1–3 YEARS · シーンと言説の潮流レーベル2.0国境なきヒット
公演の先に、関係を育てる場所
アソビシステム、初の米国拠点で所属外にも海外進出支援
アソビシステムがカリフォルニア州に米国法人を設立した。北米での公演を支えるだけでなく、海外に進出する日本企業への支援や、現地企業との接点づくりも担う。日本語楽曲の存在感が広がるなか、所属アーティストを送り出す会社が、国境をまたぐ事業の窓口にもなろうとしている。

ツアーの行き先に、常設の窓口を置く
原宿の文化を海外へ送り出してきたアソビシステムが、米国法人ASOBISYSTEM U.S.A. INC.を設立した。拠点はカリフォルニア州カルバーシティ。北米での事業開発、提携、マーケティング、広報、アーティスト支援を担う。同社はこれを、北米における過去最大の投資と位置づけている。
兆しは、事務所を構えたことだけにはない。米国法人は所属アーティストに加え、海外進出を目指す日本企業にも代理業務や事業開発、広報、コンサルティングを提供する。反対に、北米のブランド、プロモータープロモーターPromoter公演やクラブイベントを企画し、開催へつなぐ個人や組織。出演交渉、会場との調整、告知、販売などに関わるが、具体的な担当範囲は契約によって異なる。用語集で詳しく、メディアが日本の才能を探す際の入口にもなる。自社の表現を届ける機能と、他社の進出を支える機能を、同じ拠点に置く設計だ。
率いるのは、2007年に同社を創業した中川悠介。日本本社のCEOも継続する。目標として掲げたのは、自社アーティストの機会を増やすことだけでなく、双方のクリエイターや企業を支え、日本と北米の間に長く続く関係を築くことだった。
楽曲の広がりと、現地に残る仕事
背景には、日本語楽曲の接点の拡大がある。記事が引用するLuminateの数字では、世界のストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しく上位10,000曲に占める日本語楽曲の割合は、2022年の1.3%から2023年の2.1%へ上昇した。ただし、これは上位曲群での割合であり、世界の音楽市場全体に占める売上比率ではない。
アソビシステムには、すでに渡米を重ねた実績がある。新しい学校のリーダーズ新しい学校のリーダーズ ATARASHII GAKKO!Spotify で探すApple Musicは米国レーベル88risingを通じて2021年に世界デビューし、2024年にはCoachella出演と北米ツアーを実施した。きゃりーぱみゅぱみゅきゃりーぱみゅぱみゅ Kyary Pamyu PamyuSpotify で探すApple Musicも複数回の北米ツアーを行っている。今回の設立は、海外での活動をゼロから始める話ではない。公演を重ねた先に、継続的な業務を担う場所を置く動きである。
立地にも、その業務の性格が表れる。カルバーシティにはSony Pictures、Apple、Amazon MGM Studios、TikTok、HBOなどが拠点を構える。Apple Musicのスタジオもある。こうした企業が近くにいること自体は契約の成立を意味しない。それでも、音楽を映像やブランドの事業へつなぐ相手と、日常的に接点を持ち得る場所を選んでいる。
所属者を送り出す会社から、接続を支える会社へ
この拠点が今後数年でどこまで機能を広げるかは、まだ分からない。記事には投資額、従業員数、売上目標は示されていない。現地法人の設立と、北米で事業が定着することは別である。一方、所属外の企業にも支援を開く方針からは、自社公演の有無に限らず、現地での仕事を積み重ねようとする姿勢が読み取れる。
記事は、HYBEが2021年に10億5,000万米ドルでIthaca Holdingsを買収した事例も挙げる。アソビシステムの方法は企業買収ではなく拠点開設であり、規模も異なる。共通するのは、海外への進出を作品の流通だけで完結させず、市場の内側に人間関係や業務の基盤を持とうとする点だ。
日本企業の動きも単独ではない。Avexは音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しく、レーベル、ベンチャー投資にまたがる米国事業を展開する。アソビシステムも、2025年にロサンゼルスで設立されたNebula17の支援企業に名を連ねる。新拠点は、こうした外部との連携に自社の常設窓口を重ねるものと見られる。今後問われるのは、拠点の数よりも、そこで生まれる協業が継続するかどうかだ。
日本から見ると、輸出の単位が変わる
IFPIの2026年版報告によれば、日本は世界第2位の録音音楽市場である。大きな国内市場を持つ会社が北米へ向かうとき、作品や公演を届けることと、現地で事業関係を維持することは異なる仕事になる。今回、その両方を扱う組織が明示された。
ここで見えるのは、日本の成功例をそのまま移す構想だけではない。日本企業の相談を受け、北米側の需要も受け止める、双方向の窓口づくりである。日本語の歌が聴かれる範囲の拡大と、それを支える会社の仕事の拡張。その二つをつなぐ試みが、米国の常設拠点という形を取り始めている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年8月6日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-08-07
J-pop powerhouse ASOBISYSTEM opens first US headquarters in Californiamusicbusinessworldwide.com ↗
“Our goal is not only to create more opportunities for our own artists, but to help build lasting connections between Japan and North America by supporting creators, companies, and partners on both sides.”
私たちの目標は、自社のアーティストの機会を増やすだけでなく、双方のクリエイター、企業、パートナーを支えることで、日本と北米の間に長く続くつながりを築く手助けをすることだ。
確認日 2026-10-18
Artistsこの記事に登場するアーティスト
- 新しい学校のリーダーズSpotify で探すApple Music
- きゃりーぱみゅぱみゅSpotify で探すApple Music


