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最高売上の内側にある伸び悩み
英国の音楽サブスク、値上げ下でも伸び率は物価並み
英国の2025年の音楽サブスクリプション支出は、前年比3.2%増。過去5年で最も低い伸び率となり、同年11月までの物価上昇率と並んだ。一方、レコードを中心とするフィジカルは伸長。2026年初に公表された数字から、過去最高の売上と配信の成長鈍化が同居する市場の輪郭を読む。

過去最高の売上、その内側の減速
英国の音楽市場で、売上の記録と成長の手応えが離れ始めている。2026年初に英国の業界団体Entertainment Retailers’ Association(ERA)が公表した速報値によると、2025年の音楽サブスクリプションサブスクリプションSubscription継続的な支払いと引き換えに、一定期間サービスを利用できる契約方式。音楽配信では、表示料金だけでなく、割引や契約構成も利用者あたりの収益に関わる。用語集で詳しくへの消費者支出は20億4500万ポンド。前年比3.2%増だった。
増収は続いている。ただし、その伸び率は過去5年で最低だ。2023年の10.2%、2024年の5.9%から、2年続けて鈍化した。Music Business Worldwideが注目したのは、3.2%という数字が、2025年11月までの12カ月間の英国の物価上昇率と一致したことだった。
これは通年の物価指数で調整した確定的な実質成長率ではない。12月分の物価統計は記事公開時点で未確定だった。それでも、金額が増えたことと、市場の実質的な拡大を同じ意味では語れなくなっている。年初の数字に見える兆しは、その距離である。
値上げを重ねても、増収幅は縮小
ERAの数字は、消費者が支払った小売段階の金額だ。音楽の権利者に支払われた金額ではなく、広告付き無料プランの収入も含まない。2025年の増加額は6300万ポンド。2020年の1億9940万ポンド、2021年の1億9130万ポンドと比べると、金額ベースでも増収の幅は小さくなった。なお、2024年の数字は当初発表から3600万ポンド下方修正されている。
その間、料金は上がっている。Spotifyは2025年10月、英国で複数プランの値上げを発表した。個人向けPremiumは月額11.99ポンドから12.99ポンドへ、8.3%の上昇。2023年7月と2024年4月にも値上げしており、個人プランの価格は2年半足らずで約30%高くなった。
ただし、2025年の改定は年の終盤であり、その効果が通年の売上に反映されたわけではない。また、ERAの速報値には加入者数やプラン別の構成が示されていない。利用者の増減と、ARPUARPUエーアールピーユーAverage Revenue Per User利用者一人あたりの平均売上を表す指標。対象期間の売上を利用者数で割って求めるが、有料利用者だけを数えるかなど、集計の定義を確かめる必要がある。用語集で詳しく、つまり利用者当たりの平均売上の変化を切り分けることはできない。値上げで解約が増えたとも、加入者が増えなくなったとも、この数字だけでは判断できない。
次の成長を、何で測るのか
対照的だったのがフィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しくだ。CDやレコードなどの売上は前年比11.5%増の3億6810万ポンド。なかでもレコードは18.5%増の2億3850万ポンドとなった。CDは1%減で、ほぼ横ばい。フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しくの売上構成比は15%となり、2021年以来の高さだった。
有料配信、フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しく、ダウンロードを合わせた売上は24億5300万ポンドで、前年比4.2%増。ERAによれば過去最高である。ただし、配信の伸びが鈍る一方で、別の購入形態が全体を押し上げた。レコードの成長を、そのまま配信離れの証拠にすることもできない。同じ人が両方に支出している可能性は、この集計では確かめられないためだ。
2026年初から1〜3年を見渡すなら、成長の説明は売上総額だけでなく、その内訳へ向かう可能性がある。加入者が増えたのか、料金が上がったのか、購入する媒体が変わったのか。値上げの効果が通年に及んだ後の数字と、利用の継続を分けて見ることで、拡大の中身が見えやすくなる。これは新たな商品の登場を予言する話ではなく、既にある支出をどう読むかという変化だ。
日本から見ると、比較の単位が問われる
日本から読む際、まず留意したいのは集計の範囲である。今回の英国の配信額は、有料契約への消費者支出に限られる。広告収入を含む配信売上や、権利者側の収入とは同じ数字ではない。出典には日本の同条件の統計がなく、両市場の伸び率や成熟度の差を直接示すことはできない。
それでも、読み取れる問いはある。売上の増加を、聴き手の広がりと価格の上昇に分けて捉えられるか。フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しくの伸長を、配信との置き換えではなく、支出の重なりも含めて考えられるか。英国の過去最高売上の内側には、成長の有無よりも、成長の質を確かめるための手がかりがある。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年1月7日(水))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-01-08
“The amount of money spent on music subscriptions by UK consumers grew modestly last year, up 3.2% YoY.”
英国の消費者が音楽の定額契約に支出した金額は、昨年、前年比3.2%の緩やかな増加となった。
確認日 2026-10-18


