伸びる収入、変わる市場の重心
音楽市場568億ドル予測、成長の軸は定額制と中国
Omdiaは、世界の録音音楽市場が2030年に568億ドルへ達すると予測した。成長の中心はストリーミングの定額課金。一方、中国は2029年に日本を抜く見通しだ。2026年7月に示された数字から見えるのは、市場全体の拡大と、収入源・地域ごとの成長速度の違いである。

市場の拡大と、重心の移動
世界の録音音楽市場は、どこから伸びるのか。2026年7月15日付のMusic Allyが紹介した調査会社Omdiaの予測は、総額の増加だけでなく、その内側で進む収入源と地域の重心移動を示している。
Omdiaが予測する市場規模は、2026年の483億ドルから、2027年には500億ドル超、2030年には568億ドルへ。ここで見逃せないのは、ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくのサブスクリプションサブスクリプションSubscription継続的な支払いと引き換えに、一定期間サービスを利用できる契約方式。音楽配信では、表示料金だけでなく、割引や契約構成も利用者あたりの収益に関わる。用語集で詳しくに対する支出が、2030年に370億ドルへ達するという見立てだ。音楽への継続的な支払いが、市場拡大の中心に置かれている。
もうひとつの軸は中国である。Omdiaは、中国が2028年に英国、2029年に日本を上回り、米国に次ぐ世界第2位の録音音楽市場になると予測した。市場が大きくなるだけではない。その成長を担う地域の並びも変わる、という見通しである。
「売上」の範囲を確かめる
まず数字の読み方をそろえたい。Omdiaのいう「小売売上」は、フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しくとデジタル音楽への支出に、広告、演奏権、映像などへの楽曲利用から得る業界収入を加えたものだ。消費者が店頭や配信サービスで支払った金額だけではない。異なる性質の収入を含む、この集計範囲における市場予測である。
その内訳では、ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくの定額課金への世界の年間支出が、2026年に前年比7.2%増の305億ドルになるとされる。2030年の370億ドルという予測は、この収入源が引き続き大きな柱になるという想定だ。ただし記事には、増加を契約者数と料金のどちらがどれだけ担うかは示されていない。値上げの効果と読み替えることはできない。
対照的なのがフィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しくだ。支出自体は今後5年間で増えるものの、年間成長率は鈍化し、2030年には1.9%、売上は83億ドルになる見通しである。音声と動画を合わせた広告収入は、2026年に5.6%増の53億ドル、2030年には62億ドルと予測された。同じ拡大局面でも、それぞれの伸び方はそろわない。
Omdiaはさらに、2028年末には、今世紀に小売収入が増えた年の数が、減った年の数を上回るとした。長く続いた縮小と回復を年単位で捉える節目だ。ただし、増収の年が多くなることと、個々の音楽家や企業への分配が改善することは別の話である。今回の記事は、その分配までは扱っていない。
2030年へ、二つの変化が重なる
この時点から数年先を見ると、焦点は定額課金の拡大と、中国市場の順位上昇が重なることにある。前者は収入の得方、後者は収入が生まれる場所の変化だ。総額だけを追うと見えにくいが、両者は異なる側面から世界市場の構成を変える可能性がある。
中国については、予測だけでなく直前の変化も紹介されている。Music Allyによれば、IFPIの集計では中国は2025年にドイツを抜き、世界第4位となった。Omdiaの予測は、その先に英国、日本を上回る道筋を描く。ただしIFPIによる過去の順位と、Omdiaによる将来推計は区別して読む必要がある。
予測どおりに進むなら、世界の音楽事業を見る際、中国の収入規模はより大きな意味を持つことになる。一方、記事には国別の成長要因や、音楽の種類ごとの収入はない。中国での市場拡大が、どの地域の作品や権利者にどれだけ届くのか。その広がりは、この数字だけでは確定できない。
日本から見ると、順位より構成
日本から最も目を引くのは、2029年に中国に抜かれるという予測だろう。ただし、順位が下がることは日本市場の縮小を意味しない。記事は日本の売上推移を示しておらず、中国の拡大と日本の減少を同じこととして語る根拠はない。
また、世界全体では定額課金が大きな柱となり、フィジカルフィジカルPhysical releaseレコードやCDなど、物理的な媒体で発売される音楽商品を指す言葉。音源に加えて装丁や手に取る体験を持ち、店頭販売や収集とも関わる。用語集で詳しくは増収しながら伸びが鈍ると見込まれているが、その構成をそのまま日本に当てはめることもできない。日本の内訳は今回の出典にないからだ。ここで見えているのは、世界市場の拡大が、すべての地域と収入源で同じように進むわけではないということ。総額の成長と、その内側の重心移動を分けて読むための兆しである。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年7月15日(水))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Ally2026-07-15
Report predicts $56.8bn of annual recorded-music sales by 2030musically.com ↗
“Its report predicts that annual global spending on streaming subscriptions will grow by 7.2% this year to $30.5bn, and then to $37bn by 2030.”
同報告書は、ストリーミングの定額課金に対する世界の年間支出が、今年は7.2%増の305億ドルとなり、2030年には370億ドルになると予測している。
確認日 2026-10-18


