1–3 YEARS · シーンと言説の潮流レーベル2.0

長く育てるための、地域の結節点

北欧の育成と海外展開を結ぶ、レッドライトの新マネジメント拠点

レッドライト・マネジメントとスウェーデンのThe Very Goodが、ストックホルムに共同事業を設立した。注目したいのは、海外企業の進出だけではない。レーベル出身の人材と国際的なネットワークを束ね、北欧で継続的なアーティスト育成を支える仕組みをつくろうとしている点だ。

クリーム色の背景に、コバルトブルーの小さな拠点と外側へ延びる線を配し、珊瑚色の輪で地域のつながりを表した抽象図

海外進出の前に、地域の足場をつくる

北欧の才能を海外へ送り出す。その入口として、現地のマネジメントを支える拠点がつくられた。レッドライト・マネジメントとスウェーデンのThe Very Goodが設立したRed Light Management Scandinaviaである。拠点はストックホルム。英国事業の創設者ジェームズ・サンダムと、The Very Goodの創設者兼CEOヤコブ・エムテスタムが率いる。

所属アーティストとして挙がるのは、オルガ・マイコオルガ・マイコ Olga MykoSpotify で探す、スンナンスンナン SunnanSpotify で探す、オーガスティンオーガスティン AugustineSpotify で探すら。オルガ・マイコオルガ・マイコ Olga MykoSpotify で探すはAtlantic Records UKと契約している。録音物を扱うレーベルとの関係とは別に、活動全体を支えるマネジメントの国際的な接続を整える動きだ。

同社は、スカンディナビア市場に進出する初の国際的なアーティスト・マネジメント会社だと説明する。ただし、これは会社側の位置づけである。記事から確かめられる変化は、現地企業と海外企業が共同で、長期的なアーティスト開発アーティスト開発Artist development才能の発掘から活動の方向づけ、観客との関係づくりまで、アーティストのキャリアを継続して育てる仕事。今回の買収では、地域に蓄積された専門性として重視されている。用語集で詳しくと海外展開を支える組織を設けたことだ。

レーベルの経験を、育成の土台へ

サンダムが指摘するのは、北欧の創造力と、それを支える事業構造の間の差である。ライブ、音楽出版音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しく、録音音楽の企業にはすでに確立された構造がある一方、マネジメントは同じようには発展してこなかったという。新会社が掲げるのは、時間をかけた育成を支え、可能なところから海外への橋を架けることだ。

その方針は人員構成にも表れる。TEN Music GroupでA&RA&RエーアンドアールArtists and Repertoireアーティストの発掘や育成、楽曲・制作方針の検討などを担うレーベルの機能。広告や宣伝を中心とするマーケティングとは区別されるが、活動を支えるうえで連動する。用語集で詳しく部門を率いたアリ・ヴェダディ、Universal Swedenでシニア・マーケティング・マネジャーを務めたラヴ・アペルグレンが参加。The Very Goodの経営陣と、ロンドンを拠点とするレッドライトのチーム、さらに同社の世界的なネットワークが連携する。レーベルで培った発掘・制作や宣伝の経験を、マネジメントの基盤へ接続する配置と読める。

レッドライトは1991年創業、英国事業は2012年に始まった。2022年にはFirebird Music Holdingsが少数持分を取得している。ただし、今回の記事には新会社への出資額、持分比率、育成予算の記載はない。企業の沿革や接続先は見えるが、アーティストにどれだけの資金や時間を配分するのかは、まだ判断できない。

共有するのは人脈だけではない

エムテスタムは、今日の音楽産業ではマネジャーに従来以上の役割が求められると語る。そのうえで、個別に閉じて働くよりも、協働と知識の共有を通じて長期的なキャリアの土台をつくると説明した。新会社が解こうとしているのは、海外への窓口の不足だけではない。経験や判断が各担当者の内側にとどまりやすい働き方も、対象に含まれている。

今後の広がりとして考えられるのは、地域の小規模なマネジメントが、国際企業のネットワークと継続的につながる形である。現地での育成を保ちながら、海外の担当者と相談できるなら、単発の紹介にとどまらない支援につながる可能性がある。ただし、これは設立時点の構想から読める見通しだ。具体的な海外展開の計画や成果指標は、記事には示されていない。

レーベルの役割を考えるうえでも、この配置は興味深い。録音物の契約を中心とする組織の外へ、発掘や宣伝の経験が持ち出されているからだ。レーベルの仕事がそのまま移るのではない。異なる役割の経験を束ね、アーティストの活動を長く支える器として、マネジメント会社が試されている。

日本から見る、提携の形の違い

日本との接点もある。レッドライトは2024年、Warner Musicの日本事業と戦略的提携を結んだ。今回の北欧での動きは、それとは異なり、現地のマネジメント会社との共同事業という形を取る。同じ国際展開でも、組む相手と組織のつくり方は一様ではない。

出典は、日本と北欧の育成環境を比較していない。そこに優劣を置くことはできない。それでも見えるのは、海外展開のために接続する対象が、レーベルだけではなく、日々の活動や長期計画を支える担い手にも及んでいることだ。才能を外へ届ける話の足元で、その才能を地域で支え続ける仕組みが組み直されようとしている。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年9月29日(火))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Music Business Worldwide2026-09-30

    Red Light Management and The Very Good launch Red Light Management Scandinaviamusicbusinessworldwide.com ↗

    “Partnering with Red Light Management to establish this hub allows us to bring international expertise and much-needed stability to the Scandinavian management scene”

    レッドライト・マネジメントと提携してこの拠点を設立することで、スカンディナビアのマネジメントの現場に、国際的な専門知識と、強く求められている安定性をもたらすことができる。

    確認日 2026-10-18

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