1–3 YEARS · シーンと言説の潮流レーベル2.0国境なきヒット

発売日の先にあるレーベルの仕事

東南アジアで130組超、UMGが広げる通年の伴走

UMGは東南アジアで130組を超えるアーティストのマネジメントを担っている。10月5日のシンガポールでの登壇で語られたのは、発売日だけでなく通年で活動を支える役割だった。地域から世界へ楽曲が届く流れとともに、レーベルが提供するサービスの範囲も広がっている。

クリーム色の背景に、コバルトブルーの円盤と複数の小さな円が細い線でつながり、円盤の周囲を珊瑚色の輪が囲む抽象イラスト。

「360」から「365」へ

レーベルが関わる時間を、発売日から一年へ。10月5日、シンガポールの音楽カンファレンスで、ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)のアフリカ・中東・アジア部門を率いるアダム・グラナイトは、東南アジアで130組を超えるアーティストのマネジメントを担っていると明かした。

グラナイトが地域で不足していたと語るのは、録音物の発売や音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しくに加わるマネジメントのサービスだ。従来の「360」契約を引き合いに出し、これからは「365」と呼ぶほうがふさわしいと述べた。一年を通してアーティストのそばにいる、という意味である。正式な新契約の発表ではなく、支援のあり方を示す比喩だ。

ここに見えるのは、収益に関わる範囲だけでなく、日々の活動を支える範囲によってレーベルの役割を説明する動きである。130組超という数字は契約条件や成果を示すものではない。それでも、通年のアーティスト開発アーティスト開発Artist development才能の発掘から活動の方向づけ、観客との関係づくりまで、アーティストのキャリアを継続して育てる仕事。今回の買収では、地域に蓄積された専門性として重視されている。用語集で詳しくを事業の一部として担う規模は見えてくる。

世界への入口に、地域の足場をつくる

その背景には、東南アジアを海外作品の販売先としてだけ扱わない姿勢がある。グラナイトは2019年の同カンファレンスで、Def Jam South East AsiaとAstralwerks Asiaの設立を発表していた。その後は、自社での拡充、買収、戦略的提携を組み合わせ、地域に根を張る体制を整えてきたという。

タイでは2024年にRS Groupの録音物カタログカタログMusic catalogアーティストなどが持つ楽曲群や、それに関わる権利のまとまり。投資の文脈では、作品の知名度だけでなく、将来どれだけ収入を生むかという観点から取引される。用語集で詳しくを取得。2026年3月には独立系レーベルWhat the Duckへ、6月には流通・音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しく会社Solution Oneへ少数持分出資を行った。作品の権利、流通、地域の作り手との接点を重ねる展開だ。マネジメントの拡大も、こうした足場づくりの中に位置づけられる。

聴き手の側にも理由がある。グラナイトによれば、東南アジアの5市場だけでプラットフォームの月間アクティブユーザー数を示すMAUMAUエムエーユーMonthly active users月間にサービスを利用したユーザーの規模を示す指標。利用の定義や数え方はサービスごとに異なり、複数サービスの合計は重複のない実人数とは限らない。用語集で詳しくは計12億に達する。ただし、対象サービスや集計方法は記事に示されていない。複数サービスを使う人の重複も確認できず、12億人の聴き手と読み替えることはできない。

彼が強調したのは、若く、携帯端末を起点に交流する利用者の厚みである。東南アジアを世界的な拡散の起点と捉えるなら、現地に継続して関わる意味も変わる。ヒットが出てから届けるだけでなく、その前から地域の動きを知る体制が重要になる、という事業上の見立てだ。

一方向の輸出ではない越境

グラナイトは、ベトナムの楽曲にとって世界で2番目の市場が米国だと説明した。指標や対象期間の詳細は示されていないが、ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくによって言語圏の外へ作品が届く例として挙げている。言語の壁がなくなったとまでは言えない。それでも、国内での受容と海外での受容を切り離せない状況がうかがえる。

交流は逆向きにも進む。欧米のアーティストは東南アジアの拡散力に接近し、現地のアーティストもその関係を海外の聴き手との接点にできる。登壇に先立って演奏した、Universal Music Malaysia所属のガールズグループDOLLADOLLASpotify で探すApple Musicも、地域の作り手を紹介する場に立っていた。

今後1〜3年を見るうえで焦点になるのは、この双方向の接点を、単発の話題から継続的な活動へつなげられるかだろう。通年のマネジメントがあれば海外進出が成功する、と記事は示していない。むしろ、地域の動きを捉える体制と、アーティストを支えるサービスが、同じ事業の中で組み合わされ始めている点に兆しがある。

日本から見る、役割の境界

日本から読む際には、レーベルという呼び名だけで事業範囲を重ねないことが大切になる。この記事は日本国内の契約慣行を比較していない。示しているのは、東南アジアで不足していたとUMGが捉える機能を、レーベル側が取り込んでいるという地域固有の動きだ。

グラナイトはアジアの成長を支える音楽として、K Popや中国発のC Popと並べてJ Popにも言及した。ただし、その先に描くのは日本から海外への一方通行ではない。東南アジア自身が発見と拡散の起点になる構図である。作品をどこへ売るかに加え、誰の活動に、どの時間まで関わるか。レーベルの役割を測る別の軸が、そこに現れている。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年10月5日(月))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Music Business Worldwide2026-10-06

    UMG is now managing 130+ artists in Southeast Asiamusicbusinessworldwide.com ↗

    “Across South-East Asia we’re now managers to over 130 artists – that’s us providing a service artists have been asking for.”

    東南アジア全域で、私たちはいま130組を超えるアーティストのマネジメントを担っています。アーティストが求めてきたサービスを提供しているのです。

    確認日 2026-10-18

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