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聴く料金から、近づくための料金へ
テンセント音楽、上位会員2,000万人超を支える体験設計
テンセント・ミュージックが2026年3月17日に公表した決算によると、上位プラン「SVIP」の会員は2025年末に2,000万人を超えた。標準プランの約5倍の月額料金を支えるのは、高音質だけではない。利用者全体が減るなか、音源と公演、アーティストに結びつく特典を束ねる設計が広がっていた。

上位料金を支えるのは、音質だけではない
2026年3月17日、テンセント・ミュージック・エンターテインメント(TME)が公表した決算で、上位プラン「SVIP」の会員数が2025年末に2,000万人を超えたことが明らかになった。2024年第3四半期の1,000万人から、1年余りで倍増。2025年第2四半期末の1,500万人からも増えている。
音楽ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくに、通常より高い料金の層を設けるスーパープレミアムスーパープレミアムSuper-premium通常の有料音楽配信より高い価格帯で、追加の機能や特典を提供する構想。単なる月額料金の値上げとは異なり、追加料金に見合う価値の設計が焦点となる。用語集で詳しく。その具体例として、この規模は目を引く。ただし、兆しは「高音質に追加料金を払う人が増えた」だけでは捉えきれない。TMEは音質に加え、公演チケットの優先購入やアーティストに結びつく特典を重ねている。
同社によれば、SVIPでは高音質や高度な音響技術が引き続き加入の動機になっている。一方、第4四半期にはプランのアンバサダーを起用し、主要イベントのチケット優先購入パッケージも展開した。会社は、これらが加入につながったと説明する。聴取環境の改善と、好きなアーティストへの接点。その両方を月額料金に収める設計である。
利用者が減っても、支払う層は厚くなる
背景には、利用者数と収益の伸びが一致しない状況がある。2025年第4四半期の音楽サービスの月間アクティブ利用者は5億2,800万人で、前年同期比5.0%減。一方、有料会員は5.3%増の1億2,740万人だった。利用者全体は縮みながら、有料会員は増えている。
有料会員1人当たりの月間平均収入を示すARPPUARPPUエーアールピーピーユーAverage Revenue Per Paying User有料利用者1人当たりの平均収入を示す指標。無料利用者を含む平均とは区別され、料金改定や上位プランの構成比などによって変動する。用語集で詳しくも、前年同期比7.2%増の11.9元となった。SVIPの月額料金は約40元で、標準プランの8元のおよそ5倍。全有料会員に占めるSVIPの割合は、2024年9月の約8%から2025年末には約15.7%へ上昇した。人数だけでなく、料金構成の変化も収入を押し上げていると読める。
もっとも、この料金差からSVIPの実際の売上構成比を確定することはできない。記事にはプラン別の実収入の内訳がない。確認できるのは、音楽の定額料金収入が第4四半期に45億6,000万元、前年同期比13.2%増となったことだ。成長は続くが、伸び率は第2・第3四半期の17%台から鈍化した。上位会員の増加と、事業全体の成長速度は分けて見る必要がある。
一律の値上げではなく、選べる接点を増やす
TMEは、より広い施策としてデジタルアルバムの独占・期間限定独占配信、人気公演のチケット優先購入、アーティストに結びつく収集用カードも展開している。SVIPにはアバターの衣装や機能上の特典もある。ただし、記事は各特典の加入への寄与を数値で分けていない。何が決め手だったかまでは断定できない。
同時に同社は、広告付きの定額プランも新設した。広告付き、標準、SVIPという三つの料金層。上位層への移行だけでなく、利用の入口を広げる試みも並走している。全員に同じ追加料金を求めるのではなく、支払い方と受け取る体験を分ける方向だ。
この時点から先の数年に注目されるのは、こうした設計が他市場でどこまで成立するかである。出典記事によれば、Spotifyは2025年11月に五つの新興市場で上位プランを導入し、UMGも配信事業者とファン向けの上位プランを進める方針を示している。ただし、中国での会員増が、そのまま他地域の需要を証明するわけではない。公演や特典を組み合わせられる範囲も、普及の条件になると見られる。
日本から読む、月額料金の中身の変化
日本からこの数字を読む際、まず留保したいのは比較の範囲だ。出典には日本の同種プランの会員数や、特典への支払意向を測る数字はない。中国の月額40元を円に置き換えるだけでは、同じ仕組みが成立するかは判断できない。
それでも、比較の軸は見えている。音源を聴くための料金に、公演へのアクセスや収集する楽しみをどこまで含めるか。TMEの事例では、利用者全体の減少と並行して、上位プランを選ぶ層が厚くなった。2026年3月時点で見えていたのは、配信の価値を曲数や音質だけでなく、アーティストとの接点まで含めて組み立てる動きである。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年3月17日(火))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-03-18
“Driven by differentiated, expansive content privileges and immersive experiences, our SVIP user base surpassed 20 million, with ARPPU continuing to trend upward.”
差別化された幅広いコンテンツ特典と没入感のある体験に支えられ、SVIPの利用者は2,000万人を超え、ARPPUも上昇傾向を維持した。
確認日 2026-10-18


