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買うだけではないファンの居場所

ファン制作グッズを公認へ、Softsideの分配と権利設計

ファンが描き、アーティストが承認し、販売ごとに双方へ収入が入る。Softsideは、非公式グッズと公式商品の間に、権利処理を伴う共同制作の場を設けている。2026年3月時点のインタビューから見えるのは、ファンの熱意を購買力だけでなく、継続的な創作の担い手として受け止める仕組みである。

クリーム色の背景に、青いシャツの輪郭と赤い鉛筆を配し、制作から販売後の分配へつながる流れを描いた抽象イラスト。

非公式を消すのではなく、公認への道をつくる

ファンがつくったシャツを、アーティスト自身が認めて販売する。Softside Merchが設けているのは、そんな共同制作の入口だ。2026年3月公開のHypebotのインタビューで、創業者のエリン・シングルトンは、販売する商品はすべてファンのデザインであり、アーティストの承認を得ていると説明した。

参加アーティストにはGeeseGeeseSpotify で探すApple MusicやBlack Country, New RoadBlack Country, New RoadSpotify で探すApple Musicがいる。後者が発売したのは、鮮やかなオレンジ色のシャツ。シングルトンによれば好調だという。販売数は示されていないが、定番の黒いバンドシャツやロゴとは異なる、ファン自身による音楽の解釈が商品になっている。

兆しは、デザイン募集そのものの新しさにはない。単発のコンテストから、繰り返し協働する仕組みへの移行にある。同社では、すでに商品を2、3回発売したアーティストがいるという。ファンを買い手として迎えるだけでなく、次の商品を一緒につくる相手として位置づける動きだ。

最低15%の分配、その前にある権利の整理

背景には、制作と販売の入口が広がったことがある。シングルトンは2024〜25年ごろの変化として、ファンの商売への習熟や、注文後に商品をつくるオンデマンド印刷オンデマンド印刷Print-on-demand注文が入ってから必要な分の商品に印刷する生産方式。販売前に大量の在庫を抱える負担を抑えられる一方、単価や発送条件はサービスによって異なる。用語集で詳しくの普及を挙げる。一方、Etsyなどで販売していたファンが、ライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しくや商標商標しょうひょうTrademark商品やサービスの出所を見分ける名称や標識に関わる権利。音楽活動ではグループ名などが対象になり得るが、楽曲の著作権や収益の取り分とは別に扱われる。用語集で詳しくの問題で店舗を閉鎖される例も見てきたと語る。つくれることと、許諾を得て売れることの間に、隔たりがあった。

Softsideには二つの入口がある。過去作品のポートフォリオを送り、アーティストから制作を依頼される方法。もう一つは、使用を許諾されたロゴや書体などを使って商品案を提出する方法だ。アーティスト側は提案を承認したり、修正を求めたり、制作者と連絡を取ったりできる。

承認後の契約には、制作者からアーティストへの著作権譲渡著作権譲渡ちょさくけんじょうとCopyright assignment著作権を持つ者から、別の者へ権利を移すこと。今回の争いでは、アーティスト本人から譲渡があったといえるかどうかが、米国の終結権を利用する入口となった。用語集で詳しくが含まれる。シングルトンの説明では、作品はSoftside内にとどまり、制作者には報酬が支払われるという。ただし、利用範囲や契約終了時の扱いなど、契約全文に関わる詳細は記事からは分からない。「ファン公認」の温かな言葉の内側に、権利を移す取引もある。

制作者への分配率は最低15%。GeeseGeeseSpotify で探すApple Musicは25%、Capitol Hill Block Party Festivalは40%に設定したという。引き上げ分はアーティスト側の取り分から出る。何を基準額とする割合かは記事では明示されていない。商品はすべてオンデマンド印刷オンデマンド印刷Print-on-demand注文が入ってから必要な分の商品に印刷する生産方式。販売前に大量の在庫を抱える負担を抑えられる一方、単価や発送条件はサービスによって異なる。用語集で詳しくで、在庫の事前購入も最低注文数もなく、支払いは週ごと。制作参加を、販売に応じて収入が生まれる形にしている。

共同制作を続けるための裏側

この時点でサービスはベータ版だが、世界のファンに開かれている。シングルトンによれば、運営の85%はチームの手をほとんど介さず動き、残る工程の自動化と裏側の機能拡充を進めている。毎月アーティストを迎え、利用者の反応を集めている段階だ。これらは同社による説明であり、利用者数や売上規模は示されていない。

この先1〜3年で広がり得るのは、商品の種類だけではない。承認、修正、契約、分配をまとめて扱えるなら、共同制作を定期的に続ける負担が小さくなる可能性がある。シングルトンは、毎月デザインを検討する方法も、年に数回に絞る方法も挙げる。ファンとの協働が、発売のたびに一から組み立てる企画ではなく、継続的な活動になる余地がある。

ただし、自動化できる事務と、作品を認める判断は同じではない。アーティストの確認にかかる時間や、不採用となった制作の負担は残る。ポートフォリオから依頼する入口は、時間をかけた案が却下されることを避けたい制作者向けでもある。参加者が増えたとき、選ばれる機会と労力をどう釣り合わせるか。その運用はまだ見えていない。

日本から見る、公式とファン制作の間

日本からこの事例を読む際、国内でも同じ契約や分配が成り立つとは言えない。出典には日本の販売慣行や権利処理との比較がないためだ。ここで確認できる特徴は、公式商品とファン制作を別々に置くのではなく、両者をつなぐ承認と報酬の手続きをサービスに組み込んでいる点にある。

熱心なファンとの関係を、購入金額だけで測らない設計でもある。描くこと、音楽を別の形で解釈することが、収入を伴う参加になり得る。同時に、その参加は権利の移転も伴う。共同制作の親密さと契約条件を一緒に見るとき、ファンの創造性を継続的に受け止める仕組みの輪郭が見えてくる。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年3月1日(日))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Hypebot2026-03-01

    Softside's Erin Singleton on the New Era of Fanhypebot.com ↗

    “We have a minimum of 15% to protect the creator, and we are all print-on-demand, so there's never an upfront inventory purchase.”

    制作者を守るために最低15%を設定しています。また、すべてオンデマンド印刷なので、在庫をあらかじめ購入することはありません。

    確認日 2026-10-18

Artistsこの記事に登場するアーティスト

PUBLISHED 2026.03.01 · 著者 Andown · 引用元 Hypebot