参加できても、賞には届かない
ヴェネツィア審査員団、イスラエルとロシアを授賞対象外に
2026年4月23日、ヴェネツィア・ビエンナーレの審査員団は、指導者が国際刑事裁判所で人道に対する罪に問われている国を授賞対象から外す方針を示した。参加そのものを止めるのではなく、評価の段階に境界を引く判断。国家を代表する展示と、作家の実践を結びつける仕組みが問われている。

参加と授賞のあいだに引かれた線
国際展に参加できることと、そこで賞を受ける資格があること。その二つを切り分ける判断が示された。2026年4月23日、ヴェネツィア・ビエンナーレビエンナーレBiennale原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。用語集で詳しくの審査員団は、指導者が国際刑事裁判所で人道に対する罪に問われている国の出展を、金獅子賞・銀獅子賞の選考対象にしないと発表した。
翌24日付のArtforumによれば、この方針で対象外となるのはイスラエルとロシアだ。ただし、両国の参加そのものが取り消されたわけではない。会場に展示が存在することと、審査員団がそれを顕彰することのあいだに、別の判断が置かれたのである。
ここにある兆しは、国際展の対応が「参加を認めるか、排除するか」だけでは捉えきれなくなっていることだ。展示へのアクセス、賞による承認、開催を支える資金。それぞれを担う主体が、異なる場所に境界を引いている。
国家を代表する枠組みが抱える緊張
審査員団の声明は、作家の実践と国家の代表であることの複雑な関係を明示した。国別館国別館くにべつかんNational Pavilion国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。用語集で詳しくを中心的な構造に持つビエンナーレビエンナーレBiennale原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。用語集で詳しくでは、作品が、その国の政府の行動とも結びつけられる。今回の判断は、その結びつきを否定するのではなく、授賞の条件に反映させるものだった。
したがって、この審査員団は、指導者が現在、国際刑事裁判所で人道に対する罪に問われている国を、選考の対象とすることを差し控える。
この基準は、作家本人の行為や作品内容ではなく、代表する国の指導者の法的状況に置かれている。また、罪に問われていることと、有罪が確定したことは同じではない。声明がどの条件を採用したのかを、そのまま読む必要がある。
背景には、参加国をめぐる複数の働きかけがあった。4月上旬には74人の美術作家が公開書簡に署名し、戦争犯罪を問われている国としてイスラエル、ロシア、米国を挙げ、除外を求めた。著名な米国の美術作家が、自国を代表する機会を辞退したことも報じられている。ただし、公開書簡の要求と審査員団の基準は同一ではなく、米国まで今回の授賞対象外になったとは記事は伝えていない。
さらに同じ週、EUは、今年のロシア参加を理由に、2028年のビエンナーレビエンナーレBiennale原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。用語集で詳しくに予定されていた230万ドルの助成を撤回すると表明した。参加への異議が、作家の辞退、授賞の判断、将来の資金という異なる経路に現れている。
一つの展覧会に、複数の判断主体
審査員団は、人権の擁護に加え、コヨ・クオのキュレーションキュレーションCuration作品を選び、調査し、配置や解説を通じて観客との関係をつくる実践。美術館では、何をどの視点から伝えるかという判断と、その責任も含んでいる。用語集で詳しくの構想への支持も掲げた。声明が引くのは、恐怖の見せ物を拒み、小さな声や低い周波数に耳を澄ますという姿勢である。作品をどう評価するかという問いが、展覧会の理念と、国家を代表する制度の関係にまで及んでいる。
Artforumは、両国の参加を認めながら授賞対象から外すことに、国際展の矛盾した基準を見ている。ただ、開催側、審査員団、資金提供者の判断を、一つの方針としてまとめることもできない。今回確認できるのは、同じ展覧会の内部と周辺で、異なる権限が別々に行使されていることだ。
この時点から先の1〜3年で注目されるのは、参加資格だけでなく、授賞や助成にも個別の条件を設ける動きが広がるかどうかである。2028年向け助成への言及は、今年の参加をめぐる判断が、次の開催を支える資金にも及び得ることを示す。ただし、この事例だけで他の国際展にも同じ基準が定着するとまでは言えない。
日本から見る、作品と代表の距離
日本からこのニュースを読む際も、海外の政治問題としてだけではなく、国を代表して作品を見せる仕組みの問題として捉えられる。国別館国別館くにべつかんNational Pavilion国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。用語集で詳しくという枠組みでは、作家の表現と国家の行動を完全に切り離すことが難しい。その緊張を審査員団自身が言葉にした点が重要だ。
一方、出典には日本側の対応や、国内の国際展との制度比較は示されていない。日本でも同じ判断が可能だと結論づける材料はない。読み取れるのは、作品を展示する許可と、賞によって価値を認める行為が、必ずしも一体ではないということ。国家を単位とする展覧会のなかで、誰が、何を根拠に承認するのかが、改めて可視化されている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年4月23日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 論評Artforum2026-04-24
Venice Biennale Jury Disqualifies Israel and Russia From Awardsartforum.com ↗
“Consequently, this jury will refrain from the consideration of those countries whose leaders are currently charged with crimes against humanity by the International Criminal Court.”
したがって、この審査員団は、指導者が現在、国際刑事裁判所で人道に対する罪に問われている国を、選考の対象とすることを差し控える。
確認日 2026-10-18


