡大は、権利ごとの均等な成長を意味しない。ソングライターや音楽出版社音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しくが、AIのライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく契約ではより50対50に近い配分を求めているという動きも、この延長にある。次の収入源では、その分け方自体が争点になっている。
隣国にも見える、二つの成長経路
盤と配信の併存は、英国だけの数字ではない。アイルランドの業界団体IRMAによると、2025年のレコード販売は47万8000枚で、前年比20%増。同年の音声配信は132億回で、6%増だった。比較する単位は異なるものの、配信の利用が増えながら、レコードの購入枚数も伸びる姿は隣国にも見える。
2026年初から先の数年を考えると、注目点は一つの形式が別の形式を置き換えるかどうかだけではない。配信の継続収入と商品の販売収入が、それぞれどれだけ維持されるか。そして、新しいライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく収入を誰がどの比率で受け取るか。市場の伸ばし方と分け方が、並行して問われている。
もっとも、単年の数字からレコードの高成長が続くとは言えない。配信収入の増加についても、今回の資料だけで加入者数や料金変更の寄与は切り分けられない。広がりを測るには、売上高、購入枚数、利用回数をそれぞれ追う必要がある。現時点で見えるのは、異なる成長経路が同時に存在するというところまでだ。
日本から見ると、比較の単位が変わる
日本からこの動きを読む際、英国の収入構成をそのまま日本市場の姿に置き換えることはできない。今回の出典は、日本の配信収入や盤の販売枚数を示していないからだ。英国との違いを確かめる出発点は、配信か盤かという二択よりも、同じ範囲の数字を比べることにある。
小売段階の売上と権利者への収入、金額の伸びと枚数の伸び。その区別を保つと、英国の兆しは違って見える。配信が大きな基盤になった先でも、商品を持つための支払いは伸びている。同時に、音楽の価値が増えることと、その価値が誰に届くかは別の問題であり続けている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年1月13日(火))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次CMU(Complete Music Update)2026-01-14
Five interesting music business stats to start 2026completemusicupdate.com ↗
“However, revenues from CD and vinyl sales saw more growth, at 11.5%, generating £368.1 million.”
一方、CDとレコードの売上高は、それより高い11.5%の伸びを示し、3億6810万ポンドとなった。
確認日 2026-10-18


